年間テーマ:「多文化社会における医学哲学・倫理」
本年は11月に第1回国際大会が、本学会主催で全国大会に引き続き開催される。両大会の共通テーマが、「多文化社会における医学哲学・倫理」であり、国際シンポジウムは「多文化社会における医療倫理」がテーマとなっている。この歴史的取り組みである両大会を内容の面からも充実させるために、総合部会でも両大会の共通テーマである「多文化社会における医学哲学・倫理」が年間テーマとして提案されている。
また、本学会主催の公開講座が「代替・補完医療の可能性と限界の検証」のテ-マのもと、全国大会の直前に関東支部が中心となって開催される。
現代の医学・医療はいわゆる西洋の医学・医療が多様な文化や歴史の相違を超えて世界的主流となっている。その一方で、鍼灸などの伝統医療・民間療法が根強く行われている。それらの科学的分析が進行しているが、どのような生命や病についての捉え方や倫理観に基づいて実践されているのだろうか。
患者・家族と医師・医療者との関係における倫理的在り方は、文化によってどう異なるのか。しかし、それでも貫かれている普遍的なものはあるのか。「ユネスコの人権と生命倫理に関する世界宣言」には、人間の尊厳、人権、自律尊重、脆弱性などが掲げられている。また、いのち、身体、病、健康などは文化の相違においてどのように理解されているのだろうか。
多くの支部会員が例会の議論をふまえて、全国大会および国際大会における発表に向け積極的に取り組むことを多いに期待する。
(文責:部会長 黒須三惠)