◆3月例会(第166回総合部会例会)
例会
日時:2008年3月8日(土) 14:00~17:30
会場:上智大学 2号館6階 ドイツ語学科会議室
最寄駅:JR中央線・総武線/地下鉄丸ノ内線・南北線/四ッ谷駅下車徒歩3分
→(アクセス)
→(キャンパスマップ)
演者:雨宮久美氏
(司会: 関根透 氏)
演題ルソーの平等論と障害児教育
要旨:
ルソーは『エミール』の序論の中で、あらゆる有用なことのなかでもいちば
ん有用なことは、人間をつくる技術であるとしている。この「人間」をつくる
技術を独自の観点から展開した作品が『エミール』である。ルソーの教育論は、
健常者である児童に対しては容易に適応することができるだろう。しかし全て
の人間が必ずしも健常児として生まれてくるとは限らない。健常者で無い障害
児に対しての教育は、健常者と同様に実施することは不可能ではないだろうか。
またルソーは、この著書において「障害」を持った子供に関する発言を幾度か
用いている。その中でも障害者の感覚を取り上げ、障害児の例を掲げている。
『エミール』を手がかりに、ルソーの考える「教育論」と「障害児」の関係に
ついてルソーは平等論の提唱者であるのか検討してみることにする。そこでル
ソーの教育論と障害者への評価について考えてみようと思う。そしてルソーの
障害児に対する問題点を考えてみたい。
専門: 哲学、倫理学
所属: 日本大学
◆2月例会(第165回総合部会例会)
例会
日時:2008年2月3日(日) 14:30~17:00
会場:東洋大学 甫水(ほすい)会館3階302号室
最寄駅:地下鉄三田線「白山」、南北線「本駒込」
→(アクセス)(白山キャンパスです)
演者:水野俊誠 氏
(司会: 坪井雅史 氏)
演題新型インフルエンザ・パンデミックにおける医療従事者の診療義務
要旨:
平成19年3月に厚生労働省の新型インフルエンザ専門家会議がまとめた『新型
インフルエンザ対策ガイドライン(フェーズ4以降)』は、新型インフルエンザが
蔓延した場合にすべての医療従事者が新型インフルエンザの患者を診療すること
を要求している。しかし、多くの医療従事者が『指針』のこの要求をよく知って
いるのか、それを納得して受け入れているのかどうかは疑わしい。この事実は、
医療従事者には当人自身にどれほど大きな危険をもたらす治療でも行う義務があ
るとすれば、問題を引き起こさないだろう。しかし、そのような義務が医療従事
者にないとすれば、この事実は問題を引き起こす可能性がある。本発表では、医
療従事者にきわめて大きな危険をもたらす診療は医療従事者の義務の限界を越え
るという考え方と、医療従事者には当人にどれほど大きな危険をもたらす診療で
も行う義務があるという考え方を取り上げて考察を加える。
専門: 精神医学、倫理学
所属: 東京大学医学系研究科生命・医療人材養成ユニット
慶応大学大学院文学研究科倫理学専攻
◆1月例会(第164回総合部会例会)
例会
日時:2008年1月12日(土) 14:00~17:00
会場:上智大学 2号館6階 ドイツ語学科会議室
最寄駅:JR中央線・総武線/地下鉄丸ノ内線・南北線/四ッ谷駅下車徒歩3分
→(アクセス)
→(キャンパスマップ)
演者:福山隆夫 氏
(司会: 冲永隆子 氏)
演題スピリチュアリティに哲学はどうかかわるのか
要旨:
スピリチュアリティについての議論がさかんになっている。本報告はこのテ
ーマを、①医療の立場、特に緩和ケア、終末期のケアをどのように取り組むか
と言う立場に限定し、②宗教の立場とは異なった、哲学の立場からのケアを論
じたい。
WHOの緩和ケアの定義には「スピリチュアルケア」が明記されている。またそ
れに伴い、ケアの現場ではこの言葉はすでにごく普通に用いられている。とこ
ろでその内容を考えてみる時、宗教的な立場のアプローチが存在するとともに、
他方では非宗教的な「死の受容」という観点からも用いられていることがわかる。
つまり宗教よりはより広い立場からこの語は用いられている。現在の医療の現場
や周辺の議論では、この語をどのような意味で使うかと言う点である種の混乱が
見られるように思われる。科学と宗教と哲学の関係を整理しながら、哲学の果た
す役割を明確にするよう試みたい。
専門: フランクフルト学派研究
所属: 東京慈恵会医科大学 人間科学教室 人文科学研究室
◆12月例会(第163回総合部会例会)
例会
日時:2007年12月1日(土) 14:00~17:30
会場:上智大学 2号館6階 ドイツ語学科会議室
最寄駅:JR中央線・総武線/地下鉄丸ノ内線・南北線/四ッ谷駅下車徒歩3分
→(アクセス)
→(キャンパスマップ)
演者:清水良昭 氏
(司会: 岩倉孝明 氏)
演題水道水へのフッ化物添加を医学・倫理学的に考察する
要旨:
現在、むし歯予防に対して、アメリカを始めとして世界56か国では水道水への
フッ化物添加が行われている。しかし、日本においては水道水へのフッ化物添加
は行われておらず、おもに歯面塗布、洗口、歯磨き剤への添加など局所的な応用
のみにとどまっている。実施している諸外国においては、むし歯は減少し、日本
も減少はしているものの諸外国と比較すると罹患率は高い。人体への悪影響はな
く、しかも医療費抑制という大きな利益が想定されるにもかかわらず、なぜ上水
道へフッ化物を添加しないのか?実際に埼玉県では上水道へのフッ化物添加を議
会で議論しながら断念した経緯がある.これらを踏まえ水道水へのフッ化物添加
について医学・倫理学立場から会員諸氏のご意見を伺いたい。
専門: 障害者歯科学
所属: 明海大学
◆11月例会(第162回総合部会例会)
例会
日時:2007年11月3日(土) 15:00~17:30
会場:芝浦工業大学豊洲校舎 研究棟5階 大会議室
●会場が芝浦工業大学です。ご注意下さい。
アクセス: 東京メトロ有楽町線の有楽町駅から新木場方面へ、所要時間約10分で、
豊洲駅下車
→(最寄駅までの案内)
→(最寄り駅からキャンパスまでの案内)
有楽町線豊洲駅3番出口のエスカレーターを上ると、円形広場に出ます。円の中心
を通る直径に沿って広場を横切り、そのまま前方に階段を上がります。階段を上がっ
て真っ直ぐ進むと、十字路に出ます。
正面に運動場のような高い柵のある公園、右手に大きなホームセンター(ビバ・
ホーム)があります。道路を正面に渡って左方向へ、公園を右に見ながら歩道を真っ直
ぐに少し進むと、右側に新しい芝浦工業大学の校舎が見えます。
正面から見ると、凱旋門を真似たような中がくりぬかれた建物です。道路を挟んで
反対側には、マクドナルド、牛丼の松屋、セブンエレブンがあります。駅から大学ま
で10分足らずです。
大学の建物はL字型で、L字型の折れた曲がった部分、凱旋門の左足の根元に入り
口があります。
入り口を入ると右手にエレベーターがあります。そのエレベーターで5階に上がっ
てください。エレベーターを出て右手奥が会場の研究棟大会議室です。
万一、会場の場所がわからない場合には、建物の入り口を入って左側にある守衛室
で聞いてください。
(なお、「ゆりかもめ」豊洲駅から来られる方は、ホームセンター(ビバ・ホーム)
を目指し、ホームセンターを右に見ながら歩道を真っ直ぐにしばらく進むと、右側に
新しい芝浦工業大学の校舎があります。)
演者:宮嶋俊一 氏
(司会: 棚橋實 氏)
演題:医療と宗教・スピリチュアリティ
要旨:
医療現場、とりわけ終末期医療において「スピリチュアル・ケア」の重要性が
説かれるようになり、「スピリチュアル」「スピリチュアリティ」といった語も
頻繁に目にするようになった。だがその一方で、「スピリチュアリティ」とは何
かということについて共通了解が形成されているとは言い難い。管見では、「伝
統宗教」から「スピリチュアリティ」へと継承されたものと、そうではないもの
があるように思われる。そこで本発表では、宗教学・死生学の立場から「宗教」や
「スピリチュアリティ」について考え、それらが医療とどのように関わ(りう)る
のか、また医学哲学・倫理学とどのような関係にあるのか、といった問題について
考えてみたい。
専門: 宗教学、死生学
所属: 大正大学
◆10月例会(第161回総合部会例会)
例会
日時:2007年10月6日(土) 14:30~17:30
会場:鶴見大学歯学部3号館2階 3-4教室
最寄駅はJR鶴見駅、京急鶴見駅。下車して5分ほどで鶴見大学歯学部に
着きます。
●会場が横浜の鶴見大学です。ご注意下さい。
→(アクセス)
演者:浅見昇吾 氏
(司会: 村松聡 氏)
演題:生命倫理の基礎付けには、実体的理性は必要か? ――究極的基礎付けの射程を巡って――
要旨:
現代の哲学界でもっとも強い理性主義者と言われるヴィットリオ・ヘスレは、
様々な生命倫理の問題に積極的に発言している。その中で生命倫理を基礎付けるに
は、「価値」というものに根本的な基礎付けが必要であり、功利主義的な計算など
は適さない、と強く主張する。その基礎付けを根本から支えるのが、「究極的基礎
付け」(Letztbegruendung) に他ならない。この「究極的基礎付け」、生命倫理の
基礎付けはどのようなものだろうか。そして、どの程度の説得力を持つのだろうか。
ヘスレの生命倫理の議論の功罪はどのようなものだろうか。このようなことを吟味
していきたい。
専門: 哲学、倫理学
所属: 上智大学
◆9月例会(第160回総合部会例会)
例会
日時:2007年9月1日(土) 14:30~17:30
会場:鶴見大学歯学部3号館2階 3-4教室
最寄駅はJR鶴見駅、京急鶴見駅。下車して5分ほどで鶴見大学歯学部に
着きます。
●会場が横浜の鶴見大学です。ご注意下さい。
→(アクセス)
演者:児玉正幸 氏
(司会: 田辺英 氏)
演題:無償の代理出産(借り腹)に対する肯定的所見―日本学術会議への提言
要旨:
諏訪マタニィティークリニック院長・根津八紘医師は2006年10月15日、
東京都内で記者会見を開き、日本産科婦人科学会(以下日産婦)が会告
「代理懐胎に関する見解」(平成15年4月)で禁止する代理出産(借り腹)
を新たに3例(通算5例)実施した旨、公表した。同医師に依れば、2例が
子宮を摘出した姉妹間での代理出産であるのに対して、他の1例は「祖
母が孫を生む代理出産」、つまり、子宮癌で子宮摘出手術を受けた30代
の娘の代わりに実母(50代後半)が代理出産(2005年春)したケースであっ
た。
不妊患者に真正面から向き合う同医師の相次ぐ社会への問題提起に対
して、政府(法務・厚生労働両省)は2006年11月30日、代理出産を中心と
する生殖補助医療(不妊治療)のあり方について、日本学術会議(金沢一
郎会長)に審議を要請した。同会議は代理出産の是非などについて幅広
く議論するために、2007年1月17日に第1回生殖補助医療の在り方検討委
員会を開き、1年をめどに(2008年早々にも)見解をとりまとめる作業に
入った。同委員会は以後、順調に会合を重ねて、現在に至る。
上記実情を踏まえて、代理出産を審議する日本学術会議に対して、姉
妹や実母が無償の人間愛と相互扶助精神に基づいて行う無償の代理出産
(借り腹)に対する肯定的所見を提言したい。論旨の展開は、以下の通り。
(1)国(「厚生科学審議会生殖補助医療部会」)が「代理懐胎surrogate
conception(代理母genetic surrogacy=伝統的代理母traditional
surrogacy=人口授精型代理母IUI surrogacy・借り腹=代理出産(妊娠上
の代理母)gestational surrogacy=体外受精型代理母IVF surrogacy)」
を刑事罰で禁止すべしとする理由
(2)「代理懐胎(代理母・借り腹=代理出産)」に対する日産婦の批判的見
解
(3)「代理懐胎(代理母・借り腹=代理出産)」に対する日本弁護士連合会
(以下日弁連)の批判的見解
(4)所見
(5)補遺―江湖の代理出産批判に対する所見
(なお、上記下線部は、国と日産婦および日弁連が使用する用語)
専門: 哲学・倫理学
所属: 鹿屋体育大学
◆7月例会(第159回総合部会例会)
例会
日時:2007年7月7日(土) 15:00~17:30
会場:上智大学 2号館6階 ドイツ語学科会議室
最寄駅:JR中央線・総武線/地下鉄丸ノ内線・南北線/四ッ谷駅下車徒歩3分
→(アクセス)
→(キャンパスマップ)
演者:長島隆 氏
(司会: 北澤恒人 氏)
演題:「生命政策(Biopolitik)」と「人間の尊厳」-ドイツにおけるBiopolitikの現在
要旨:
「人間の尊厳」をめぐる議論はすでに国際的な認知を得てユネスコ
の「生命倫理」宣言における「生命倫理の4原則」を統括する位置にお
かれた。だが、どのように体系化されるかは今後の問題である。
ドイツにおいてはこの議論は依然として続いており、しかも二つ
の論拠(①基本法第1章第1項、②思想史的文脈)のうち第1の論拠を
めぐって大きく現実的な課題となっている。今回の報告では、こ
の第1条第1項をめぐる議論を紹介する。私の見解では、その伏流
がすでに1980年代のハーバーマスらの「歴史家論争」あたりにまで
さかのぼり、さらに言えばドイツの戦後史そのものを問う議論へ
とむかっていることである。このような議論の仕方は日本におい
てもすでに日本における「医療倫理」の議論を発信する際に、常に
日本の戦後史とりわけ、第二次世界大戦時の日本の医師集団の「人
体実験」に対する総括を迫るものになっている。しかも、この議論
の背景には、すでにミシェル・フーコーに発するBiopolitikの議論
があることを指摘できる。
フーコーのBiopolitikの議論はドイツではAgnes HellerらのBiopo
litikを経てハート・ネグりの「帝国」の議論を批判的に摂取するプ
ロセスとして現れている。
もう少し詳しいレジュメと文献表を配布することにしたい。
専門: 哲学
所属: 東洋大学
◆6月例会(第158回総合部会例会)
例会
日時:2007年6月2日(土) 14:30~17:30
会場:上智大学 2号館6階 ドイツ語学科会議室
最寄駅:JR中央線・総武線/地下鉄丸ノ内線・南北線/四ッ谷駅下車徒歩3分
→(アクセス)
→(キャンパスマップ)
演者:近藤まゆみ 氏
(司会: 柳堀素雅子 氏)
演題:がん医療における予後告知と患者・家族・医療者の体験
要旨:
現在のがん医療の現場では、15~20年前に比べて病名や病状を患
者自身に伝えることが多くなってきた。これは病気について知りたい
と思う患者が増えてきたこともあるが、医療者の<伝えたほうが良
い>とする思いやポリシー、スムーズな治療の確保、隠すことにか
けるエネルギーの回避、誠実さなどが関係しているように思う。そ
の中で予後告知は病名告知と違い、患者に近い将来死が訪れること
を宣告することにつながるため、医療者も慎重になる。治療の継続
・中止において患者自身の意思を尊重した医療は重要であるが、こ
れは患者に予後告知を行うことと関係しているため、重要性は理解
していても躊躇する医療者も多い。
患者に病気の深刻さや予後を伝えることに、医療者が悩む背景に
あるものは何であろうか。患者自身の受け止めていく強さと弱さ、
医療者個人の価値観・死生観、患者の「知りたいけど知りたくない」
というアンビバレントな思い、患者の情報探求パターン、家族の強
い反対、Bad Newsを伝える難しさ、治療医としてのアイデンティテ
ィ、告知後のサ ポート体制の未整備。背景にあることも簡単に取り
組めることではない。
患者に何をどのように伝えるかの問題を考える上で、家族の意思も
考慮した医療を行うことは大切なことである。しかし、医療者が大
切にしている患者の意思と、家族が語られる思いに相違がある場合
、医療者の葛藤は大きい。葛藤は苦しい体験であるがそこから逃げ
ずに、家族とこの問題について話し合いながら、患者にとって最善
の方向性は何かを共に考えていくプロセスを歩むことが大切だ。家
族はなぜ患者の利益に反することを希望するのか。家族の思いをど
こまで尊重するべきなのか。医療者は家族をどう捉えているのか。
今回の会合では、特に予後や病気の深刻さを伝えることにおける
患者・家族の体験・思い、医療者の体験・葛藤・対応などの現状を
お伝えしたい。今後の議論の参考になればと思う。
専門: がん看護専門看護師
所属: 北里大学病院
◆5月例会(第157回総合部会例会)
例会
日時:2007年5月6日(日) 14:00~17:00
会場:東京医科大学 総合情報部棟 1階講義演習室(第一校舎の裏側)
(大学キャンパスの方で、病院の方ではない)
最寄駅は丸の内線「新宿御苑前」下車5分
→(アクセス)
演者:坪井雅史 氏
(司会: 奈良雅俊 氏)
演題:「医療情報と物語―NBMの視点―」について
要旨:
この度の例会では、本学会がシリーズで刊行している『生命倫理
コロッキウム3 医療情報と生命倫理』第10章所収の拙論「医療情
報と物語 -NBMの視点-」の合評会としていただくことでご了承
いただきました。 この小論では、NBM(物語と対話にもとづく医
療)の背景、およびその内容と意義について、特にNBMの基礎にな
る世界観と人間観について、EBMとの対比、また「情報と物語」と
の対比のなかで論じております。そしてそこから、NBMが持つ臨床
倫理学的な意義として、既に生じた問題を解決するための手法とし
てだけでなく、倫理的問題が生じないようにするための臨床の倫理
としての重要性を指摘しました。 なお当日は、内容を簡単に紹介
し、(準備が間に合えば)少しばかり補足させていただいた上で、
皆様にご意見を頂きたく存じます。
専門: 倫理学
所属: 神奈川大学
◆4月例会(第156回総合部会例会)
例会
日時:2007年4月7日(土) 16:00~17:30
会場:東京医科大学 総合情報部棟 1階講義演習室(第一校舎の裏側)
(大学キャンパスの方で、病院の方ではない)
最寄駅は丸の内線「新宿御苑前」下車5分
→(アクセス)
演者:小出泰士 氏
(司会: 大井賢一 氏)
演題:臓器移植におけるジレンマ―臓器提供をめぐる家族の役割について―
要旨:
臓器移植は今日世界的には通常の医療とみなされている。日本においても、
1997年の「臓器移植法」施行により、脳死の人からの心臓移植や肝臓移植が
法律で認められた。だが、たとえば日本における心臓移植の実施件数は、そ
れ以来年に平均してわずか5件位にとどまっている。そのため現在国会議員の
間では臓器提供条件の見直しも検討されている。臓器移植という医療は、一
般市民からの臓器提供がなければ成り立たないいわば社会ぐるみの医療であ
るが、はたして人々は臓器提供に関して十分に理解し納得しているのだろう
か。移植のための臓器提供の是非に関するさまざまな考え方(患者本人の身
体の不可処分、連帯性による臓器提供の義務、死体に対する家族の権利等々)
とそこにおける家族の役割を、日本とフランスの考え方を視野に入れて検討す
る。
専門: 倫理学、生命倫理学
所属: 芝浦工業大学