◆3月例会(第155回総合部会例会)
例会
日時:2007年3月4日(日) 15:00~17:30
会場:上智大学 2号館6階 ドイツ語学科会議室
最寄駅:JR中央線・総武線/地下鉄丸ノ内線・南北線/四ッ谷駅下車徒歩3分
→(アクセス)
→(キャンパスマップ)
演者:小松楠緒子 氏
(司会: 櫻井引木 氏)
演題:響き合うことば-”総合人文”という試み
要旨:
1.はじめに-総合人文社会科学について
明治薬科大学では、平成14年度から総合人文社会科学という講義を設置して
いる。現在は4年次必修、6年制移行後は6年次必修の講義である。本講義は、
薬学教育に欠けがちな人文社会科学系の知識、考え方を卒前に補うことを目的
としている。一日2コマ、全部で6~7回の授業を実施、平常点・出席点・テ
ストの点で評価する。講師陣は多彩で、学内の教員(臨床薬学、医療社会学担
当)に加え、外部から有識者(臨床医学、プライマリ・ケア、社会保障制度、
在宅ケア、薬害等を担当)を招き、教育にあたっている。
この発表では、ビデオを用いて講義のデモストレーションを行い、現時点で
の問題点を挙げ、今後の課題を提示する。
2.改善を要する点
(1)マンパワー不足
(2)専属スタッフ不在
(3)資金不足
(4)コネクション不足
(5)認識が不十分
(6)運営システムが未整備
3.今後の課題
(1)マンパワーの充足
(2)専属スタッフの配置
(3)内外の理解の促進
(4)運営システムの改善
(5)負荷の軽減
(6)テキスト改訂
(7)学会等での発表
(8)データ分析
4.ヒヤリ・ハット報告
(1)そこまではやれません!!
(2)想定外でした・・
(3)え? この科目落ちるの?
(4)文の書き方がわからない
(5)ひきこもってました・・
(6)僕は卒業できますか?
5.ちょっとよい話
(1)おまえら聴けよ!!
(2)K試より大事
(3)癒されるよね・・
(4)頭をガツン!!
(5)涙がポロリ
(6)何やってたんだろう・・
(7)身が引き締まる
(8)キャッチボール
(9)ひとの役に立ちたい
(10)薬剤師ってサービス業!?
(11)あのひとと話したい
(12)先生、ありがとう!!
(13)新しい一歩
(14)また授業受けたいな
専門: 医療社会学、医療倫理学
所属: 明治薬科大学
◆2月例会(第154回総合部会例会)
例会
日時:2007年2月4日(日) 15:00~17:30
会場:上智大学 2号館6階 ドイツ語学科会議室
演者:Ulrich Lohmann 氏
(司会・通訳: 村松聡 氏)
演題:Informed Consent und Ersatzmöglichkeiten bei Einwilligungsunfähigkeit in Deutschland
― Ein Überblick
専門:Gesundheitspolitik und Medizinethik
所属:Alice Salomon Fachhochschule Berlin
◆1月例会(第153回総合部会例会)
例会
日時:2007年1月6日(土) 14:30~17:30
会場:上智大学 2号館6階 ドイツ語学科会議室
演者:宮脇美保子 氏(順天堂大学)
(司会:鈴木正子 氏)
演題:患者-医療者の関係性とインフォームド・コンセント
要旨:
わが国でインフォームド・コンセントの概念が用いられるようになったのは、
1980年代後半ころからであり、1997年の医療法改正においては、インフォームド
・コンセントが医療者の努力義務として盛り込まれた。
では、その後の医療現場ではどのように努力されてきたのであろうか。「串刺
しの心」と書く患者はいつの間にか、サービスとして医療の象徴として「患者様」
と呼ばれるようになった。この呼称を歓迎する人もいるであろうが、多くの患者
は「様」と呼ばれるよりも、もっと本質的なところで医師や看護師と対等な関係
を築きたいと願っており、違和感を感じているのではのないかと考える。それは、
医療スタッフについても言えることであろう。「様」呼称に変わって確かに若干、
言葉遣いが丁寧になり接遇が改善されたところもあるかもしれない。しかしなが
ら、人間の存在や人生の質に直接関わる医療は、他のサービス業と同じというわ
けにはいかないであろう。
医師や看護師は、免許を持つが故に許され、課されるところの、不可侵で文化的
に禁忌であるような身体的行為を行うのである(Fox,2003)。
今回は、医療現場における患者と医療スタッフ(学生も含む)との関係性から見
たインフォームド・コンセントの課題について論じたい。
専門:看護学
所属:順天堂大学
◆12月例会(第152回総合部会例会)
例会
日時:2006年12月2日(土) 14:30~17:30
会場:上智大学 2号館6階 ドイツ語学科会議室
最寄駅:JR中央線・総武線/地下鉄丸ノ内線・南北線/四ッ谷駅下車徒歩3分
演者:渡邉淳 氏(日本医科大学)
(司会:一戸真子 氏)
演題:本邦における遺伝診療の現状と課題
――日本医科大学付属病院遺伝診療科の取り組みを通して――
要旨:
本邦でも臨床遺伝専門職の確立や遺伝子医療の基盤が整備されつつあり、平成
16年に発表された「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いの
ためのガイドライン」で遺伝情報を診療に活用する場合の取り扱いについて述べ
られている。今後、「遺伝」問題への対応はどの医療従事者にも求められてくる
と予測される。
日本医科大学付属病院では、平成10年4月より遺伝外来を開設している。外
来担当者は分子遺伝学研究者(医師)2名、小児科医2名、産婦人科医1名(す
べて日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会臨床遺伝専門医)、看護師
2名、助産師1名から構成している。外来は複数の医師と看護婦がチームを組ん
で行っている。電話予約の後、初回来院時に受診者から情報を収集する。定期的
に行っている遺伝診療カンファレンス(現在は月1回)においては、担当者以外
に他科臨床医、研究者、臨床心理士も参加し、個々の症例における問題点を検討
する。カンファレンスでは、毎回多くの意見が出され熱心な議論が行われて外来
運営に反映されている。続く外来受診時に受診者自らが理解したうえで意思決定
ができるように情報の提供等を行っている。当初、小児科外来の特殊外来として
行ってきたが、平成15年5月から院内措置で遺伝診療科が発足した。
遺伝子医療部門として遺伝情報を適切に扱うための新たな診療科である「遺伝
診療科」をどのようにとらえていけばよいか、これまでの実践経過に検討を加え、
現在の取り組みも踏まえ報告する。
専門:遺伝診療、遺伝医学教育、遺伝子研究
所属:日本医科大学
◆11月例会(第151回総合部会例会)
例会
日時:2006年11月4日(土) 15:00~17:30
会場:昭和大学 病院 入院棟17F 第二会議室
中原街道沿いの入り口から入り,入って左手のエレベータにのってくださ い。
→(アクセス)
演者:打出喜義 氏(金沢大学)
(司会:岡本天晴 氏)
演題:「同意なき臨床試験」裁判から
要旨:
平成18年4月、最高裁判所第二小法廷は名古屋高等裁判所金沢支部平成
15年(ネ)第87号損害賠償請求事件について、同裁判所が平成17年4
月に言い渡した判決(*1)に対し行われた上告及び上告受理申し立てを棄
却する決定を下し、平成11年6月、「高用量」抗がん剤の無作為化比較臨
床試験の被験者に無断でされたとして遺族が提訴した裁判(*2)は、7年
の歳月を経て終結することになった。
そこで本発表では、この裁判の経過を振り返ることにより、(1)「同意
なき臨床試験」が行われた経緯と背景、(2)「被験者からの同意のない臨
床試験は不当である」とする至極当然の判決が確定するまでに、なぜ、7年
もの歳月を要したのか、(3)本件では「臨床試験におけるインフォームド・
コンセント」を当該裁判所はどう判示したのか、につき紹介してみたい。加
えて、本発表者はこの裁判に原告側から関わってきたため、(4)その立場
から見えて来た我が大学の現状を紹介し、もしそれが旧弊であるとすれば、
それを改める方法などについて、みなさまと共に考えてみたい。
参考資料 (*1)名古屋高等裁判所金沢支部 平成15年(ネ)第87号 損害賠償請
求控訴事件(H17. 4.13)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/4A2BFEE0DA9D6BAD4925702E00030C6F.pdf
(*2)金沢地方裁判所第二部 平成11年(ワ)第307号 損害賠償請求
(H15. 2.17)
(3)・仲正 昌樹・打出 喜義・仁木 恒夫【著】
『人体実験』と患者の人格権―金沢大学付属病院無断臨床試験訴訟をめぐって
(御茶の水書房 、2003年)
(4)・仲正 昌樹・打出 喜義・安西 明子・仁木 恒夫【著】
『人体実験』と法―金沢大学附属病院無断臨床試験訴訟をめぐって
(御茶の水書房、2006年)
(4)「大学病院」のインフォームド・コンセントは危ない
http://www.shiojigyo.com/en/column/0602/main.cfm
(5)既承認薬のランダム化比較試験は臨床研究ではないので被験者のインフォ
ームドコンセントは必要ない、とする国および治験の権威者の見解を問い、被
験者保護法の確立を求める上申書
http://www.asahi-net.or.jp/~yz1m-krok/others/uchide.htm
専門:産婦人科
所属:金沢大学
◆10月例会(第150回総合部会例会)
例会
日時:2006年10月7日(土) 14:30~17:30
会場:上智大学 2号館6階 ドイツ語学科会議室
最寄駅:JR中央線・総武線/地下鉄丸ノ内線・南北線/四ッ谷駅下車徒歩3分
→(アクセス)
→(キャンパスマップ)
演者:江黒忠彦 氏(帝京平成大学)
(司会:棚橋實 氏)
演題:日本政府によるヒト胚の取扱いと未受精卵の入手のあり方
要旨:
平成16年7月23日、総合科学技術生命倫理専門調査会は、多くの反対意見の中
で「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」の最終報告案を提出した。この案で
は、人クローン胚は、ヒト受精胚と同じ資格を有するとして、他に治療法のない
難病等に対する再生医療のための基礎的な研究に対して、ヒト受精杯と同様に
その作成・利用を容認される。従来の指針・報告書にはなかった、この立場変更
の決定にはいかなる背景があるのか、そして、どのような根拠からその決定が下
されたのか、これらを明らかにしながら、そこに伏在する問題を取り出してみた
い。
更に、総合科学技術会議によるこのヒト胚の取扱いを受けて、文部科学省は平
成16年10月に、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会特定胚及びヒトES細胞
研究会人クローン胚研究利用作業部会を設置した。人クローン胚研究作業部会は
平成18年6月20日に、「人クローン胚の研究目的の作成・利用のあり方について」
という中間取りまとめ案を提出した。この案で焦眉の問題となるのが、人クロー
ン胚作成で必要となる未受精卵の入手である。案では、手術により摘出された卵
巣や卵巣切片、生殖補助医療には利用されなかった未受精卵や非受精卵、卵子保
存の目的で作成されたが不要化された凍結未受精卵、これらの卵資源が、「適切な」
インフォームド・コンセントを受けた後、提供を受けることを認めるとするが、
無償ボランティアからの提供は当面認めないとする。しかし、人クローン胚の作
成も未だ実現できていないという事実、クローン胚研究の実効性への危惧、卵子
提供者への精神的身体的負担等を考えてみると、果して「適切な」インフォーム
ド・コンセントを取ることができるのか。このことを中間的取りまとめ案の中で
検証したい。
専門:倫理学、医療倫理学
所属:帝京平成大学
◆9月例会(第149回総合部会例会)
例会
日時:2006年9月2日(土) 14:30~17:00
会場:上智大学 2号館6階 ドイツ語学科会議室
演者:黒須三惠 氏(東京医大)
(司会:朝倉輝一 氏)
演題:人クローン胚の研究目的の作成・利用のあり方について(中間取りまとめ)」について(報告)
演者:関根透 氏(鶴見大学)
(司会:朝倉輝一 氏)
演題:江戸時代の医の倫理の標語
◆7月例会(第148回総合部会例会)
例会
日時:2006年7月1日(土) 12:00~14:00
会場:上智大学 2号館6階 ドイツ語学科会議室
最寄駅:JR中央線・総武線/地下鉄丸ノ内線・南北線/四ッ谷駅下車徒歩3分
演者:奈良雅俊 氏
(司会:小松奈美子 氏)
演題:インフォームド・コンセントに関するフランスの法制
要旨:
本発表の目的は、インフォームド・コンセントに関するフランスの法制を概観
することである。フランスでは生物医学研究や臨床における実践を規制するにあ
たって、規制の倫理原則を(ガイドラインや専門職綱領によってではなく)法律
によって規定してきた。このような規制の根幹をなしてきたのが、1988年のいわ
ゆる「ユリエ=セリュスキュラ法」であり、1994年のいわゆる「生命倫理法」で
ある。ところで近年フランスでは、科学研究の進歩や患者の権利の進展に対応す
るために、法律の改正や立法が行われている。生命倫理法の改正(2004年)をは
じめとして、臨床行為に関しては、「患者の権利および保健システムの質に関す
る2002年3月4日の法律第2002-303号」が制定され、さらにその延長線上に「患者
の権利と生の終焉に関する2005年4月22日の法律第2005-370号」が制定された。
この二つの法律は、パターナリズムの傾向が強い臨床現場において患者の権利を
確立することを目的としていた。他方で、生物医学研究や臨床試験に関しては、
「公衆衛生政策に関する2004年8月9日の法律第2004-806号」が制定された。これ
は上記の「患者の権利および保健システムの質に関する」法律との整合性をはか
るとともに、他方で「欧州臨床試験指令(Directive 2001/20/EC)」の施行にとも
なう国内法の整備という目的からなされた立法である。このようにして公衆衛生
法典等の大幅な改正が行われた。本発表では、研究倫理と医療倫理の諸問題の中
からインフォームド・コンセントに論点を絞り、研究と臨床のそれぞれの領域で
のインフォームド・コンセントのあり方が現行の法律の枠組みの中でどのように
規定されているかを報告したい。このようなフランスの動向紹介に加えて、フラ
ンスの臨床倫理および研究倫理の推移と特徴のいくつかに言及したい。
専門:倫理学、医療倫理学
所属:東京大学大学院医学系研究科
◆6月例会(第147回総合部会例会)
例会
日時:2006年6月3日(土) 14:30~17:00
会場:上智大学 2号館6階 ドイツ語学科会議室
最寄駅:JR中央線・総武線/地下鉄丸ノ内線・南北線/四ッ谷駅下車徒歩3分
演者:浜田正 氏
(司会:宮下浩明 氏)
演題:インフォームド・コンセント再考
―治験・臨床試験におけるインフォームド・コンセント
要旨:
被験者の人権を尊重するために、日本では治験のルールとしてGCP(good
clinical practice)が制定されたのは、1980年代末であった。しかしながら、こ
のルールは守られず、ソリブジン事件などがあって、ようやく1990年代末になっ
て、新GCPが作られ、被験者の人権を尊重するための基礎作りがなされるように
なった。
とはいえ、新薬の候補物質の「効果」と「副作用」が被験者に情報提供される
ようになると、被験者の数が激減し、治験の実施が困難になっていった。日本製
薬工業会は国民に対して治験参加を促すために(協力を要請するために)2つの
テレビ番組を作成し、キャンペーンを行った。あるいは大新聞などで治験参加者
の募集などを行っている。治験の制度も変化し、とりわけ治験コーディネーター
(経験豊富な看護師、薬剤師など)を導入し、被験者の「ケア」を心がけている。
今回の発表では、被験者の人権を尊重するために治験のプロトコールを吟味検
討し、適切なインフォームド・コンセントの実施を促す役割を果たすべき「治験
審査員会」に関して考察を加えることにする。この考察は、先端医療、臨床試験、
通常の治療の場に導入されつつあるインフォームド・コンセントの再考に繋が
ってゆくだろう。患者・被験者の自己決定は果たして可能になるのだろうか。こ
の問題を検討してゆきたい。
専門:哲学、倫理学、生命倫理
所属:新宿鍼灸柔整専門学校、昭和薬科大学
◆5月例会(第146回総合部会例会)
例会
日時:2006年5月7日(日) 14:30~17:00
会場:上智大学 2号館6階 ドイツ語学科会議室
最寄駅:JR中央線・総武線/地下鉄丸ノ内線・南北線/四ッ谷駅下車徒歩3分
演者:小館貴幸 氏
(司会:小山千加代 氏)
演題:人工呼吸器の意味
要旨:
先月、富山の射水市民病院で、患者7人が人工呼吸器を外されて死亡したとい
うニュースが、大々的に報じられたことは、記憶に新しいことであろう。この事
件を受け、各機関が延命治療に関するアンケートを実施した結果、「生命維持装
置をつけた無駄な延命治療を望まない」という答えが多くを占めている。これは、
尊厳死の保護、延命の否定を示していると言えるのだが、「尊厳ある死とは何か?」、
「延命とは何か?」ということは、曖昧なままである。
実際に生命維持装置には、人工呼吸器、人工透析装置、血漿交換装置等があるの
だが、一般的には人工呼吸器によって、それが代表される。人工呼吸器は医学・
科学技術の偉大なる成果であるが、かつては自発呼吸の有無が生死の境界を測る
一つの目安であり、現在の三徴候説においても、依然としてこのことが根づいて
いることもあり、ともすればそれは、「不自然な生」の象徴となり、無駄な延命
という考えにもつながる。
しかしながら、先行しているイメージに対して、人工呼吸器についての知識は
浸透しているとは言えない。各状況や個々の死生観によって異なるのは言うまで
もないが、人工呼吸器の装着を拒否する人が多い一方で、それを装着して生きる
人々が存在する。また、人工呼吸器装着の有無に関しては、医師の説明、語りの
仕方が大きな影響を占めるだけでなく、その決断を迫られた時の家族を含めた周
囲の態度も大きく作用する。
以上のことを踏まえ、本発表においては、まず人工呼吸器そのものに焦点をあ
てる。次いで、「人工呼吸器をつけて生きる」ということはどういうことである
のか?に関して、ALSという難病を患いながら、実際に人工呼吸器をつけて生
きておられる方の生き様を例にして、臨床的視点から、人工呼吸器の意味に対し
て考えてみたい。
小館貴幸 氏
専門:哲学、死生学、生命倫理
所属:立正大学
◆4月例会(第145回総合部会例会)
例会
日時:2006年4月2日(日) 16:00~18:00
会場:東京医科大学 総合情報部棟 1階講義演習室(第一校舎の裏側)
(大学キャンパスの方で、病院の方ではない)
最寄駅は丸の内線「新宿御苑前」下車5分
→(アクセス)
→(MapFan地図)
演者:黒須三惠 氏/岩倉孝明 氏
(司会:木阪昌知 氏)
演題:包括的同意について考える――国立がんセンター中央病院を例に――
要旨:
国立がんセンター中央病院では、検査試料・生検組織・手術摘出組織などの
研究利用について、患者から研究利用の包括的同意が得られなくても、研究利
用に関するお願い文書を患者が受け取ってから、同意するかしないかの意思表
示書が「2ヶ月を経ても提出されない場合は、同意をいただいたとみな」す、
いわゆるオプトアウト方式を採用しているということを知った。
包括的同意が開始された2002年当初は、患者の同意が得られた場合のみ研究
利用する、オプトイン方式で開始された。しかし、2年経っても説明済みの状
態のままで、同意が得られたケースが少なかったので、オプトアウト方式への
変更を検討し、倫理審査委員会にかけ承認を得たという。「このシステムに対
する批判意見は患者さんからは一度も出ていない。また、実際みなし同意の撤
回等もごく少数だが認められ、システムは機能していると考えられる」と関係
する医師は述べている。
臓器移植法において臓器提供はオプトイン方式を採用している。意思表示し
なくても、そっとしておかれていた、意思表示を強制されるという権利侵害で
はないだろうか。
本発表では、2006年度年間テーマであるインフォームド・コンセントの現状
と問題を概観したうえで、上述の問題を考える。すなわち、そもそも未来の研
究利用についても同意を与える「包括的同意」自体に問題はないか。患者に不
利益が及ばず、かつ患者が同意すればよいのか。未来を予測することは容易で
はないのに、患者個人や社会への不利益の防止は如何に可能なのか。正義原則
からは何がいえるのかなどを論じる。
黒須三惠 氏
専門:医学、生命倫理
所属:東京医科大学
岩倉孝明 氏
専門:哲学、生命倫理学
所属:川崎市立看護短期大学