2011年度

 

2011年度に行われた総合部会例会の記録

2011年度関東支部総合部会年間テーマ:「多文化社会における医学哲学・倫理」 →趣意書


◆3月例会(第210回総合部会例会)

日時:3月4日(日)15:00~17:30
会場:上智大学2号館6階 ドイツ語学科会議室

演者:今井 道夫 氏(司会 尾崎 恭一 氏)
演題:ニーチェの病、ニーチェの哲学
要旨
医科大学を退職するまで、私はかなりの力を生命倫理学に割いてきた。今後、 以前より関心があった医学哲学的研究を多少でも推し進めることができればと考 えている。とりあえずは、哲学・思想史的な視点から入ってゆきたい。
2年前に「ニーチェと病――ハンマーをもって哲学する――」と題して最終講 義をし、その端緒とした。ニーチェの生涯は病との闘いの連続であった。ニーチェ の哲学がその影を多少とも背負うことになったのは、自然な成り行きであった。 しかし、その哲学を彼の病の産物とするような暴論もあったため、これまで哲学 の側からそれに深入りすることには慎重にならざるをえなかった。とはいえ、そ こに由来するところのある彼の健康や病にかんする考察は注目してよいはずであ る。
ニーチェの病、その病状、病因については医学的観点からは長く議論されてき た。近年にも大部の研究書が刊行されているので、そうした文献を参考に彼の病 歴を見てみる。それを踏まえつつ、彼の哲学における彼の病の反映を検討する。 その際、哲学的内容にとどまらず、表現や文体上の特色も考慮する。なにか特別 の結論を得ることは望むべくもないけれども、哲学思想史や文化史との連関で病 気を、医学医療を考察する道を示すことができればと思っている。

所属:札幌医科大学名誉教授

参加費:300円


◆2月例会(第209回総合部会例会)

日時:2月4日(土)15:00~17:30
会場:東洋大学白山校舎 6214番教室(6号館2階)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/access/hakusan_j.html

演者:上原 雅文 氏(司会:関根 透 氏)
演題:日本人の霊魂観
要旨
死は必ず迎えなければならない未知の領域である。人間は自己自身の死に対す る不安や恐怖心を抱き、また親しい人の死に底知れない悲しみを抱く。死の問題 は、倫理学にとって不可欠の領域である。古来、死への不安・恐怖心、悲しみを 克服するために様々な信仰や儀礼があった。それらの前提にあるのは霊魂の存続 である。しかし、現代の多くの日本人は「無宗教」を標榜している。では、霊魂 の存続への信仰や儀礼は形骸化しているのだろうか。決してそうではあるまい。 日本人は、親しい人の死に際しての、あるいは死後の儀礼を重視し意義を感じて いる。しかし、多くの場合、その儀礼の前提となっている霊魂観を明確に自覚し ているわけではないのである。このような中で、死の問題を考える倫理学にとっ て必要な基礎作業の一つは、日本の伝統的な霊魂観を把握し、その意味について 再検討することであろう。周知のように、そこには仏教・儒教・神道のいずれの 霊魂観でもない独自の霊魂観がみられる。しかも、伝統的霊魂観の中には、霊魂 “否定”論も古くからあった。本発表では、霊魂“否定”論も含めた伝統的な霊 魂観について、「よく生きる」ことと関係させつつ考えてみたい。

所属:神奈川大学外国語学部
専門:倫理学・日本倫理思想史

参加費:300円


◆1月例会(第208回総合部会例会)

日時:1月7日(土)15:00~17:30
会場:上智大学2号館6階 ドイツ語学科会議室

演者:小松 楠緒子 氏(司会:長島 隆 氏)
演題:総合人文社会科学の現状と課題-6年制薬学部における試み
要旨
本発表では、明治薬科大学における総合人文社会科学の実践および今後の課題を取り扱う。今年度は、薬学部が6年制になってから、はじめての開講であった。ここでは特に、4年制時からの改定点を中心に発表する。そして、今後の課題を提示する所存である。
総合人文社会科学の概要、目的(含 就職の経緯)に関しては、『薬剤師と社会』(小松楠緒子編著)の第1章およびあとがきをもとに当日発表する(前掲書をお持ちの方はご持参ください)。次 に、6年制化にともなう変更点を挙げる。第一に、特別講師を大幅入れ替えした。基本的にコアカリに対応した布陣への改編を行った。さらに、本講義における 新たな試みとしては、テキストの作成、刊行が挙げられる。『薬剤師と社会』を北樹出版から刊行した。この他の、新たな試みとしては、有志による発表が挙げ られる。
今後の課題としては、サポート体制の充実が望まれる。参加型講義を行っているため、常に人手不足であり、教員の負担は重い。担当教員は、講義のコーディ ネイト、特別講師の接遇、印刷物の配布、カードリーダーによる出欠確認を基本的にひとりで実施している。これからは、TA等のサポートが必要である。この 他の課題としては、教育工学的アプローチによる分析、考察、発表がある。

所属:明治薬科大学
専門:社会学

参加費:300円


◆12月例会(第207回総合部会例会)

日時:12月4日(日)15:00~17:30
会場:上智大学2号館6階 ドイツ語学科会議室

演者:半田 栄一 氏(司会:江黒 忠彦 氏)
演題:現代の医療と禅 -白隠に関して-
要旨
現代医療の性格と現状、問題点を捉えた上で、白隠の禅と健康法について述べ、 統合医療、医療と宗教の関係について考察してみたい。
白隠は厳しい修行生活の中で、いわゆる禅病と結核を患う。種々の治療を試み たが効果なく、白幽子より神仙錬丹の極意を学び、その実践によって鍼灸や医薬 によらず治したとされる。白幽子より学んだとされる秘訣を記したものが『夜船 閑話』であるが、これは神仙思想や老荘思想に基づくものといえる。この錬丹術 は、丹田呼吸と内観の瞑想によるイメージ療法としての「軟酥の法」である。
『夜船閑話』および『遠羅天釜』は、仏教以外にも易、道教、神仙、儒教等多 様な思想や医学的身体論に基づいており、それらの思想が生かされつつまとめら れており「習合的」である。陰陽の和合により人が生じ、天の元気が全身心をめ ぐること、また孟子の浩然の気を気海丹田に収め、養うことによって、宇宙と一 である「大環丹」となること等である。禅病は「心火逆上」によって起こり、呼 吸と内観によって、気を丹田に収めることにより癒され、本来の安定した心身の 調和が回復するという。白隠は、こうした「習合的」ともいえる多様な思想や身 体的技法を学ぶと同時に、自らの治病体験を通してこの健康法を見出すに至った。 この健康法は、心身一体の行における禅本来の修証に連なっているのである。 「転々治せば転々参ぜよ。」と治病や健康法のみが目的ではなく、弁道修行をめ ざしていたのであり、治病や健康法がそのまま修証に他ならない。
白隠の禅と健康法は、現代の全人的医療の視点から重要な要素を含む。近代の 科学主義に根ざす医学は、医療と宗教・信仰を、次元を異にするものとして捉え るが、同時に心身二元論や機械論的捉え方の限界が指摘され精神医学、心理学、 内科学・生理学等において心身の相関性がいわれるようになった現代、身体に基 礎を置き、内観を説く白隠の持つ意味は大きい。また現代の統合医療の中に、白 隠の呼吸法や内観はその地位を得て生き続けている。白隠の呼吸法・内観は真正 の禅道と悟りへと導くものであり、ここから宗教体験を介した精神療法の可能性 も開かれる。

所属:元嘉悦大学講師

参加費:300円


◆11月例会(第206回総合部会例会)

日時:11月12日(土)15:00~17:30
会場:東洋大学白山校舎 6号館2階6213番教室
アクセス:http://www.toyo.ac.jp/access/access_j.html

演者:石田 安実 氏(司会:坪井雅史氏)
演題:脳神経科学における多層的説明
要旨
「脳神経倫理学」の一つの理解は、私たちの行う倫理的判断の脳神経科学的研究だが、それは、(判断という)心理的活動を脳神経に関する知見でいかに機械 論的あるいは“ボトム-アップ”で説明するか、という試みと理解できよう。それは、心理的活動に関する理論(心理学)と脳神経科学理論の間の理論間還元、 さらに前者の後者への還元による“統一理論”を促すと見えるかもしれない。つまり、脳神経科学はそのような理論間還元を必然的に含意すると考えられるかも しれない。そうした理解で脳神経倫理学を展開する論者も多い。
しかし、脳神経科学的探求は、良く見ると必ずしもそうした「統一化」を論理的に導かない。むしろ、理論的説明においては、上記のような統一理論でなくさ まざまな理論が混在することで脳神経科学が発展しているといえるのではないか。それを、還元に関する最近の議論を紹介する形で考察したい。

所属:横浜市立大学 非常勤講師
専門:専門:哲学(特に、心の哲学、認識論)、倫理学

参加費:300円


◆10月例会(第205回総合部会例会)

日時:10月8日(土)15:00~17:30
会場:上智大学2号館6階 ドイツ語学科会議室

演者:伊野 連 氏(司会:奥田 純一郎 氏)
演題:iPS細胞と現代再生医療の倫理性について
要旨
ES細胞[胚性幹細胞]をめぐる倫理的障壁によって行く手を阻まれていた再 生医療研究は、iPS細胞[人工多能性幹細胞]の研究・開発により新たな局面 を迎えることとなった。作成者である山中教授の京大iPS細胞研究所[CiR A]、東大、慶應義塾大、理化学研の国内四拠点をはじめ、我が国のその他の大 学・研究機関でも意気が上がっている。山中方式は米国・欧州といずれも特許を 取得し、従来の遅れを取り戻し、さらに将来は日本が世界をリードするのだとい うムードすら感じられる。
胚を傷つけることがなく、また女性に身体的負担を強いることのないiPS細胞 の登場は、たしかに現代再生医療にとっての福音とも思われる。早くもヴァチカ ンが讃意を表明し、例えば世界で最も厳しいと目されるドイツの胚保護法に鑑み ても、その健全性は保たれているかに思われた。
しかし一方で、iPS細胞のさらなる研究推進にあたっては、従前のES細胞 研究もまた不可欠であるとの指摘(いわゆる「共犯性」の問題)もある。この数 年にわたる我が国の一連のライフ・サイエンス政策の展開においても、従来激し い議論が繰り広げられてきた胚をめぐる倫理性の問題が完全にクリアーされたわ けではない。我々生命医療倫理学者にとっての課題が解決されたわけではまった くない。研究人口の急速な底上げは、確実に技術革新・技術向上へと貢献するで あろう。しかしだからといって、古代から我々に突きつけられた問いである「人 が神を演じてよいのか」について何らかの明確な答えが見出されたわけではない のである。
懸念されていた高発癌率に関してGlis-1の投入による大幅な抑制が確認 できるなど、明るいニュースも次々飛び込むなか、iPS細胞の意義をあらため て問い、またさらにその代替手段などにも目を向けつつ、現段階での最新再生医 療をめぐる倫理性の是非について検討したい。

専門:哲学・倫理学
所属:慈恵看護専門学校

参加費:300円


◆9月例会(第204回総合部会例会)

日時:9月4日(日)15:00~17:30
会場:上智大学2号館6階 ドイツ語学科会議室

演者:仙波 由加里 氏(司会:森 禎徳 氏)
演題:米国における補完代替医療 ― 不妊治療への利用を参考に
要旨
現在米国では、すべてのカップルの7~17%が不妊の問題を抱えているといわれている(Smith 2010, Weiss 2011)。そして近年、不妊の問題を抱える人の補完代替医療(CAM)の利用はめずらしくない。米国では不妊治療にかかる医療費が高いことから、不妊治 療に健康保険がきかない人たちの中にはCAMを使って安い費用で妊娠を試みようとする者がいる。また費用面の問題だけでなく、人工的すぎる医療介入を避 け、自然妊娠を望む人や、不妊治療と並行して、より妊娠しやすい体づくりのためにCAMを利用する者もいる。(Domar, 2006)不妊治療、とくにIVFを受けている患者の間で、伝統中国医療を利用する人が増えつつあり、カリフォルニア州は他州に比べると、不妊患者に鍼治 療や漢方(中国医薬品)を提供するクリニックが目立つ。
そこで本報告では、米国でのCAMに注目し、特に鍼治療を中心とする伝統中国医療の米国への普及の歴史や、現在、人々の間でどのくらいCAMが受け入れ られ、特にカリフォルニア州におけるCAMに関する教育や規制への取り組みを紹介するとともに、不妊治療にCAMがどのようにとりいれられているかを踏ま え、CAMの今後のあり方に言及したい。

専門:バイオエシックス
所属:桜美林大学、スタンフォード大学 客員研究員

参加費:300円

※なお今回は、在米の報告者との、インターネット通信による会議となります。ご承知おき下さい。


◆7月例会(第203回総合部会例会)

日時:7月2日(土)15:00~17:30
会場:東洋大学白山校舎 1号館6階1601教室
アクセス:http://www.toyo.ac.jp/access/access_j.html

演者:杉岡 良彦 氏(司会:森 禎徳 氏)
演題:代替・補完医療とスピリチュアリティ――科学かトリックか――
要旨
まず、代替・補完医療(CAM)がなぜ今日論じられなければならないのか、そ れを生みだす現代医学の問題点を整理したい。次に、それではCAMが、現代医学 の諸問題を解決しうるのか、その可能性を論じる(しかし実際のところ、CAMは 現代医学と同様の、あるいはそれ以上の問題点を抱えているように思える)。発 表者の問題意識は、現代医学もCAMも、共に人間(あるいは病む人)を対象とし つつも、両者の実践の根拠となる人間観が明確に意識されていないこと、あるい は、その人間観と科学の関係が明確にされていない可能性を考察する。
一方で、現代医学には、分子生物学に代表される還元主義的な方法と同時に、 集団を対象とした臨床疫学の方法がある。これらの方法は、CAMと現代医学にど のような反省を迫るのかも、特にスピリチュアリティと健康の関係を論じた論文 を具体的に取り上げながら紹介する。
最後に、今後、CAMと現代医学はどのような関係を模索するべきであるのかを、 特に患者医療者関係の視点から具体例を挙げつつ考察したい。

所属:旭川医科大学

参加費:300円


◆6月例会(第202回総合部会例会)

日時:6月4日(土)15:00~17:30
会場:上智大学2号館6階 ドイツ語学科会議室

演者:住吉 義光 氏(司会:大井 賢一 氏)
演題:がんの補完代替医療 ―臨床試験による科学的検証―
要旨
わが国では、がん患者の約半数が補完代替医療(complementary and alternative medicine, CAM)を利用し、ほとんどは健康食品(キノコ系)であった。
さらに、患者が知りたい情報は治療効果や副作用などであるが、医療従事者に相 談することは稀であった。患者―医療従事者のコミュニケーション不足は否めな いのが現実である。これを改善するためには、信頼できる情報を患者に提供しな ければならない。そのためにはわが国ではほとんど行われていない臨床試験によ る科学的検証が重要である。
この講演では、厚労省がん研究助成金による研究により判明したがん領域での CAMの実態、臨床試験などについて解説し、今後の展望について考察する。

(参考文献)
1.がんの補完代替医療ガイドブック
http://www.shikoku-cc.go.jp/kranke/cam/index.html
2.「がんに効く」民間療法のホント・ウソ-補完代替医療を検証する
住吉義光、大野智 中央法規出版
3.Hyodo I,et al.: Nationwide survey on complementary and alternative medicine in cancer patients in Japan.
Journal of Clinical Oncology 23:2645-2654, 2005.
4.Sumiyoshi Y, et al.:Dietary administration of mushroom mycelium extracts in patients with early stage prostate cancers managed expectantly: a phase II study
Japanese Journal of Clinical Oncology 40: 967-972, 2010

所属:玄々堂木更津クリニック

参加費:300円


◆5月例会(第201回総合部会例会)

日時:5月7日(土)15:00~17:30
会場:上智大学2号館6階 ドイツ語学科会議室

演者:長島 隆 氏(司会:村松 聡 氏)
演題:ドイツにおける自然療法とHeilpraktiker
    -ドイツのおける近代医学、ドイツ医師会の変遷を視野に入れて
要旨
本発表では、ドイツにおける自然療法の現在を19世紀からのドイツ医師会の 形成と近代医学の成立のプロセスから明らかにすることを目的とする。ドイツ の自然療法は近代においてはChristoph Wilhelm Hufelandらを中心とする 1800年前後の「治療」のコンセプトの争いに端を発する。「自然治癒説」と「人 工治癒説」という治療のコンセプトは現在に至るまで大きな枠組みでは変わっ ていない。この「自然治癒説」を代表したのがフーフェラントであり、ここにドイ ツの自然療法は一つの根を持っている。ホメオパシーのSamuel Hahnemann もまた意志であり、そういう意味では大きく近代医学から外れた両方ではな く、この自然療法が「民間療法」へと転換し、ある意味で胡散臭い療法へと転 じるのは、近代医学がその力を増し、ドイツにおいて医師会という形で成立す るプロセスにおいてであり、19世紀を通じての「治療の禁止」と「治療の自由」 をめぐる争いにおいてである。この争いは、結局Heilpraktikergesetzという形 で一応の決着がついた。それは、「治療の」水準、質をどのように保証するの かという問題であった。私の発表では、このプロセスをフォローしながら、「自 然療法」そのものが提起する理論問題にまで迫ることができるように努力し たいと思う。また当日いくつかの資料を配布する予定である。

専門:哲学、ドイツ観念論における自然哲学(ヘーゲル、シェリングを中心とする)および社会哲学の研究。
また応用倫理学(医療倫理、情報倫理、工学倫理、研究倫理など)
所属:東洋大学文学部哲学科教授。東京薬科大学客員教授。

参加費:300円


◆4月例会(第200回総合部会例会)

日時:4月2日(土) 16:00~17:30
会場:上智大学 2号館6階 ドイツ語学科会議室

演者:黒須 三惠氏(総合部会長)(司会 宮下 浩明氏)
演題:「多文化社会における医学哲学・倫理」
    ―2011年度年間テ-マについて
要旨
本年は11月に第1回国際大会が、本学会主催で全国大会に引き続き開催される。両大会の共通テーマが、「多文化社会における医学哲学・倫理」であり、国 際シンポジウムは「多文化社会における医療倫理」がテーマとなっている。この歴史的取り組みである両大会を内容の面からも充実させるために、総合部会でも 両大会の共通テーマである「多文化社会における医学哲学・倫理」が年間テーマとして提案されている。
また、本学会主催の公開講座が「代替・補完医療の可能性と限界の検証」のテ-マのもと、全国大会の直前に関東支部が中心となって開催される。
現代の医学・医療はいわゆる西洋の医学・医療が多様な文化や歴史の相違を超えて世界的主流となっている。その一方で、鍼灸などの伝統医療・民間療法が根 強く行われている。それらの科学的分析が進行しているが、どのような生命や病についての捉え方や倫理観に基づいて実践されているのだろうか。
患者・家族と医師・医療者との関係における倫理的在り方は、文化によってどう異なるのか。しかし、それでも貫かれている普遍的なものはあるのか。「ユネ スコの人権と生命倫理に関する世界宣言」には、人間の尊厳、人権、自律尊重、脆弱性などが掲げられている。また、いのち、身体、病、健康などは文化の相違 においてどのように理解されているのだろうか。
多くの支部会員が例会の議論をふまえて、全国大会および国際大会における発表に向け積極的に取り組むことを多いに期待する。

専門:生命倫理学
所属:東京医科大学

参加費:300円

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