総合部会からのお知らせ

◆2024年10月例会(第320回総合部会例会)

下記の通り、総合部会10月例会を開催致します。
万障お繰り合わせのうえご参加くださいますようお願いします。

【発表者】 小阪康治氏(郡山女子大学等元教授)
【司会者】 中澤武氏(長野大学)

【演 題】 這ってタスキをつないだ駅伝と倫理
【要 旨】
 2018年10月21日、福岡県で行われた、全日本実業団対抗女子駅伝予選会で、2区を走った岩谷産業の飯田怜(19)選手が残り200メートルで転倒して走れなくなったが、四つん這いになって進み始めた。審判員は選手に、競技を続けるか否かを質したが、選手が続ける意志を示したので、その意志を尊重した。これを見て監督は選手に試合を止めさせようと、大会本部に連絡した。しかし監督の意見はすぐには審判に届かず、届いたのはゴールまで後20メートル地点だった。監督の決定が届いたにもかかわらず、審判は後20メートルなので、選手を止めなかった。そして選手はタスキを繋いだ。タスキを繋がないと、チーム全体が失格になる。この事件について、賛否両論が巻き起こった。
 こういう実例は他にも沢山あります。2023年の第41回全日本大学女子駅伝で、大阪芸術大の選手が転倒しフラフラしながらもタスキをつなぎました。また2019年1月の箱根駅伝の1区でも、大東大の選手が転倒負傷しましたが、競技を続行しています。
 これらの実例における倫理問題を考えてみようと思います。

【業績】
著作等
 『応用倫理学の考え方』(ナカニシヤ出版)
 『環境自治体ハンドブック』編著 NPO法人環境管理システム研究会 西日本新聞社 
 『倫理学概説』所収「経営倫理学」ミネルヴァ書房
 『インフォームド・コンセント』所収「臨床における時間とケア」北樹出版
 『アウグスティヌスを学ぶ人のために』所収「ドナティスト論争」世界思想社
 『アウグスティヌス 時間と記憶』H・J・カイザー著 新地書房 翻訳
  
その他、応用倫理学、環境倫理学、経営倫理学、生命倫理学、アウグスティヌス、西洋中世哲学、その他領域に関する、著作、共著、論文、翻訳、共訳等

【日 時】10月12日(土曜日)15時~17時30分
【会 場】お茶の水女子大学 文教育学部1号館611教室
    ・ハイブリッド型での開催を予定しています

※会員には会場とzoomURLをMLにてお知らせします。
※本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください。
(事務局)kondo.hiromi*ocha.ac.jp(*を半角@に入れかえて送信してください。)
※録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

【会場案内】
お茶の水女子大学 文教育学部1号館611教室
〒112-8610  東京都文京区大塚2−1−1 お茶の水女子大学

https://www.ocha.ac.jp/access/
※上記のURLに最寄り駅及び最寄り駅から大学までの案内が記されています。

https://www.ocha.ac.jp/access/ochacampusmap.html
※上記のURLにキャンパスマップがあります。建物番号は、14です。

※大学正門守衛室にて身分証明書もしくは、用件(関東医学哲学倫理学会の総会・総合部会・運営員会出席)、本イベントのお知らせ画面(HP、ML等)をお伝えいただき、構内入場の上、南門近くの建物番号14(文教育学部1号館)、611教室です。

※土、日、祝日は正門のみ出入り可能です。
※セキュリティ上、正門守衛室にて身分証明書又は本イベントのお知らせ画面(HP、ML等)を求められますので、お持ちください。

〇11月例会は休会です
〇12月例会の予定:
 12月7日(土)15時~17時30分 米田祐介氏

 

◆2024年9月例会(第319回総合部会例会)

下記の通り、総合部会9月例会を開催致します。
万障お繰り合わせのうえご参加くださいますようお願いします。

【日 時】9月16日(月、祝日)15時~17時30分
【会 場】お茶の水女子大学 文教育学部1号館611教室
    ・ハイブリッド型での開催を予定しています

※会員には会場とzoomURLをMLにてお知らせします。
※本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください。
(事務局)kondo.hiromi*ocha.ac.jp(*を半角@に入れかえて送信してください。)
※録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

【発表者】 小館貴幸氏 (立正大学)

【演 題】 「終の棲家について」

【司会者】 黒須三惠氏(元東京医科大学教授)

【要 旨】 
 この世に生まれた誰もが人生の物語の終わりとしての死を迎えることを運命づけられている。たった一度きりの死をどのように迎えるのかということは、まさに人生の最後の課題である。この課題に向き合う上で大きな要素の一つとなるのは終の棲家である。なぜなら、終の棲家は死にゆくことと死をまるごと包み込む場となり、死にゆく者が最期に見る風景となるからである。
 「令和4(2022)年人口動態統計」によれば、年間出生者数は約77万人であるのに対して、年間死亡者数は約160万に達しており、少子多死社会が到来している。誰もが迎える一度きりの死に際して、病院での終の棲家となりうる緩和ケア病棟やホスピスの数は、日本ホスピス緩和ケア協会によれば、2023年現在の緩和ケア病棟入院料届出受理施設の累計は全国で463施設であり、病床数の累計は全国で9536施設であった。当然ながら、これでは絶対数が圧倒的に足りておらず、大量の「死に場所難民」の発生が危惧される。このような状況下で、これから人生の最終段階へと歩みを進める高齢者は、実際に終の棲家についてどのような意識を有しているのだろうか。
 今回の発表では、二つのテーマに分けて発表を行う予定である。一つ目は「終の棲家の意味」を問うことであり、二つ目は独居高齢者へのインタビュー調査を中心として「終の棲家への意識」を明らかにし、終の棲家の現実的問題を浮き彫りにすることである。
 発表の前半では、「終の棲家の意味」を考えていく。これに関して、「棲家(家)とは何か」というところから考察を始める。そして、「人間であるとは、死すべきものとして地上にあることであり、それは住むことである」というダルムシュタットの講演でのハイデガーの言葉を手がかりとしながら、「人間にとって住まうというどういうことか」を明らかにしたうえで、家の意味を問うていく。家は単なる構築物としての建物であるのではなく、それは人間の根本的あり方をなす空間性から意味づけられるものとなる。建築学者であるシュルツが述べているように、「実存と実存的空間は分離できない」のである。したがって、人間にとって住むこととその場をなす家はともに考察されなければならない。
 発表の後半では、終の棲家に対する全国のアンケート調査を踏まえながら、質的調査として東京で実施した独居高齢者へのインタビュー調査から、終の棲家に関する各自の意識をまとめて示したうえで、特に印象的だった終の棲家に対する語りを取り出して分析し、現在の問題を浮き彫りにしつつ、考察を加えていく。
 なお、独居高齢者を調査対象としたのは、死に近づくほどに病気や高齢による衰えを抱えてADLも低下し、看護や介護を必要とすることは避けられないことを鑑みれば、家族によるケアが期待できない独居高齢者は、終の棲家の問題を最も切実に感じていることが容易に想像できるからである。しかも現在独居高齢者は増加傾向にある。「2023(令和5)年国民生活基礎調査の概況」によれば、2023年の高齢者の単独世帯数は、高齢者世帯全体の半数以上(51.6%)を占めるに至っているのである。したがって、独居高齢者の終の棲家の問題は喫緊の課題となりうるのである。

【最近の業績】
・小館貴幸「医療資源の配分について―ケアの観点から―」、日本医学哲学・倫理学会編『医学哲学医学倫理 第42号』所収、2024年。(掲載予定)
・朝倉輝一編『なぜ生命倫理なのか』大学教育出版、2024年。(共著)
・小館貴幸、船木祝「地域で開催される「カフェ」という取組みの意義―コロナ禍での独居高齢者へのインタビュー調査から―」、『地域ケアリング』Vol.25 No.13所収、北隆館、2023年、52-55頁。

【会場案内】
お茶の水女子大学 文教育学部1号館611教室
〒112-8610  東京都文京区大塚2−1−1 お茶の水女子大学

https://www.ocha.ac.jp/access/
※上記のURLに最寄り駅及び最寄り駅から大学までの案内が記されています。

https://www.ocha.ac.jp/access/ochacampusmap.html
※上記のURLにキャンパスマップがあります。建物番号は、14です。

※大学正門守衛室にて身分証明書もしくは、用件(関東医学哲学倫理学会の総会・総合部会・運営員会出席)、本イベントのお知らせ画面(HP、ML等)をお伝えいただき、構内入場の上、南門近くの建物番号14(文教育学部1号館)、611教室です。

※土、日、祝日は正門のみ出入り可能です。
※セキュリティ上、正門守衛室にて身分証明書又は本イベントのお知らせ画面(HP、ML等)を求められますので、お持ちください。

 

◆2024年7月例会(第318回総合部会例会)

下記の通り、総合部会7月例会を開催致します。
万障お繰り合わせのうえご参加くださいますようお願いします。

【日 時】7月13日(土)15時~17時30分
【会 場】立正大学(品川キャンパス) 9号館942教室
    ・ハイブリッド型での開催を予定しています

※会員には会場とzoomURLをMLにてお知らせします。
※本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください。
(事務局)kondo.hiromi*ocha.ac.jp(*を半角@に入れかえて送信してください。)
※録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

【発表者】 中澤武氏 (公立大学法人 長野大学)

【演 題】 「カントと病気の経験」

【司会者】 江黒忠彦氏(前関東医学哲学・倫理学会会長)

【要 旨】 イマヌエル・カント(Immanuel Kant)は、1804年2月12日に亡くなった。ほぼ80年の生涯であった。同世代の友人たちは多くが50代で他界したのに対して、カントは高齢に至るも重大な病を患うことなく、思索の活動を続けることができた。いわゆる「三批判書」を筆頭に数々の著作を残し、その影響力は現代もなお衰えてはいない。医療倫理や生命倫理の分野でも、「自律」「尊厳」「道徳法則」などの概念を用いて議論するにあたって、カントの名を無視するわけにはいかない。
 確かに、私たちは『純粋理性批判』や『実践理性批判』などを通して理性の人としてのカントを知ってはいる。しかし、例えば体格や健康状態、精神的な悩みや社交の喜び、生活習慣、友人たちからの影響、死生観など、人間カントの具体像については決して公知とは言えないだろう。理性の人にも実生活がある。哲学者もまた肉体を持ち、身体的条件に支えられて知的生活を営むのである。肉体の人としてのカントに光を当て、特にその病気の経験に注目するとき、私たちは、後に「人間性の尊厳」という理想に到達する思索の発展をよりよく理解することができるだろう。
 かつてハインリヒ・ハイネはカントの人物像を次のように描いた。「カントの生涯の物語を描くことは難しい。なぜならカントには人生もこれといった出来事もないからである。ケーニヒスベルクはドイツの北東の国境にある古い都市であったが、その都市のへんぴで静かな横丁でカントは、機械的に秩序だった、ほとんど抽象的な、未婚の生活を送った。ケーニヒスベルクの大聖堂の大時計が屋外での自分の日々の仕事を果たしたとき、同郷の市民イマヌエル・カントよりも情熱がなくて規則的であった、とは私は信じていない。起床し、コーヒーを飲み、書き物をし、講義をし、食事をし、散歩をする。すべてが決まった時間に行われた。そしてカントが灰色の燕尾服を着て藤の杖を持ってドアから出てきたとき、近所の人々は、時刻が午後3時30分であることを正確に知った」。機械化された正確かつ規則正しい生活。思想がすなわち人生のすべてであって、生活を知らない哲学者。『時計のような男』(T. G. Hippel)――これはドイツ・ロマン派の「戯画」であって、実像ではない。
 本報告では、まずカントの身体的条件と「心気症(Hypochondrie)」の経験から始めよう。生来の虚弱を克服するためにカントが選んだ養生法は「ある程度まで暮らしぶりを一定に保ち、いつも心を忙しく働かせ続けること」であった。死の怖れや憂鬱症などの不快を避けるためには、格率(Maxime)に従った生活が必要だったのだ。格率に従う生活の意義は、やがて道徳教育における「人間性の尊厳」につながり、「不変の格率に従った、実践的で一貫した思考様式」としての「性格」論へと結実する。カント道徳哲学の洞察もまた、実生活での病気の経験を糧として育まれた思想なのである。

【最近の業績】
・著書 Kants Begriff der Sinnlichkeit、Frommann-Holzboog社、2009年
・共訳書 マンフレッド・キューン『カント伝』春風社、2023年2刷(2017年1刷)
・監訳書 ディーター・ビルンバッハー『生命倫理学:自然と利害関心の間』法政大学
出版局、2018年

【会場案内】
立正大学(品川キャンパス)9号館942教室(9号館の4階2番教室)
〒141-8602 東京都品川区大崎4-2-16

https://www.ris.ac.jp/access/index.html
※上記のURLのページで、品川キャンパスをご覧ください。

https://www.ris.ac.jp/access/shinagawa/floormap.html
※上記のURLに、品川キャンパスのFloor Mapがあります。
 キャンパスマップの⑨が9号館です。
 会場は、9号館の4階2番教室(942教室)です。

〇9月例会の予定:
 9月16日(月、祝日)15時~17時30分 小館貴幸氏

 

◆2024年6月例会(第317回総合部会例会)

下記の通り、総合部会6月例会を開催致します。
万障お繰り合わせのうえご参加くださいますようお願いします。

【日 時】6月15日(土)13時30分~16時
【会 場】立正大学(品川キャンパス) 9号館942教室
    ・ハイブリッド型での開催を予定しています

※会員には会場とzoomURLをMLにてお知らせします。
※本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください。
(事務局)kondo.hiromi*ocha.ac.jp(*を半角@に入れかえて送信してください。)
※録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

【発表者】 三羽恵梨子氏 (東京大学)
【演 題】 「リサーチ・インテグリティ概念の現在:キャラクター・インテグリティによる補完に向けて」
【司 会】 尾崎恭一氏(アムネスティAIJ(総会代議員))

【最近の業績】
  三羽恵梨子. 災害時の資源配分を語る言葉:「最大多数の最善」をより豊かにするために. 第29回日本災害医学会総会・学術集会. 京都市勧業館. 2024年2月22日~24日.

 Miwa E. Conceptual Evolution of Research Misconduct: Overcoming the Integrity’s Irrelevance Through the Localization of Attribution. Kyoto Conference 2023: Bridging Science and Ethics, Kyoto University, 16th to 17th September 2023.

 Miwa E, Shoji E, Nakazawa E, Akabayashi A. Family Care Relationships in Reproductive Justice. Women. 2022; 2(4):339-345.

 

【会場案内】
立正大学(品川キャンパス)9号館942教室(9号館の4階2番教室)
〒141-8602 東京都品川区大崎4-2-16

https://www.ris.ac.jp/access/index.html
※上記のURLのページで、品川キャンパスをご覧ください。

https://www.ris.ac.jp/access/shinagawa/floormap.html
※上記のURLに、品川キャンパスのFloor Mapがあります。
 キャンパスマップの⑨が9号館です。
 会場は、9号館の4階2番教室(942教室)です。

 

◆2024年5月例会(第316回総合部会例会)

下記の通り、総合部会5月例会を開催致します。
万障お繰り合わせのうえご参加くださいますようお願いします。

【日 時】5月12日(日)15時~17時30分
【会 場】お茶の水女子大学 文教育学部1号館611教室
    ・ハイブリッド型での開催を予定しています

※会員には会場とzoomURLをMLにてお知らせします。
※本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください。
(事務局)kondo.hiromi*ocha.ac.jp(*を半角@に入れかえて送信してください。)
※録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

【発表者】半田 栄一氏 (中央大学 政策文化総合研究所)
     羽金 和彦氏 (元宇都宮市保健所長、現老人保健施設管理者)

【司 会】米田 祐介氏 (東洋大学)

【演題1】
「脳出血で倒れて―当事者の立場で考える医療・福祉」
 半田栄一氏

(発表要旨)
 昨年、2月初めに、脳内出血(視床出血)で倒れ、4日後に急性期病院に救急搬送されて3週間治療を受け、その後リハビリ病院で約6ヶ月の入院加療、その後高齢者施設;サービス付き高齢者住宅に入居後、現在にいたる。右半身の麻痺や痺れ、「視床痛」が残ったが、現在、リハビリを中心とする治療を受けつつ、今後の人生と研究に向けて準備している。
 発症後、約2ヶ月は、ほとんど、絶望の底に落ち、精神的にも「死」の状態にあった。カトリック系病院のチャプレンによるスピリチュアルケアの手助けもあり、「蘇った」が、アレクシス・カレルの言うような「生命の神秘」にも通じるところがあると実感した。
 昨年より受けた、急性期医療、回復期・リハビリ医療、退院後の訪問医療、通院医療を通して感じたことの一つは、医師(医療者)と患者のコミュニケーションの問題である。ICが十分に行われたとは言いがたく、患者の立場からすれば、不安やフラストレーションがたまる。医療コーディネーターなどをよりよく活用できないであろうか。
 今回受けてきた医療は、すべて西洋現代医学に基づくものであり、一部使用された保険適用の漢方エキス剤も西洋医学の視点から処方されたものである。薬害を受けた経験からすると、東洋医学などの非西洋医学や民間療法も取り入れ、組み合わせ、統合していく補完代替医療、統合医療、ホリスティック医学も併用できるようになることが望まれる。
 東洋医学の背後には、多く東洋の哲学や思想が原理としてあり、固有の生命観・自然観に基づいており、「患者学」として学ぶ意義があろう。
 また、医師と患者の相性ということも、目に見えないものであるが、そこに存在する「気」の作用があり、これによる両者の関係性を「縁」と呼ぶこともできよう。
 今回受けてきた医療および福祉は、あらかたにおいてソーシャルワーカーやケアマネージャーによって決められ、流されるように今に至っており、患者自身の「自由選択」の余地が極めて少ないように感じている。臨床倫理においても、さらに検討されなくてはならない課題であろう。
 入居しているサ高住の住人のほとんどが80代後半~90代で、多少身体機能が低下し難聴で、軽い認知症が認められても、ほとんど健康体で一人でも外出可能な人がほとんどで、
こういう人たちは、なんらかの社会貢献が可能ではないかと考えている。
 
*私は病気で身体障害者となりましたが、前期高齢者ではあっても、社会参加不能な老人とは思っておりません。身寄りがないために、やむを得ず高齢者施設に入り、老人として「管理」されていますが、社会復帰をめざし、社会参加、社会貢献に喜びを見いだしたいところです。

(業 績)
 ・「道元における「出会い」とユング・共時性」(『比較思想研究』第19号)
 ・「現代教育における創造性・霊性」(『嘉悦大学研究論集』第45巻-1)
 ・「現代の医療と宗教-ターミナルケアを中心として-」(『比較思想研究』第35号別冊)


【演題2】
「コロナ禍の保健所活動を振り返る―特に積極的疫学調査に関して」
 羽金 和彦氏

(発表要旨)
 2019年から5年間のコロナ禍において、全国の保健所は行政機関として、“国の感染対策”を執行した。私が宇都宮市保健所において経験したコロナとの5年間を振り返り、公衆衛生倫理の面から反省と検討を試みたので、皆様のご意見を賜りたい。
 新型コロナの流行初期には、診断や治療に関して未知の部分が多く、大学病院や感染研などの感染症専門医においても明確な対処法を示すことができなかった。また、唯一の確定診断法であるPCR検査の民間検査機関への普及が遅れ、診断確定を公的な検査機関に頼らざるを得ず、検査能力の不足から多くの市民に迅速な診療を提供することができなかった。さらに、医療機関においては、知識と感染対策用備品の不足と自身を含む院内への感染拡大の不安から、新型コロナの診療を忌避する風潮が強かった。
 感染症を忌み嫌う感情は人類が進化の過程で身に着けた本能に由来するらしい。感染症に対する有効な治療手段を持たない人類が、細菌やウイルスの知識を持つ以前に、経験から(であろう)学んだ対処法は「隔離」であった。抗生剤やワクチンの出現以後も感染症対策の基本は早期発見―隔離である。さらに、感染症をコントロールするためにはその発生源(感染の源流)を突き止めることが重要となる。今回、保健所が行った「積極的疫学調査」と「隔離」の実態を報告し、若干の考察を加えて発表する。

(業 績)
 ・「保健所から見えた新型コロナ感染症」
  2023/9/9 After With コロナを考える―哲学・医学・法学の学際シンポ(宇都宮大学)
 ・「新型コロナパンデミックにおける資源としての地域保健・保健所」
  2023/10/15 第42回日本医学哲学・倫理学会大会シンポ:医療資源の配分の再検討―多面的な検討―
 ・「相関係数とMapcurvesによるコロプレスマップ画像一致度係数との比較検討」(保健医療科学72巻2号 Page167-168(2023.05))

 

【会場案内】
お茶の水女子大学 文教育学部1号館611教室
〒112-8610  東京都文京区大塚2−1−1 お茶の水女子大学

https://www.ocha.ac.jp/access/
※上記のURLに最寄り駅及び最寄り駅から大学までの案内が記されています。

https://www.ocha.ac.jp/access/ochacampusmap.html
※上記のURLにキャンパスマップがあります。建物番号は、14です。

※大学正門守衛室にて身分証明書もしくは、用件(関東医学哲学倫理学会の総合部会出席)、本イベントのお知らせ画面(HP、ML等)をお伝えいただき、構内入場の上、南門近くの建物番号14(文教育学部1号館)、611教室です。
※土、日、祝日は正門のみ出入り可能です。
※セキュリティ上、正門守衛室にて身分証明書又は本イベントのお知らせ画面(HP、ML等)を求められますので、お持ちください。

 

総会・総合部会のお知らせ(第315回総合部会例会)

下記の通り、総会・総合部会4月例会を開催致します。
万障お繰り合わせのうえご参加くださいますようお願いします。

【目次】
総会
【日 時】4月 14日(日 ) 15時~16時
【会 場】お茶の水女子大学 文教育学部1号館611教室

総合部会
時間16時15分~17時45分
発表者:小館 貴幸氏(立正大学)

演題:2024年度年間テーマの趣旨説明
   「意思決定とコミュニケーション−尊厳を支える仕組み−」

要旨:
 まず始めに昨年度の総合部会の報告と振り返りを行い、次いで2024年度の関東医学哲学・倫理学会の総合部会における年間テーマを提示することにしたい。
 2023年度の年間テーマは、「臨床におけるコミュニケーション ―人間の尊厳の保持―」であった。昨年度もひき続きZoomによる遠隔形式で例会を実施した。具体的には、例年同様に9回の例会を開催した。ただし、8月は夏季休会、10月は全国大会のため休会とした。発表者に関しては、発表の申し込みはなかったため、総合部会の方から年間テーマに沿いつつ、前年度からの人間の尊厳というテーマを踏まえて、理論的側面と実践的側面のバランスを考慮しながら、発表者への依頼を行った。外部講師としてはお二人の方にご依頼をして、ご発表頂いた。お一人目は東洋大学の川本隆先生にフォイエルバッハの「汝論」についてご発表頂き、お二人目は元兵庫県立大学の丸橋裕先生に「ヴィクトーア・フォン・バイツゼカーにおける間主体性」に関してのご発表を頂いた。どちらもそれぞれのご研究領域からの理論的発表であった。内容的には難しかったという声も参加者から頂いたが、コミュニケーションや人間の関係性についての知見を深める機会を得ることができた。
 発表形式に関しては、昨年に引き続き、全体を二分して2人の発表者から臨床現場からの報告・提言をして頂く機会も設けた。宮下先生からは医師の立場で診療におけるコミュニケーションの問題をご発表頂き、根本先生からはグループホームでの困難事例についてご発表頂いた。どちらも地に足の着いたご発表で、臨床現場での生々しい課題に触れることができたことは大きな成果だった。この取組みはこれからも続けていきたい。
 総合部会全体としては、理論的側面で人間の尊厳の問題を深めることができた。これは江黒先生や中澤先生からカントによる人間の尊厳や、生命の尊厳についてご発表頂いたからである。また、牛澤先生から不確実性への耐性について、有馬先生から鎮静の倫理についてのご発表を頂いたことによって、臨床現場で生じる事態への向き合い方や考え方について理論的枠組に触れる機会を得ることができた。実践的側面においては、船木先生が行った独居高齢者へのインタビュー調査により、コミュニケーションと尊厳の関係について考察することができたことに加え、先述した臨床現場からの宮下先生や根本先生のご発表によって、現状を知ることができた。全体の反省点としては、2023年度は臨床現場からの発表者が少なかったことと、コミュニケーションについてあまり深められなかった点が挙げられる。次年度はここを改善していくことにしたい。
 2024年度の新たな試みとしては、運営委員会で提案があったのであるが、哲学の専門家による哲学者入門の試みについての機会を設け、思想的理解を多くの人に拡げるための企画を考えている。具体的には、本学会にはカント研究者が何名も在籍しておられるので、「カント入門講座」を例会に組み込むことを予定している。
 さて、ここからは2024年度の年間テーマの提示と趣旨説明を行っていきたい。
 2023年度の成果と反省を踏まえ、2024年度もコミュニケーションの問題に引き続き取組んでいきたい。これまで取組んできた人間の尊厳に関して、「尊厳が守られるものである」ということを鑑みれば、尊厳の問題は尊厳そのものを問うことも重要であるが(昨期までの取組みである程度達成できた)、現実的には他者から尊厳が傷つけられない限りにおいて人間の尊厳が守られるのであるから、尊厳の問題はコミュニケーションの問題と密接に結びついている。臨床の場面では、医療者と患者の意思疎通に齟齬があることによってボタンの掛け違いが生じて患者の尊厳が傷つけられ、介護現場でも介護者側からのハラスメントなどによって弱い立場にある利用者の尊厳が傷ついていることが往々にして生じている。確かにインフォームド・コンセントなどの仕組は存在するが、二項関係だけではすべての問題を対処しきれないことは明らかであろう。そこで、新たな関わりの在り方が問われなければならない。これらを踏まえて、コミュニケーションと尊厳の問題を軸に据えつつ、自律尊重の根幹を成す意思決定について焦点を当て、「意思決定とコミュニケーション―尊厳を支える仕組み―」を年間テーマとして掲げたい。なお、尊厳に関しては、人間の尊厳だけでなく生命の尊厳などもあることから、特に人間に限定せずにただ尊厳とした。
 最後に、年間テーマの趣旨説明に付した今回の発表に関しては、医療資源の配分という観点から、意思決定とコミュニケーションについて考察する。

 

◆2024年3月例会(第314回総合部会例会)

【目次】
日時:3月 2日(土 )15時~17時30分(予定) 
会場:ハイブリッド形式を予定しています。

*会員にはzoomURLをメールでお知らせします。

基本的にはZoomによる遠隔開催ですが、
Zoomを使用できない場合などのために小さい会場を準備しています。

ふれあい貸し会議室 飯田橋A – ふれあい貸し会議室 
〒1020072 東京都 千代田区 飯田橋 2-11-10 総合経営ビル301

*本学会員以外で聴講をご希望の方、およびリアル会場での参加希望の方は下記事務局までご連絡ください。事務局 asakura*toyo.jp(*を半角@に入れかえて送信してください。)
*録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

【発表者】丸橋 裕氏(立命館大学間文化現象学研究センター客員研究員)

【司会】小館 貴幸氏(立正大学)

【演題】「ヴィクトーア・フォン・ヴァイツゼカーにおける間主体性への接近の試み」

【要旨】
 ヴィクトーア・フォン・ヴァイツゼカーが他者、とりわけその患者たちとの交わりのなかで眼を開かれた思いがしたのは、出会いというものがもつ基本的な人間学的意義だった。他者という現象を記述しようとする彼の貢献は、なによりも医療者の実践を明らかにしようとする立場への確固たる誠実さから生まれたものだった。1926 年から 1928 年にかけてヴァイツゼカーは、M・ブーバー、J・ヴィッティヒと共同編集した雑誌『被造者』に三つの論文、「医療者と病む人」、「痛み」、「病む人の物語」を発表した。のちに「医学的人間学小品集」としてまとめられたこれらの論文の根底には、共通のテーマとして医療者と病む人とのあいだの関係があり、この関係が医学的人間学の示導動機をなしているのである。
 その第一論文「医療者と病む人」において彼が原理的な批判を突きつけているのは、客観性を重んじる当時の生物科学的な医学に対してである。なぜならそうした医学は、主体である病む人を中心におくことなく、病気のみならず病む人をも客体として知覚するからである。しかし、病いの本質は窮境にある。したがって、新たに根拠づけられるべき医学的人間学の疾病論、否、「パトスの知」にとっては、何らかの窮境に苦しみ、助けを求めて医療者を呼ぶところの病む人が具体的な出発点でなくてはならない。これをヴァイツゼカーは「医学的人間学の原現象」と呼んでいる。そしてこの新たな学はその病理学と治療とともに、「病む人についての教え」だけでなく「医療者についての教え」と「窮境についての教え」をも内容として含んでいるというのである。ここで注目しておくべきことは、窮境にある人と助け手としての人という人格的な対応関係、そしてもう一つは、疾患と医学という即物的な対応関係というこの二つの対応関係が、完全に一義的で揺るぎのない構造をなしているという基本的な認識である。この点を理解するための鍵となるのが間主体性の概念である。
 ヴァイツゼカーにおける間主体性が、ブーバーの著作『我と汝』における対話論や E・フッサールの間主観性の概念といかに内容的な連関をもっているのかは、それ自体として重大な問題であるが、本発表では直接立ち入らない。ここでは、ヴァイツゼカーが他者という現象をみずからの医療実践からいかに把握しようとしているのかを、間主体性の概念を主軸に考察する。そのために、まず、彼の対話論において出会いがいかに普遍化されているか、そしてゲシュタルトクライスの理念が、ある人間の他者との交わりを記述するためのモデルとなっていることを確認し、次に、出会いの出来事の理解のためにヴァイツゼカー自身が造語した「間観的な理解」の概念の生成と適用を分析する。そして、彼にとって、間人間的な出会いが人間的なものの根本規定であることを明らかにした上で、その出会いが成立する根拠となる根源的な結束性がいかに立ち現れるのかを明らかにしたい。

【最近の業績】
・Rainer-M.E. Jacobi との共著で „Die erste Übersetzung—Motive und Hintergründe“ (in: Viktor vonWeizsäcker, Am Anfang schuf Gott Himmel und Erde. Grundfragen der Naturphilosophie, hrg. von Rainer-M.E. Jacobi unter Mitwirkung von W. Riedel, Universitätsverlag Winter, Heidelberg 2022, S. 223-237

 

◆2024年1月例会(第313回総合部会例会)

【目次】
日時:1月 13日(土 )15時~17時30分(予定) 
会場:ハイブリッド形式を予定しています。

*会員にはzoomURLをメールでお知らせします。

基本的にはZoomによる遠隔開催ですが、
Zoomを使用できない場合などのために小さい会場を準備しています。

ふれあい貸し会議室 飯田橋A – ふれあい貸し会議室 飯田橋総合経営
〒1020072 東京都 千代田区 飯田橋 2-11-10 総合経営ビル

*本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください。事務局 asakura*toyo.jp(*を半角@に入れかえて送信してください。)
*録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

【発表者】川本 隆氏(東洋大学)

【司会】米田 祐介氏(東洋大学)

【演題】「L・フォイエルバッハの「汝」論の可能性」

【要旨】
 フォイエルバッハは 19 世紀ドイツの宗教批判家・唯物論者として知られる。フォイエルバッハの「汝」の発見は、ブーバーによって「デカルトによって創始された近代哲学の限界を超える、ヨーロッパ思想の第二の出発」へと導く「コペルニクス的行為」とも称された。かつて私は、拙著『初期フォイエルバッハの理性と神秘』(知泉書館, 2017)で、「無限な知の希求を抱きつつも、身体的な存在として有限な世界で生きざるをえない人間の、相互を気づかう人間学的視点が介護・医療・教育などの現場に役立つというだけでなく、対人間関係をも含む自然環境保全への配慮、あるいは文化的対立の現場で新たな視点のヒントとして、健全な対話的共生への道を開くものといえないだろうか」と記した。今日、彼の「汝」論の可能性は、どのように位置づけられるだろうか。
 この問いに答えるには、まず『キリスト教の本質』1841 や『将来の哲学の根本命題』1843を中心とする 40 年代前半の論考をフォイエルバッハ思想の核心であるかのような見方からいったん解放される必要があるように思われる。なぜなら、それらは彼の思想的展開にとって「過渡的」位置を占めるにすぎないからである。しかしこのことは、50 年代以降の後期著作を読めばそれで済むという話ではない。たしかに「残された箴言」でフォイエルバッハは「『神統記』と『宗教の本質〔に関する講義〕』以外の著作を書こうと思わなかったし、また人類の追憶として残しておこうとも思わない」と述べた。それは事実だが、それ以前の彼の著作群のもつ意味を度外視してよいということにはならない。むしろ、初期を含む彼の宗教批判・神学批判・哲学批判活動の全体から、思想形成の時期を踏まえつつ、フォイエルバッハの「汝」論、「他我」論の意味を再検討したうえで、現代にどうその視点を生かすべきかを考えるのが有益であろう。
 本報告では、1. フォイエルバッハ哲学の時代史的外観と「過渡的」性格の意味、2. 初期フォイエルバッハの思弁的汎神論の性格――ベーメとスピノザ、3. 人間学的転回のきっかけとしてのライプニッツ――第一質料の「受動」の意味、4. 二つの直接態と「楕円」の哲学、5.「心情 Herz」と「情意 Gemüt」の意味づけの推移とフォイエルバッハの感性の哲学――ルター評価の変遷、の 5 点について要点をおさえながらフォイエルバッハの思想的転回を紹介し、そのうえで彼の「汝」論、「他我」論のもつ今日的な可能性を考えてみたい。特に注目したいのは、『ライプニッツ論』の注 65 で語られている、心病める者の「自然の声」に耳を傾ける態度である。健常者の理性的な視点では理解しがたいその「声」に耳を傾けることが容易でないことは、彼のルター評価の推移にも表れている。近代的な悟性知に依拠した哲学の視点では、切り捨てられてしまいかねないものに「自然の理」を当てはめるのではなく、容認するするその態度は、さまざまな社会的弱者に寄り添う共生・共創の視点に結びつくのではないだろうか。

【業績】
生命の価値とは何か(東洋大学大学院紀要55, 2019.3.)
フォイエルバッハのルター論(桜文論叢第100巻, 2019.9.)
宗教における「他者」――西谷啓治のフォイエルバッハ批判の問題性(東洋大学大学院紀要56, 2020.3.)
フォイエルバッハにとってのスピノザ(東洋大学大学院紀要60, 2024.3.)

 

◆2023年12月例会(第312回総合部会例会)

【目次】
日時:12月 2日(土 )15時~17時30分(予定) 
会場:ハイブリッド形式を予定しています。

*会員にはzoomURLをメールでお知らせします。

【会場案内】
ふれあい貸し会議室 飯田橋A
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋2-11-10 総合経営ビル301
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基本的にはZoomによる遠隔開催ですが、
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事務局 asakura*toyo.jp(*を半角@に入れかえて送信してください。)
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【発表者】有馬 斉氏(横浜市立大学)

【司会】小館貴幸氏(立正大学)

【演題】「鎮静の倫理について」

【要旨】
 緩和ケアの処置のひとつとしての鎮静について、倫理的な論点を取り上げて検討する。鎮静は、患者を苦痛から解放するために、患者の意識を低下させ(浅い鎮静)、場合によって患者を無意識にする(深い鎮静)。患者は無意識の状態のまま死ぬこと(死亡まで持続する深い鎮静)や、生命を短縮することもある。これらの効果があることは、通常、望ましくないことと理解されている。
 こうした望ましくない効果があるにもかかわらず、鎮静は、多くの場合で倫理的に正当化できると考えられていることが多い。理由のひとつは、意識低下などの結果は確かに悪いことだが、苦痛が緩和できることの良さがそれを上回るからだということにある。もうひとつは、意識低下などの結果は悪いことだが、それは意図された結果ではないという理由である。(また、とくに生命短縮効果については、そもそもそれが生じないことがあきらかな場合がある、ということも指摘されてきた。)
 望ましくない効果について、それが意図されていないと考えられている理由は、いくつかある。たとえば、患者が無意識になったまま死亡することについては、実際にそうなるかどうかは投薬中には分からない、ということが指摘されてきた。また、意識低下そのものについても、鎮静効果のある薬にターゲットになっているつらい症状そのもの(疼痛、吐き気など)を軽減する効果がある場合は、投薬中の医師は症状そのものを軽減する意図しかないと考えることができる(意識低下は副作用にすぎない)という主張もある。
 これらの主張が妥当かどうかを検討してみたい。

【業績】
有馬斉、『死ぬ権利はあるか』、春風社、2019年。
Hitoshi Arima, Continuous Deep Sedation and the Doctrine of Double Effect, Bioethics, 2020, 34(9), 977-983.
有馬斉、「鎮静の分類と倫理的論点の整理」、『北海道生命倫理研究』、2023年、11、1-23。

◆2023年11月例会(第311回総合部会例会)

【目次】
日時:11月 4日(土 )15時~17時30分(予定) 
会場:ハイブリッド形式を予定しています。

*会員にはzoomURLをメールでお知らせします。

【会場案内】
調整中

基本的にはZoomによる遠隔開催ですが、
Zoomを使用できない場合などのために小さい会場を準備しています。
会場までの順路などが分からない場合には、小館の携帯にご連絡下さい。

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【発表者】江黒 忠彦氏(元帝京平成大学教授、本会会長)

【司会】中澤 武氏( 長野大学)

【演題】「カントによる「人間の尊厳」とは何か」

【要旨】カントが構想した「人間の尊厳」という倫理的概念は、いかなる意味と意義を持つのかということをさぐるのが本発表の中心テーマである。
 「人間の尊厳」という概念は、第二次世界大戦後に広まったが、1998年のEUのバルセ
ロナ宣言に世界市民的価値として再認され、その後さらに「ユネスコ人権に関する世界宣
言(2005年)」にも取入れられ、世界的に浸透することとなった。ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルによるパレスチナへの交戦、こうした現在の国際状況への対抗倫理として「人間の尊厳」という概念が機能する。
 本発表は次の通り展開される。
 まず最初に、カントによる尊厳概念がどのような時代状況の中で確立したのかを概観し
ていく。その際、カントの出生と生活環境及び彼の仕事と経歴にも触れる。
 第二に、カントの著作のコンテキストから「人間の尊厳」を考察する。しかし、実際に
カントは「人間の尊厳」という表現よりも「人間性の尊厳」という表現を多用している
。「人間の尊厳」を探るためには、「人間性の尊厳」を見当すべきである。
 第三に、カントが最晩年まで積み上げてきた「人間性の尊厳」という概念が、人間の最
終的な到達点になっているということを『実用的見地における人間学』等を通じて、確認
する。


【業績】
・ヘルマン・グルックナー(江黒忠彦監訳)『哲学入門』理想社、1978年。
・関東医学哲学・倫理学会編『新版 医療倫理Q&A』太陽出版、2013年。 ※共著
・江黒忠彦「ヒト胚の尊重とその研究利用」、『帝京平成大学紀要』第16巻1・2号所収
、2004年。
・江黒忠彦「生命倫理の諸問題 カントにおける『人間の尊厳』とドイツ現代倫理学
」、『帝京平成大学紀要』第14巻第2号所収、2002年。

◆2023年9月例会(第310回総合部会例会)

【目次】
日時:9月 10日(日 )15時~17時30分(予定) 
会場:ハイブリッド形式を予定しています。

【会場案内】
ふれあい貸し会議室 水道橋A
〒1010061 東京都 千代田区 神田三崎町 2-11-11 タカギビル
https://fureai.space/img/402401.jpg
(※上記のURLに最寄り駅から会場までの案内が記されています。)
会場は、14時半から入室可能です。

基本的にはZoomによる遠隔開催ですが、
Zoomを使用できない場合などのために小さい会場を準備しています。
会場までの順路などが分からない場合には、小館の携帯にご連絡下さい。

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*本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください。
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【発表者】
牛澤 洋人氏(一橋大学 保健医療センター)

【司会】今井道夫氏

【演題】

【要旨】
 臨床医は患者の主訴を解決するため,臨床推論を駆使して診断に至り治療に結びつける.臨床現場の標準的な診療モデルは,臨床の不確実性uncertainty をできるかぎり確実性に変えていく過程でもある.しかしながら現場には,こうした標準的な診療モデルからはみ出しこぼれ落ちてしまうような,患者の精神的危機状況や共有意思決定の場面で生じる不確実性もまた存在する.今回の発表ではまず,臨床現場で生じるさまざまな不確実性とそれに応じた症例を提示し,国内の医療界が不確実性に対してどのような取り組みをしているかを概観する.
 続いて臨床における「確実性」とは何かを検討するとともに,医学以外の分野での不確実性がどう扱われているかについても言及する.
 臨床における不確実性は「今後引き続き何が起きるのかを予測し難い,あるいはあらかじめ答えが決められていない臨床上の問題」と定義する.不確実性の類似概念に「複雑性」「リスク」「無知」「曖昧さ」「多様性」があり,それぞれ不確実性との差異を明らかにする.
 臨床におけるさまざまな不確実性を,「医学的不確実性」と「決断の不確実性」に大分類することを提案する.前者は認識上の不確実性であり,後者は患者の価値観や生き方が関わる場面で方針を決断する際に生じる不確実性である.臨床現場で不確実性は患者と臨床医それぞれに対してさまざまな否定的な影響をもたらす.不確実性が引き起こす事態を減らすため,不確実性への
自覚や教育を促すことが求められている.
 本研究の新規性は「不確実性への耐性」の考え方を臨床医学全般に提示することである.その起源はオープンダイアローグopen dialogue(以下OD)にある.OD は急性期精神症状患者へのアプローチ法で,重要な実践原則に「不確実性への耐性」が掲げられている.本研究では,不確実性を率直に受け容れることを不確実性への耐性と呼ぶ.耐性の類似概念に「頑健性」「レジリエンス」があり,それぞれの耐性との差異を明らかにする.不確実性への耐性の可能性を支持する知見として,ODの最新のエビデンスと燃え尽き症候群のアンケート調査研究を提示する.
 不確実性に向き合う態度を3 点提起する.不確実性の存在を認める態度,不確実な事象が生じる確率よりもそれが患者に与える影響を優先して考える態度,患者の実存と向き合う態度である.こうした態度を妨げる要因として,不確実性に耐えられない構造を想定する.これを患者側のもつ構造,臨床医がもつ構造,両者に共通する構造を解説する.こうした構造に加え,不確実性にどの程度まで耐えてよいかの許容範囲を考える必要性が生じる.不確実性に耐える能力は一定の研修で身につけるべきであると考え,その方法を提案する.
 本研究は,患者と臨床医がともに臨床現場で不確実性の存在を認め,共有し受容することが望ましいことだと考えている.というのも不確実性への耐性は,第1に患者と臨床医のあいだに強い信頼関係を生み,第2に患者が納得する医療につなげ,第3に患者の言葉を守るからである.

*なお、10月の例会はお休みです。

—————
関東医学哲学・倫理学会 事務局
112-8606
東京都文京区白山5-28-20
東洋大学 法学部 朝倉研究室気付
mail to : asakura@toyo.jp
(@は全角にしてあります。半角@に直して送信してください)

◆2023年7月例会(第309回総合部会例会)

【目次】
日時:7月 9日(日 )15時~17時30分(予定) 
会場:ハイブリッド形式を予定しています。

リアル会場:ふれあい貸し会議室 飯田橋A

〒102-0072 千代田区 飯田橋 2-11-10 総合経営ビル
https://www.instabase.jp/space/7509365526
※14時半から入室できます。15時~17時半です。

*会員にはzoomURLをメールでお知らせします。

*本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください。
事務局 asakura*toyo.jp(*を半角@に入れかえて送信してください。)
*録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

【発表者】
中澤 武氏(長野大学)

【司会】江黒 忠彦氏(関東医学哲学・倫理学会会長)

【演題】
「生命の尊厳」再考

【要旨】
 「生命の尊厳」は、生命一般を尊重する態度の基盤となる倫理的原理の概念と考えられる。これが本発表の中心テーゼである。
 わが国では1980年代から医の倫理との関連で「生命の尊厳」という語が用いられている。その際、「尊厳」の原語としては sanctity と dignity の両方が考えられるが、当初はこれらの概念の区別が明確ではなかった。「尊厳」がsanctityの訳語だとすれば、「生命の尊厳」とは「サンクティティ・オブ・ライフ(sanctity of life: SOL)」(生命の神聖性)のことである。生命は至高の存在に由来するものだから特別に尊い。しかも、人間以外の生き物とは違って、人間の生命には特別な価値があると考えられる。この概念には二重の意味がある。ひとつには、すべての人間が他の生き物とは違う特別な価値(「人間の尊厳」)を認められている。もうひとつには、そのような人間の命が「神聖」なものと見なされている。SOLがこのような意味を持っているのは、それがヨーロッパの哲学的および宗教的人間観の伝統に根差した概念だからである。すなわち、一方でSOLの背景には「人間の尊厳」という哲学的な概念があり、他方でSOLは、ユダヤ・キリスト教の宗教的人間観を受け継いでいる。要するに、SOLは西洋の文化的伝統の中で育まれ、歴史的な深みを備えた、いわば西洋ローカルな概念なのである。また、生命倫理学の発展史の中には当初から「生命の尊厳」を「人格の生命の尊厳」(dignity of the life of the person)と解する説が行われており、ここでも「生命の尊厳」は、人間と人間以外の生命との間に絶対の差別と価値の序列を設ける考え方の枠組みを前提としている。
 以上のような「生命の尊厳」概念は、わが国の伝統的な生命観からすれば、異質な思想と言えるだろう。たとえば、わが国の古典文学の中には、生きとし生けるものの苦しみに共感し、畏敬する人々の姿がある(平安時代の仏教説話集『日本霊異記』など)。現代でも、ペット動物の葬儀や実験動物の慰霊祭は珍しくない。死を免れず限りある存在としての命に対する共感的姿勢は、わが国における道徳意識の基礎となっている。人間の命だけに限らず、すべての命は壊れやすく、はかない。だからこそ命は尊く、ときには畏敬の対象ともなる。こうした非西洋の文化的伝統を背景として、人間の生命を含む生命一般に関する「生命の尊厳(dignity of life)」の新規定は可能だろうか。いかにして、「生命の尊厳」は、生命一般を尊重する態度の基盤となる倫理的原理の概念と考えられるのだろうか。

【最近の業績】
著書:
――Kants Begriff der Sinnlichkeit, frommann-holzboog, 2009.
――マンフレッド・キューン『カント伝』(共訳, 春風社, 2017【2023年5月、第2刷】).
――ディーター・ビルンバッハー『生命倫理学:自然と利害関心の間』(監訳, 法政大学出版局, 2018).
――『新版 薬学生のための医療倫理[コアカリ対応]』(共著、丸善出版, 2021年)

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2023年6月例会(第308回総合部会例会)

【目次】
日時:6月 3日(土 )15時~17時30分(予定) 
会場:ハイブリッド形式を予定しています。

リアル会場:ふれあい貸し会議室 水道橋A
〒1010061 東京都千代田区神田三崎町2-11-11 タカギビル4階
https://goo.gl/maps/CUCiq81hBCKaiMuo6

*会員にはzoomURLはメールでお知らせします。

*本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください。
事務局 asakura*toyo.jp(*を半角@に入れかえて送信してください。)
*録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

【発表者】
今回は2名発表予定です。
宮下 浩明氏(みやした内科医院)
根本 輝(ひかる)氏(法政大学大学院 人間社会研究科 人間福祉専攻 博士後期課程3年/株式会社オールプロジェクト 貞元事業部 事業部長)

【演題】
:宮下浩明氏
「診療におけるコミュニケーションと善もしくは良心とのかかわりについての考察
ー応召義務、ジェンセン4分割表の検討ー」

:根本輝氏
「高齢者介護における尊厳の保持について―グループホームでの困難事例を通じて―」

【司会】
米田 祐介氏(東洋大学)

【要旨】
:宮氏浩明氏 (発表要旨に差し替えがありました)
 本日の発表では、医療の場面における、それは医療者にとっては職場(病院内、外来診療)になるのであるが、医療者としての体験も参照しながらコミュニケーションについて、思うところを述べてみたい。
 患者と医療者の間のコミュニケーション、かかわりは、いろいろな形でなされている。たとえば、患者が医療機関に入館する際に、公表された時間通りに診療がそもそもなされていること、受付がなされること、施設は静かで清潔であるかといったてんも、後々の診療に影響することから、コミュニケーションの一部と考えることができよう。
さまざまのかかわりのうち、本日は2種類のかかわりについて検討する。はじめに、患者からの診療の申し出を受けるのか、受けないのかというかかわり方について、応召義務を例に考えてみる。次に、臨床倫理の検討会などで使われる、ジェンセンの4分割表をとりあげる。
 医療者のコミュニケーションについて考えるにあたり、診療を望む病者に対して、診療を断るという医療者の対応も考えられる。医療者のコミュニケーションの一例として診療拒否というコミュニケーションはありうるのである。診療拒否に関しては、昭和23年医師法19条第1項において「応召(応招)義務」の規定がある。この応召義務については、1880年(明治13年)刑法における罰則として規定されており、以来実に140年にわたって医師の診療態度を規定し続けていることになる。なぜ、長きにわたって法のなかで継承されているのか、考えてみたい。
 次に臨床倫理判断ツールとしての、ジェンセンの4分割表をとりあげる。4分割表につながる歴史的背景から、決議論としての特徴について検討する。
これら検討において、良心、善なる心の関わりがあることが推察された。

:根本輝氏
 本発表のテーマは「高齢者介護における尊厳の保持―グループホームでの困難事例を通じて―」である.2000年から介護の社会化を目的として,介護保険制度は施行され,その第1条には高齢者の尊厳の保持が明記されている.制度開始から,要介護高齢者は増加し続け,2025年には認知症高齢者が780万人に達すると試算されている.急速に介護サービスの需要が拡大するなか,介護現場では労働力不足による介護サービスの質の低下が懸念されている.実際に近年では,介護施設での虐待件数が毎年2,000件を超え続けている(厚生労働省2022).
 しかし,介護職員の虐待はマスコミなどで取り上げられる,一方で,利用者が介護職員へ暴力を振るった場合,その事実が報道されることはほとんどない(北野2021).では,こうした状況下で高齢者介護における尊厳の保持はどのように取り組まれているのであろうか.そこで,本発表では,認知症高齢者が生活するグループホームでの困難事例を通じて,高齢者介護における尊厳の保持を検討することを目的とする.
 まず,グループホームとは認知症対応型共同生活介護と呼ばれ,認知症に罹患した要介護高齢者が生活する施設である.事例では,認知症により職員への暴力・暴言がある利用者を対象とした.対象施設となるグループホームでは,職員から利用者への虐待を禁止し,職員が暴力にさらされた場合,そのマニュアルを作成し職員への教育・研修を開催し対応方法を検討していた.さらに臨床現場では職員同士がミーティングを重ね,利用者の暴力行為への改善に向けて実践していた.その事例を以下に示す.
 事例の対象者は,女性88歳,要介護度3でアルツハイマー型認知症を患われている.認知症高齢者の暴力・暴言の状況を明らかとするためタイムスタディを実施した.対象期間は2週間であり,その行動を調査し徘徊と暴力・暴言が表出した時間帯を特定した.また,対象者の個人的背景を探索するため,家族と過去に利用したデイサービスの担当者への聞き取りを実施した.その結果,徘徊は早朝7時と夕方4時に集中しており,また暴力と暴言については早朝の時間帯に頻出していることが明らかとなった.こうした調査を基礎に介護実践したが,改善の見られなかった利用者の困難事例を報告する.そのうえで,本発表は,認知症高齢者の臨床現場において暴力・暴言などの周辺症状があった場合,利用者・介護職員の尊厳はどのように保持されるべきかを問うものである.

参考文献一覧
厚生労働省(2022)「介護人材の確保,介護現場の生産性向上の推進について」『社会保障審議会 介護保険部会参考資料』(mhlw.go.jp2023.1.5).
北野さをり(2021)「患者・利用者から職員への暴力に至る実態に関する考察 ―看護・介護領域での先行研究から―」『四天王寺大学大学院研究論集』15 43-60.

【最近の業績】
:宮下浩明氏
・「日常的な診療の中でいったいどのようなものとして尊厳を考えたらよいのだろうか」関東医学哲学・倫理学会 総合部会例会6月例会、研究発表、2022年6月
・「信仰にもとづく医療上の要請にたいする、医療者の判断についての検討」、第24回岡山生命倫理研究会 研究発表、2020年2月
・「中山間へき地の無床診療所活動の報告 ―高齢者を対象とした医療活動の倫理性についての検討」、関東医学哲学・倫理学会総合部会7月例会、研究発表、2010年7月

:根本輝氏
論文
根本輝(2022)「準市場理論の背景と変遷」『社会福祉学評論』23巻p1-15(査読付き).
根本輝(2017)「高齢者の24時間ケアにおける随時対応の意義について―緊急ニーズから個別の生活リズムの対応へ―」『社会福祉学』58巻3号p41-53(査読付き)
事例報告
根本輝(2014)「ワークライフバランスの現状と今後の展望 : 介護職員(私)の事例を通して」『介護福祉』94巻 p83-91.
学会発表
根本輝(2023)「準市場における競争原理をサービスの質向上に結び付けるための方策の検討―高齢者の尊厳を保持する介護サービスを目指して―」『関東医学哲学・倫理学会 月例会発表』 1月例会

根本輝(2019)「ル・グランの準市場理論と日本の介護保険制度の諸問題」『関東医学哲学・倫理学会 月例会発表』 12月例会

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2023年5月例会(第307回総合部会例会)

【目次】
日時:5月 13日(土 ) 15時~17時30分(予定) 
会場:ハイブリッド開催を予定しています。
*本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください。
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リアル会場
 ふれあい貸し会議室 飯田橋総合経営ビル3F
 千代田区飯田橋2-11-10  ※14時半から入室可能
 【アクセス】東京メトロ東西線 飯田橋駅から徒歩3分
 水道橋駅、九段下駅からも徒歩圏内(下記google map参照)
 https://maps.google.com/maps?q=35.6997905,139.7495001&zoom=16

*録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

【発表者】
船木 祝氏(札幌医科大学)

【演題】
コロナ禍の独居高齢者へのインタビュー調査――尊厳を保持するための支援のあり方

【司会】
小館 貴幸氏(立正大学)

【要旨】
 内閣府令和3年版高齢社会白書によれば、地域別では、令和元年(2019年)の高齢化率は、東京が23.1%、北海道が31.9%となっている。令和27年(2045年)には、東京が30.7%へ、北海道が42.8%へ上昇する見通しである1)。全国的に見ても、今後独居高齢者の増加はさらに見込まれ、北海道は首都圏に比べても高齢化率が今後著しく上昇することが見込まれる。
 コロナ禍により家族との往来が制限されたり、社会的交流の場が自粛となったり、施設などの面会が制限されたことによって、独居高齢者の社会的及び精神的状況にどのような影響があっただろうか。こうした関心の下、私たちの研究グループ(船木祝、山本武志、宮嶋俊一、粟屋剛)は、令和3年12月から令和5年3月まで、北海道の道央、道北、道東における4市町在住の65歳以上90歳未満の独居高齢者各6名計24名を対象とするインタビュー調査を行ってきた。なお、本研究は、札幌医科大学倫理委員会により承認を得ている(承認番号: 3-1-42(令和3年10月8日))。本報告では、コロナ禍においてつながりが不足したことによる、独居高齢者の孤独感への影響と支援のあり方に焦点を当てて報告をする。
 社会的ネットワークの欠如から生じる「社会的孤独(social loneliness)」と親密な関係が欠けることから生じる「情緒的孤独(emotional loneliness)」との孤独の分類がある2)。コロナ禍によって、人との交流が減ることによって、とくにこれまで活動的生活を送っていた高齢者には、退屈であるとか目的がないといった社会的孤独感が高まったと言える。一方、施設に入所した家族への直接の面会ができなくなった高齢者には、まったく一人であるという精神的苦痛である情緒的孤独を経験する場合があった。後者は社会的交流の中にいても緩和しないことが多い。客観的に一人である状態である「孤立(isolation)」と、主観的な心理的不快感である「孤独(loneliness)」とは区別され3)、集団の中で孤独を感じることもあるのである。こうした情緒的孤独感は、高齢者の日々の生活を人間らしく、尊厳をもって暮らしていくことを困難にするだろう。本報告では、そうした孤独感に苦しむ一人暮らし高齢者に対する、情緒的支援のあり方について考察したいと思う。

〔参考文献〕
1) 内閣府:令和3年版高齢社会白書,2021.
2) 船木祝:独居高齢者の社会的・精神的状況に関わる倫理原則の一考察.北海道生命倫理研究,2,10-19,2014.船木祝:新型コロナウイルス感染症拡大下における独居高齢者の孤独.地域ケアリング,24(12) ,71-74,2022.
3) 自由民主党政務調査会 孤独・孤立対策特命委員会:孤独・孤立対策特命委員会提言,2021.

【最近の研究業績】
船木祝:響き合う哲学と医療,中西出版,2020.
船木祝:カントの思考の漸次的発展――その「仮象性」と「蓋然性」, 論創社,2020.
船木祝:55歳からの哲学・宗教の言葉――カント、シェーラー、シュタイン、ヒルティ、アビラのテレジア, 論創社,2021.

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総会・総合部会のお知らせ(第306回総合部会例会)

下記の通り、総会・総合部会4月例会を開催致します。
万障お繰り合わせのうえご参加くださいますようお願いします。

【目次】
総会
日時:4月 16日(日 ) 14時~15時(予定) 

総合部会
15時15分~17時45分
発表者:小館 貴幸氏(立正大学)
司会:調整中
演題:2023年度の年間テーマについて

なお、運営委員会を同日の12時から行います。
傍聴希望の方は事務局朝倉までご連絡ください。

会場:ハイブリッド型での開催を予定しています。
(開催日2日前までに別便で会場とzoomURLをMLにてお知らせします。)

昨年の議事録及び総会議題ものちほどお送りします。

*本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください。
事務局 asakura*toyo.jp(*を半角@に入れかえて送信してください。)

2022年度臨時総会のお知らせ

【目次】
日時:3月 19日(日 ) 13時~13時30分(予定) 
会場:リモート開催を予定しています。

議題:監事の交代について

会員にMLでzoomアドレスをお知らせします。

2023年3月例会(第305回総合部会例会)

【目次】
日時:3月 4日(土 ) 15時~17時30分(予定) 
会場:リモート開催を予定しています。
*本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください。
事務局 asakura*toyo.jp(*を半角@に入れかえて送信してください。)

*録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

【発表者】
秋葉 峻介氏(山梨大学大学院総合研究部医学域・総合医科学センター)

【演題】
「医療・ケアをめぐる意思決定と「人生の物語り」の再構成・再創造」

【司会】
中澤 武氏(明海大学)

【要旨】
 アドバンス・ケア・プランニング(ACP)や共同意思決定は、本人の自律や自己決定権のみによる意思決定の議論の限界を克服するために、関係的自律や共同体自己のような弱い個人やその自律(観)に基づく関係性を重視した意思決定の仕方として登場してきた。こうした背景・経緯からすれば、身寄りのない、あるいは家族とあえて疎遠な一人暮らしを選択しているような「つながっていない者」にも個人の自律ではなく関係性を織り込んだアプローチを、ということはあり得るだろう。しかし、意思表示が可能な「つながっていない者」が、みずからの生/死、医療・ケアについてたんに意思決定するだけであれば、とりたてて「関係」を見出さずとも、自律・自己決定権による議論の範疇に収まるはずである。他方で、「つながっていない者」本人が意思表示できないならば、医療・ケアチームがその患者にとっての最善を判断することになるが、これもまた「関係」の手掛かりがなくとも、医学的妥当性・適切性という極めて客観的な判断材料が存在する。こうしてみると、自律・自己決定権によるアプローチでも、医学的妥当性・適切性によるアプローチでも像を結べずにいる「何か」が医療・ケアをめぐる意思決定の根底にあるのではないかという問いが浮かび上がってくる。
 ACPや共同意思決定が医療・ケアの方針(生/死にかかわる諸々)をめぐって行われることは広く普及されつつある。しかし、「何か」を明らかにするためは、この理解を改めて検討してみる必要があるのではないか。突拍子もないことに見えるかもしれないが、ACPの愛称が「人生会議」と決定されたことに鑑みると、そう的外れでもないはずである。たとえば、「人生会議」の啓発用パンフレットには、「人生の終わりまで、あなたは、どのように、過ごしたいですか?」「自らが望む、人生の最終段階の医療・ケアについて話し合ってみませんか」等のコピーが確認できる。一見すると、医療・ケアの方針決定に係る意思の共有、そして共有された意思・方針の実現が主眼にあるように思われる。しかし、なぜそれを、ことさらに「人生」と関連付けて啓発する必要があるのか。換言するならば、「医療・ケアの方針はみんなで話し合って決めましょう」とすれば済むところ、なぜそれが「人生」の話になるのか、という問いである。すると、やはり、ACP(人生会議!)や共同意思決定において取り上げられているのは、少なくとも医療・ケアをめぐる諸々だけではないはずだ、というところに行き着くことになる。
 本報告では、ACPや共同意思決定において話し合われるであろう事例として、慢性疾患に対する治療の選択に関するもの、また、事前の意思と「いざそのとき」の意思とに一貫性がない場合の判断に関するものを取り上げ、それぞれ医療・ケア以外の「何か」が論じられているか否かについて検討する。そのうえで、ACPや共同意思決定、あるいは関係性に基づくケアと称される営みが、いったい何をめぐるものなのか改めて問い直す。それらを踏まえ、「家族倫理」でも状況依存的な議論でもない関係性に基づく倫理を論じるための「何か」や、「つながっていない者」さえ「つながっている者」としてみなすことに隠された「何か」との関係を考えてみたい。

【最近の研究業績】
〈書籍〉
・秋葉峻介2022「ケア倫理における家族に関するスケッチ――「つながっていない者」へのケアに向けて」小西真理子・河原梓水 編『狂気な倫理――「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定』(分担執筆、第3章担当)晃洋書房pp.48-67. 
〈論文〉
・秋葉峻介2021「医療・ケアをめぐる自己決定における自他関係と関係的自律」『生命倫理』通巻32号pp.46-54.
・秋葉峻介2022「Advance Care Planningにおける共同意思決定の理論構造の検討」『医学哲学 医学倫理』第39号 pp.1-10.
・秋葉峻介2023「共同意思決定は自律・自己決定の限界を克服したのか――意思決定主体再考に向けて」『医学哲学 医学倫理』第40号 pp.1-10.

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2023年1月例会(第304回総合部会例会)

【目次】
日時:1月 21日(土 ) 15時~17時30分(予定) 
会場:リモート開催を予定しています。
(本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください。事務局 asakura*toyo.jp(*を半角@に入れかえて送信してください。)
*録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

【発表者】根本 輝(ヒカル)氏(法政大学大学院博士後期課程在籍/株式会社オールプロジェクト 貞元事業部 事業部長)
【演題】「準市場における競争原理をサービスの質向上に結び付けるための方策の検討―高齢者の尊厳を保持する介護サービスを目指して―」
【司会】江黒 忠彦氏(関東医学哲学・倫理学会会長)

【要旨】
 本発表のテーマは「準市場における競争原理をサービスの質向上に結び付けるための方策の検討―高齢者の尊厳を保持する介護サービスを目指して―」である.介護保険制度は1997年に成立し,第1条には高齢者の尊厳の保持が明記されている.また,近年では地域包括ケアシステムの目的にも掲げられ,その重要性が改めて示されている.しかし,2019年以降,介護施設での虐待報告は年間2,000件を毎年超え続け,また介護労働者は32万人が不足すると試算され(厚生労働省2022),今後,さらなる介護サービスの質の低下が懸念される.つまり,高齢者の尊厳の保持は,社会的に認められているが,具体的な取り組みが成果を出すことに結び付いていないと考えられる.そこで,本研究は,介護保険制度において高齢者の尊厳が保持される介護サービスの展開方法の獲得を目的とする.
 先進事例となるイギリスでは,準市場において理論体系化が図られている.ル・グランらは(Le Grand et al 1993:13―34),準市場を評価するための4つの評価基準と,それを成立させるための5つの成功条件を示している.成功条件とは,市場構造の転換,情報の非対称性の緩和・防止,取引費用と不確実性への対応,動機付け,クリームスキミングの防止の5つである.準市場では,これらの成功条件を整備することによって4つ評価基準となる効率性,応答性,選択性,公平性の向上が図られるとする.つまり理論上,これら条件を満たせば,高齢者の尊厳が保持された介護サービスが展開されると考えられる.
 この準市場理論を基礎として,本研究は先行研究の整理と筆者自身の調査から,介護保険制度において「選択性を確保する事業所はサービスの質が高い」と仮説を設定した.介護保険制度の選択性は,以前から課題が指摘されていながらも(池田2012),現在までその詳細が明らかにされていない.そこで,本研究はケアマネジャーの紹介率を含めた選択性の調査とサービスの質についての調査を実施した.
 調査対象事業所は,千葉県木更津市,君津市,袖ケ浦市,市原市,富津市の在宅サービスを行うすべての介護事業所とした.期間は2022年1月25日から2月28日まで質問紙票を対象範囲すべての介護保険事業所に配布し,回答を得られた事業所を研究対象としている.質問紙票は461事業所に送付し113事業所からの回答が得られ,回収率は24.5%であった.得られたデータは,統計解析ソフトIBM SPSS statistics version28.0.1.0(142)を使用し.分析を行った.分析は,説明変数を外部ケアマネジャー紹介率,被説明変数を要介護度維持改善率とし(伊藤ら2016),重回帰分析を行った.
 その結果,外部ケアマネジャーと要介護度維持改善率の相関係数は0.473と算出された(p<0.01).そのため,両者の関係性は統計的に有意であると考えられる.また,サービス種類別に重回帰分析を行った.分析手法はステップワイズ法を用い,先行研究と相関係数をもとに説明変数を投入した.その結果,通所介護では自由度調整済みR²=0.525と精度の高い予測式が算出された.こうした分析を通じて,介護保険事業所はサービス種別によって説明変数が異なることが示され,そのうちサービスの質に影響を与える共通項が外部ケアマネジャーの紹介率であることが明らかとなった.したがって,今後,介護保険制度において高齢者の尊厳が保持される良質なサービスを展開するためには,外部ケアマネジャーの紹介率に着目した方策の検討が望まれる.

【最近の研究業績】
論文
根本輝(2022)「準市場理論の背景と変遷」『社会福祉学評論』23巻p1-15(査読付き).

根本輝(2017)「高齢者の24時間ケアにおける随時対応の意義について―緊急ニーズから個別の生活リズムの対応へ―」『社会福祉学』58巻3号p41-53(査読付き).

事例報告
根本輝(2014)「ワークライフバランスの現状と今後の展望 : 介護職員(私)の事例を通して」『介護福祉』94巻 p83-91.

学会発表
根本輝(2019)「ル・グランの準市場理論と日本の介護保険制度の諸問題」『関東医学哲学・倫理学会 月例会発表』 12月例会

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2022年12月例会(第303回総合部会例会)

【目次】
日時:12月 3日(土 ) 15時~17時30分(予定) 
会場:リモート開催を予定しています。
(本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください)
*録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

【発表者】:
田村孝行(一般社団法人 健太いのちの教室 代表理事)
田村弘美(一般社団法人 健太いのちの教室 理事)
司会:小館貴幸氏(立正大学)
演題:「七十七銀行女川支店津波事故 ― いのちを大切にする安全な社会づくりをめざして『大切な命を守る企業防災・組織防災』・『企業のあり方』」

【要旨】
2011年3月11日東日本大震災の津波により、企業管理下で当時25歳の息子が犠牲となりました。
それ以来、企業防災・組織防災」・「企業・組織のあり方」をテーマとして伝え続けております。初めに事案の内容をお話します。その中から企業・組織の課される安全配慮義務の遂行において、本気で従業員の身体生命を守る為には、企業・組織で何が必要なのか私たちが考える「企業防災のあり方」をお話しさせて頂きます。
是非、ご一緒に企業・組織で命を守る対応と企業・組織のあるべき姿を考えさせて頂きたいと思います。
最後に、「息子・健太のこと」一人の人としての25年の人生物語をお話しします。
そこに様々な気づきが生まれたことをお話し致します。

この事案の様々な箇所で、旧態依然の企業・組織の風土が見え隠れします。一種の同調圧力のようなものが根底にあると感じます。日本が持つ不思議な建前の為に、命まで失うような風土はあってはならないと思います。この風土を変えるには、私たち一人ひとりが企業・組織の中で決して無駄な命を失うことのない社会を作るため、今生きている私たちが意識を広め、いのちを大切にする安全な社会づくりをめざしていかねばならないと思います。
そして「いのち」、人が亡くなると姿・形は見えません。しかしながら、最近の私たちには、息子が一緒にこの活動をいていると思うようになりました。親の約束として、「いのち」を生かし続けると宣言し今日まで至りました。何がそうさせたのかは、息子健太のいのち(人間そのもの)で「健太の心の財産」というものではないかと思います。
そして、「精神は生き続け」私たちもその精神に生かされていると痛感しています。

【業績】
田村孝行、田村弘美「『大切な命を守る企業防災・組織防災』・『企業のあり方』」、七十七銀行女川支店被災者家族会『東日本大震災から学ぶべきもの : 大切な命を守る企業防災・組織防災を一緒に考えましょう : 七十七銀行女川支店被災状況と家族会5年のあゆみ : 報告書』所収、2017年。

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会場には若干の余裕があります。――――――――――――――――――――――――――
会場名: ふれあい貸し会議室飯田橋総合経営
住所: 〒1020072 東京都 千代田区 飯田橋 2-11-10 総合経営ビル
マップ: https://maps.google.com/maps?q=35.699770499999985,139.74948440000003&zoom=16
※会場は14時半から入室可能です。
――――――――――――――――――――――――――

2022年11月例会(第302回総合部会例会)

【目次】
日時:11月 12日(土 ) 15時~17時30分(予定) 
会場:リモート開催を予定しています。
(本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください)
*録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

発表者:小山 千加代氏(新潟医療福祉大学)
司会:宮下浩明氏(医師)
演題:「認知症の人の看護における個の尊重と信頼」

【要旨】
「個の尊重と信頼」をテーマとして、まず、最初に「認知症の人の理解」についてお話しし、次に認知症の人が受けやすい「虐待・身体拘束」の現状について述べ、最後に「急性期病院における看護師と認知障害高齢患者との信頼構築のプロセス」を通して「人間対人間の看護」について改めて考えてみたいと思います。

「認知症」と聞くと、私たちは、認知症の症状のことばかりが気になり、目の前の人を一人の人間として捉えることの大切さを忘れてしまいがちです。それは家族であっても同様であり、ご家族の大変長い介護の途上で、特に初期のころには、本人も家族も何事が起きているのかわからない不安と混乱の中で、おそらく最初は互いに傷つけあうことが少なくないと言えましょう。そのような不安を抱えた人たちを前にして、我々看護師はどれだけその人を気遣い、看護することができているでしょうか。一人ひとり異なる過去の重みを意識し、一人の感情豊かな人間として礼節をもって接することができているでしょうか。
「人間対人間の看護」という基本に改めて立ち戻りながら、今回の発表を通して、「個の尊重と信頼」について、考察を深めたいと思います。

【最近の業績】
・小山千加代 編著 『改定 老年看護学講義ノート』 編集工房球 1~219頁 2022年
・上岡千夏、小山千加代 「急性期病院における看護師と認知障害を伴う高齢患者との信頼構築のプロセス ー看護実践の基盤となるものー」 日本老年看護学会誌26(2) 71-78頁 2022年
・星野大輔,小幡ひろみ,小山千加代他 「ステントグラフト内挿術を受けた後期高齢者の治療体験」 新潟大学保健学雑誌18(1) 55-62頁 2021年

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2022年9月例会(第301回総合部会例会)

【目次】
日時:9月 10日(土 ) 15時~17時30分(予定) 
会場:リモート開催を予定しています。
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発表者:岡野 浩氏(学習院大学)
司会:船木 祝氏(札幌医大)
演題:「生の連続性(Kontinuität)」から人間の尊厳を考える

【要旨】
 かつては(あるいは、ほんの数時間前までは)生き生きと言葉を交わしていた人が、何らかの事故や疾病、劇症型の発作等により脳に重篤なダメージを受け、人工呼吸器等を駆使した高度な延命医療に支えられ、辛うじてその生を維持している状態となった時、たとえ、脳波やPET検査等により、もはやその意識活動をも含め、脳の全ての機能を不可逆的に喪失しているとされたとしても、目の前に横たわるその人を<死者>として、温かく脈打つ肉体を<死体>と見なすことは困難です。
 しかし、我が国も含め<脳死>が死のスタンダードとなりつつあるこの世界においては、<脳死体>は今や、貴重な移植用臓器の集合体であることはもとより、さまざまな医学的な実験に利用可能な医療資源(ある意味では、<公共財>)としての意味を持つようにもなりました。こうした時代の要請の中にあっては、高度な延命医療に支えられ脈打つ肉体に、<いのち>を実感し、一縷の望みに縋りつつ<共に生きること>を断念できずにいる人々(家族)の在りようは、膨大な医療資源の浪費に過ぎぬ<愚行>と批判されることになります。ただそのように断じて憚らない態度の背景には、単にドライで冷徹な医学者としての姿勢や、多くの人々の救命を図ろうとする倫理観等によっては説明することのできない<ある種の人間理解>、あるいは伝統的な人間理解の根本的変容があるようにも思われます。
 本発表では、こうした考え方の背景をなすものの一つとして、いわゆるパーソン論の議論、特に、『バイオエシックスの基礎-欧米の「生命倫理」論』(加藤尚武・飯田亘之編 東海大学出版会,1988年)所収の J.ファインバーグの「人格性の基準」とH.T.エンゲルハートの「医学における人格の概念」の議論を取り上げ、その基本的な考え方、問題点について述べた上で、彼らの議論においては必ずしも主題的には取りあげられてはいないものの、その人間理解の重要な一部をなしていると思われる<ある側面(敢えて言えば、ごく常識的な人間理解)>に目を向けてゆきます。
 特定の能力の有無、即ち、自己意識をはじめとする高度な意識活動が可能であるか否かを基準に人間の存在価値を、尊厳を有する者、すなわち、道徳的にも、法的にも充分な尊重の対象と認められる者と、そうでない者に区分・序列化しようとする立場、言い換えれば、人間の生命の展開過程の特定の局面を捉えて、そこに<クリアカットの境界線>を設けようとする議論に対して、J.ハーバーマスは、『人間性の将来とバイオエシックス』(2005年)の中で、そうした<基準(線引き)の恣意性>を指摘しています。そこで本稿後半ではJ.ハーバーマスの「連続性のテーゼ(Kontinuitätsthese)」を手掛かりに、人間存在の侵しがたい重さ(尊厳)、その<漠然たる広がり(幅)>について考えてみたい
と思います。

【業績】
・「カントにおける『生きる権利』の立法化をめぐる問題」, 『学習院大学文学部研究年報』49号, 平成14年9月, pp. 23-43.
・「M.ウォルツアーにおける『解釈(interpretation)の道』について」, 学習院大学哲学会『哲学会誌』32号, 平成20年5月, pp. 23-46.
・「共生社会を支える<宗教的見識>の涵養について考える-教育現場に求められる基本的宗教理解についての一試論-」, 『星槎大学教職研究』第2巻2号, 平成30年3月, pp. 79-86.
・酒井潔, 岡野浩編『改訂版 考える福祉』, 東洋館出版

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2022年7月例会(第300回総合部会例会)

【目次】
日時:7月 23日(土 ) 15時~17時30分(予定) 
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発表者:中澤 武氏(明海大学)
司会:黒須 三恵氏(東京医科大学)
演題:「生命の尊厳」とは何か

【要旨】
 新しい技術は、新しい問いをもたらす。20世紀の後半以降、生命現象の科学的な解明が飛躍的に進むとともに、生命に対する人為的操作の是非が新しい倫理的課題として社会的な議論の的となってきた。たとえば、1960年には米国で慢性の腎臓病患者に対する人工透析治療が開発されたが、当初は治療できる患者の数が限られていた。そこで、市民を含むメンバーからなる委員会が設けられ、社会的価値基準に基づいて「誰が生き、誰が死ぬか」を決める患者選定を行った。このことが1962年に報道されると、「神を演じる(play God)」委員会の活動に批判が集中した。ここには、旧来の生命至上主義から生命の価値の比較考量へという現代医療の原理的転換が顕現している。
 「神を演じる」ことが、なぜ問題なのか。古来より、生と死は神が独占支配するものと考えられてきたからである。生命は至高の存在に由来するものだから特別に尊い。しかも、人間以外の生き物とは違って、人間の生命には特別な価値があると考えられる。このことを、英語で「サンクティティ・オブ・ライフ(sanctity of life: SOL)」(生命の神聖性)と言う。この概念には二重の意味がある。ひとつには、すべての人間が他の生き物とは違う特別な価値(「人間の尊厳」)を認められている。もうひとつには、そのような人間の命が「神聖」なものと見なされている。SOLがこのような意味を持っているのは、それがヨーロッパの哲学的および宗教的人間観の伝統に根差した概念だからである。すなわち、一方でSOLの背景には「人間の尊厳」という哲学的な概念があり、他方でSOLは、ユダヤ・キリスト教の宗教的人間観を受け継いでいる。要するに、SOLは西洋の文化的伝統の中で育まれ、歴史的な深みを備えた謂わばローカルな概念なのである。
 このように、SOLは、人間と人間以外の生命との間に絶対の差別と価値の序列を設けることなのだから、わが国の伝統的な生命観からすれば、異質な思想と言えるだろう。たとえば、わが国の古典文学の中には、生きとし生けるものの苦しみに共感し、畏敬する人々の姿がある(平安時代の仏教説話集『日本霊異記』など)。現代でも、ペット動物の葬儀や実験動物の慰霊祭は珍しくない。死を免れず限りある存在としての命に対する共感的姿勢は、わが国における道徳意識の基礎となっている。人間の命だけに限らず、すべての命は壊れやすく、はかない。だからこそ命は尊く、ときには畏敬の対象ともなる。
 とはいえ、SOLという言葉は、わが国でも1980年代から医の倫理との関連で用いられ、「生命の尊厳」と訳されるのが通例であった。「尊厳」の原語には sanctity と dignity の両方が考えられるが、当初はこれらの概念の区別が明確ではなかった。現在では、SOLを「生命の神聖性」と訳し、「生命の尊厳」は「人格の生命の尊厳」(dignity of the life of the person)とする理解が定着している。では、非西洋の文化的伝統を背景として、人間の生命を含む生命一般に関する「生命の尊厳(dignity of life)」の新規定は可能だろうか。  

【最近の業績】
著書:
――Kants Begriff der Sinnlichkeit, frommann-holzboog, 2009.
――マンフレッド・キューン『カント伝』(共訳, 春風社, 2017).
――ディーター・ビルンバッハー『生命倫理学:自然と利害関心の間』(監訳, 法政大学出版局, 2018).
――『新版 薬学生のための医療倫理[コアカリ対応]』(共著、丸善出版, 2021年)

本学会員でない方で参加を希望される方は事務局までご連絡ください。
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学会員には2日前までにはメールでミーティングID などをお知らせします。会員以外との共有や録画・録音・スクリーンショットはお断りしています。届いていない会員は事務局までご連絡ください。

2022年6月例会(第299回総合部会例会)

【目次】
日時:6月 4日(土 ) 15時~17時30分(予定) 
会場:リモート開催を予定しています。
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*録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

発表者①:宮下 浩明氏(みやした内科医院)
演題:日常的な診療の中でいったいどのようなものとして尊厳を考えたらよいのだろうか

発表者②:大西 奈保子氏(帝京科学大学)
演題:非がん患者の緩和ケア~がん患者と心不全患者との比較

司会:小館 貴幸氏(立正大学)
(今回は2名の発表を行います)

【要旨】①宮下 浩明氏
 倫理研究、倫理ガイドラインのなかでは、重要な概念として尊厳は位置づけられていると思われる。一方、日常の診療の中で尊厳という言葉を、医療者と患者の直接の言葉のやりとりの中で使う機会は、自身の経験を振り返ってもほとんどなかったように思われる。
 尊厳がそれほどに重要なものであれば、なぜ、仕事の中でそれとして使われないのか疑問をもった。
 これまでの総合部会での諸発表において、尊厳について、法律の中での使用、キリスト教などの宗教教義とのかかわり、使用に至った歴史的な経緯、倫理哲学的な内実について、提示されてきたように思う。
 尊厳についての様々の研究があることを念頭においたうえで、終戦後の日本国憲法制定の簡単な経緯、ドイツ、アメリカでのキリスト教信仰の確認などから、それぞれの国における尊厳の受け取りかたについて想像力を働かせたい。
 尊厳の内容は、時代地域によって変わりうるものであると思われた。医療の中での尊厳について、医療者と医療を受けるものとのかかわりの中に、日常どこにでもあるような形で、見つけ出すことができる可能性について、医療者の立場から提案したい。

【最近の業績】
・「信仰にもとづく医療上の要請にたいする、医療者の判断についての検討」、第24回岡山生命倫理研究会 研究発表、2020年2月
・「中山間へき地の無床診療所活動の報告 ―高齢者を対象とした医療活動の倫理性についての検討」、関東医学哲学・倫理学会総合部会7月例会、研究発表、2010年7月
・「病名、病状の患者理解における解釈、意味づけの視点から、がん告知を検討する」、第26回日本医学哲学・倫理学会大会、2007年10月

【要旨】②大西 奈保子氏
 高齢社会の日本では、国民の3分の1はがんで死亡するが、残りの3分の2は、がんではない疾患(老衰等も含む)で亡くなる。緩和ケア(パリアティブケア)の考え方は、がん医療の発展の中から生まれたものである。つまり、がんの撲滅が見込めないのであれば、がんに伴う不快な症状を緩和して、がんとの共生を目指すという考え方である。現在、がん医療から発展してきた緩和ケアの概念を、高齢者のエンドオブライフケアや、がん以外の疾患の終末期に応用しようという試みがなされている。しかし、がんの終末期と非がんの終末期では、病の軌跡や治療方法などの違いがあり、がんの終末期ケアで発展してきた緩和ケアを単純に非がん患者の終末期に当てはめることは困難である。
 また、非がん患者のターミナルケアを担う看護師は、看護教育の中で、“がん”の終末期を想定して講義が展開されるようになっている。そのため単発で高齢者のエンドオブライフケアといった広い意味での非がん患者のターミナルケアを学ぶことはあっても、系統的に学ぶのは、やはりがんの終末期ケアである。以上のような状況を踏まえてみても、非がん患者は、専門家による一貫した緩和ケアを受けられる状況にはないと言える。
 今回は、発表者が看護学臨地実習指導で経験をした事例を踏まえながら、心不全患者を例に挙げ非がん患者の緩和ケアについて問題提起できればと考えている。

【最近の業績】
・大西奈保子・田中樹:臨地実習で終末期の患者を受け持った看護学生の成長に関連した体験, 日本看護学教育学会誌, 31(3), 23-34, 2022.
・大西 奈保子, 小山 千加代, 田中 樹:在宅で妻を介護した夫の看取りの特徴と訪問看護師の支援, 日本看護科学学会誌,40, 113-122, 2020.

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2022年5月例会(第298回総合部会例会)

【目次】
日時:5月 15日(日 ) 15時~17時30分(予定) 
会場:リモート開催を予定しています。
(本学会員以外で聴講をご希望の方は下記事務局までご連絡ください)
*録音・録画及び第3者への配信はお断りしています。

発表者:尾崎 恭一氏(放送大学埼玉学習センター)
司会:冲永 隆子氏(帝京大学)
演題:人間の尊厳と積極的安楽死⋅医師介助自殺

【要旨】
 積極的安楽死⋅医師介助自殺の違法判断や正当化の根拠の変化について、人間の尊厳価値に関する道徳観の深化という側面から考えたい。
 まず日本では、早くも1960年代に積極的安楽死の違法性阻却要件が名古屋高裁判決で示されている。この基準とその理論的支柱となった小野清一郎学説によれば、人命価値は本人による苦痛からの解放という自己中心的な意思を越えた、他者の利他的同情の倫理によってしか奪えないものだとされる。これに対して1995年の東海大学病院事件の横浜地裁判決では、死苦解放と人命との法益評価は本人の自己決定に委ねられるべきだと反転している。これは、人間の価値を個人の尊厳において捉える が故の転換である。
 他方、ドイツの安楽死裁判の歴史では、逆に基本法第一条に規定された人間の尊厳に基づく第二条の道徳律は人命価値を至上のものとするがゆえに安楽死は厳禁であり、自殺未遂者を本人意思に反しても救命する義務があるとされた。その背景には、ナチスが優生思想から安楽死を推進した過去がある。しかしその後の1990年代の判決では、この救命義務は消えるが、その正当化は基本法第二条の道徳律は人命に対して自律が優ると解釈変更されるにいたる。
 いずれも安楽死等の違法性阻却を明確にする傾向であるが、逆に日本では近年、優生思想の視点から「安楽死」等を主張したり、それと対をなすように優生思想批判の視点から安楽死等を否定する議論が目立っている。
 以上において、一方での利他心と自己決定の評価の転換、他方での優生思想からの安楽死把握には、人間の尊厳価値についてどのような認識の深まりがあったのか、この点について安楽死判決を参照しつつ考えたい。 

【最近の業績】
・「優生思想批判視点に基づく積極的安楽死否定論について」日本医学・哲学倫理学会第40回大会、研究発表、2021年11月07日
・「道徳概念と学校道徳」日本道徳教育学会第93回大会、研究発表、2019年6月29日
・「近代の道徳概念と道徳科の成績評価」『人間と教育』第101号、旬報社、2019年3月7日
<参考>
・2004 ドイツにおける直接的積極的安楽死及び医師介助自殺をめぐる諸問題、続・独仏生命倫理研究資料集(上),平成15年度科学研究費補助金・基盤研究B(1)
・2004 ドイツにおける医師介助自殺論議-「人間の尊厳」理解の対立―, 医学哲学と倫理,No.3, 日本医学哲学・倫理学会関東支部
・1997 Denkweisen ueber Leben und Tod und aktive Euthanasie in Japan, Humanitas Verlag
・1996 自発的積極的安楽死と自己決定権(論文、単著), 医学哲学 医学倫理,第14号,日本医学哲学・倫理学会

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2022年総会・4月例会(第297回総合部会例会)

【目次】
総会
日時:4月 10日(日)15時~16時(予定)
会場:リモート開催を予定しています。

4月例会
日時:4月 10日(日)16時15分~17時45分(予定)
会場:リモート開催を予定しています。
演題:2022年度年間テーマについて

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2022年3月例会(第296回総合部会例会)

【目次】
日時:3月 5日(土 ) 15時~17時30分(予定) 
会場:リモート開催を予定しています。
(数名程度なら会場参加も可能です。下記をご参照ください。)
発表者:近藤 弘美氏(東京農工大)
司会:米田 祐介氏 (東洋大学)
演題: 「人間の尊厳」と優生思想の関わり
    ――国家による強制と個人の自律性の観点から――

【要旨】
 生殖補助医療において「新型出生前診断(NIPT)」「遺伝子診断(PGD)」「遺伝子着床前スクリーニング検査(PGS)」など、「命の選別」を可能とする診断技術が日本でも検査対象者を拡大しつつある。だが、「命の選別」は、これ以前より他の検査によって行われていたことは、障害者団体からの告発によって明らかにされている。
 発表者は、これまで「人間の尊厳」を奪う国家による強制的な優生政策と個人の自律的選択による優生的行為の相違点について、優生保護法下における不妊手術と生殖補助医療における「出生前診断」を手がかりにさぐってきた。また、リベラル優生学が「命の選別」を正当化するのだろうかという疑問があった。この疑問に対して、日本の障害者団体と女性団体による出生前診断をめぐる議論の蓄積が示唆を与えてくれる。議論を再び読み解くことは、新たなる視点を得ることになるだろう。


【最近の業績】
「尊厳死」について平成26年9月『総合人間学会オンラインジャーナル』第8号
「殺すことと死ぬにまかせることの間-道徳的差異と対称性について-」平成26年3月
お茶の水女子大学『人間文化創成科学論叢』第16号
「優生法にみられる日本人の倫理観」平成25年3月お茶の水女子大学『比較日本学教育研
究センター研究年報』第9号
「リベラル優生学と他者危害の原則」平成24年8月お茶の水女子大学哲学会・哲学倫理学
研究会『倫理学研究』Vol.5 

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会場名: ふれあい貸し会議室飯田橋総合経営
住所: 〒1020072 東京都 千代田区 飯田橋 2-11-10 総合経営ビル
マップ: https://maps.google.com/maps?q=35.699770499999985,139.74948440000003&zoom=16
※会場は14時半から入室可能です。
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2022年1月例会(第295回総合部会例会)

【目次】
日時:1月 30日(日) 15時~17時30分(予定) 
会場:リモート開催(4~5名程度会場開催が可能です。)
発表者:大鹿 勝之氏(東洋大学 東洋大学東洋学研究所客員研究員)
司会:長島 隆氏 (東洋大学)
演題:共感と行為の是認 ―ヒュームの議論における道徳的区別と一般的観点―
   
【要旨】
 身体的・精神的苦境に陥っている者に共感し、その者を死なせる行為を是認する立場と、共感しつつも死なせる行為を否認する立場があると仮定して、両者の立場について、道徳的区別や一般的観点についてのヒューム(David Hume, 1711-1776)の議論から検討してみたい。
 ヒュームは、『人間本性論』A Treatise of Human Natureにおいて、悪徳(vice)と徳(virtue)との相違を記すことができるのは、それらがもたらす何らかの印象ないしは感情によってであり、ある行為、感情、性格が有徳であり悪徳であるというのは、行為、感情、性格を眺めることが特定の種類の快や不快を引き起こすからであるという。また、自己の利益や友人たちの利益が関わらない場合、社会にとって善が快を与えるのは、共感によってであり、共感がすべての人為的な徳に対して払う尊重の源泉であるとする。
 しかしながら、親しい者が苦境に陥った場合と、そうでない者が苦境に陥った場合とでは、共感を通じて生じてくる感情も異なるだろう。ヒュームは、各人が諸々の性格や人物を各人に特有の観点からみえるかたちで考察するだけなら、理にかなった語でともに会話することはおよそ不可能であるため、矛盾を防ぎ、物事についてより安定した判断に達するために、何らかの安定した、一般的観点を定め、現時点での位置がどのようなものであっても、思考のうちでは常にその観点に置くという。ヒュームによれば、非難や賞賛のあらゆる感情は、非難や賞賛を受けている人物に対する近さや隔たりといった位置に応じて変容するが、そのような感情をもって人物を評価すると社交や会話において感情に対する多くの矛盾を見いだし、位置が絶え間なく変化することから判断が不確実になることが見いだされるので、そのような大きな変容を許容することのない基準を探し求めることになる。
 以上の議論は、ある行為を非難し賞賛する場合に、その行為者に対する親しさや、利害関係によって変容する感情に基づくのではなく、一般的観点を定めてそれに基づいて非難し賞賛するという、行為の是認・否認についての不偏性を説明するものだが、冒頭で仮定した二つの立場を考察した場合、ヒュームの議論に従えば、苦境に陥っている者を死なせる行為は、是認する場合はその者への共感が死なせる行為への嫌悪に優り、否認する場合は共感よりも死なせる行為に対する嫌悪が優るといえるだろう。この両者の対立する立場に対して安定した基準は定められるのだろうか。
 この問題について、ヒュームの正義に関する議論を踏まえて、考えてみたい。

【最近の業績】 
「臓器移植における自己と他者 ―臓器は人格を持つか―」、
 『医学哲学 医学倫理』第18号、日本医学哲学・倫理学会、2000年12月
「バイオエシックスの議論と間柄の倫理 ―人格の概念に関する一考察―」、
 『東洋学研究』第38号、東洋大学東洋学研究所、2001年3月
「自己決定の諸問題 ―自己決定と関係性―」、
 『医学哲学 医学倫理』第20号、日本医学哲学・倫理学会、2002年11月
「死の選択と信念 ―緩和ケアおよびヒュームの信念に関する議論の検討―」、
『東洋大学大学院紀要』第45集、東洋大学大学院、2009年3月
「安楽死に関するベーコンの議論 ―ベーコンの医学哲学―」、
 『東洋大学大学院紀要』第49集、東洋大学大学院、2013年3月

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なお、会場については、4~5名までは来場可能とのことです。
—————–
「ふれあい貸し会議室 水道橋A-ラヴァンド」
千代田区神田三崎町2-11-11 タカギビル4階
15時~18時
・最寄駅はJR水道橋駅です。徒歩2分です。
(会場に来られる予定の方は事前に事務局までお知らせください。場所がわからない場合の連絡先をお教えします。)


———————–

2021年12月例会(第294回総合部会例会)

【目次】
日時:12月 4日(土) 15時~17時30分 
会場:リモート開催(4~5名程度会場開催が可能です。詳細は下記をご覧下さい。)
発表者:宮嶋 俊一氏(北海道大学大学院 文学研究院)
司会:宮下 浩明氏(みやした内科医院」) 
演題:「人間の尊厳」はいかにして奪われていったのか--ワイマール共和制期ドイツを中心に--

本学会員でない方で参加を希望される方は事務局までご連絡ください。事務局 asakura@toyo.jp(@は全角にしてあります。半角@に入れかえて送信してください。)

学会員には2日前まで会員にはメールでミーティングID などをお知らせします。会員以外との共有や録画・録音・スクリーンショットはお断りしています。届いていない会員は事務局までご連絡ください。

なお、会場については、5,6名(最大8名くらい)までは来場可能とのことです。
—————–
「ふれあい貸し会議室 水道橋A-ラヴァンド」
千代田区神田三崎町2-11-11 タカギビル4階
15時~18時
・最寄駅はJR水道橋駅です。徒歩2分です。
———————–

【要旨】
近年、「相模原障害者施設殺傷事件」や「京都ALS患者嘱託殺人事件」など、いわゆる「安楽死」に関わるとされる事件が日本で起こり、一部にはそれらを肯定する論調も存在している。だが、こうした事態は今に始まったものではないという意見もあり、優生思想が大きな影響力を持っていたナチズム時代のドイツと今日的状況を重ね合わせる論者もいる。
 発表者はこれまで、ドイツにおける障害者殺害(T4作戦)やその後のユダヤ人の大量虐殺(ホロコースト)に至る経緯を19世紀末、エルンスト・ヘッケルによるダーウィン進化論の受容から辿ろうとしてきた。ある意味で「人間の尊厳」がもっとも踏みにじられた出来事は、ヒトラーという「狂人的指導者」やその取り巻きたち、さらには彼らを直接・間接に支えた当時のドイツ国民によって引き起こされたというだけでなく、それを容認してしまう地盤が長い時間をかけて形成されてきたのだと発表者は考えている。本発表では、発表者が専門としているワイマール共和制期の民族主義的宗教運動に焦点を当てつつ、その歴史的な経緯を辿っていきたい。こうした作業は、「人間の尊厳」が危機にさらされつつある現代への警鐘ともなるだろう。

【最近の業績】
再ーーくりかえす世界 』(共著, 「諸宗教における死と再生をめぐって」を分担執筆)
北海道大学出版会 2021年3月
「ナチズム期ドイツにおける『安楽死』政策への道程」『北海道生命倫理研究』第9号、 26-33頁、 2021年3月
「ハイラーにおける宗教現象学の受容と展開」『宗教現象学の歴史的変遷と地域性に関する包括的研究(東京大学宗教学年報 特別号)』、253-259頁、 2021年3月

 

2021年10月例会(第293回総合部会例会)

日時:10月 9日(土) 15時~17時30分 
会場:リモート開催(4~5名程度ですが会場開催も可能です。詳細は下記をご覧ください。)
発表者:松田 純氏(静岡大学名誉教授)
司会:中澤 武氏(明海大学) 
演題:人間の尊厳とは何か

本学会員でない方で参加を希望される方は事務局までご連絡ください。
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(学会員には2日前までにはメールでミーティングID などをお知らせします。届いていない会員は事務局までご連絡ください。)

【要旨】
1 「人間の尊厳」概念の歴史
「人間の尊厳 human dignity」はヨーロッパ起源のヨーロッパ固有の概念。現在に至る
「人間の尊厳」概念の歴史を概観。
2 人間本性の排他的尊厳という神話の終焉——ルソーと東アジアの自然観
人間以外の被造物を人間から差別化した上で、人間である限り誰もが等しく尊厳を有している。絶対差別が絶対無差別を根拠づけるという構造が、「人間の尊厳」概念には内在。この差別構造にルソーは意義を唱えました。ルソーは『人間不平等起源論』の中で、「憐れみの情(pitié) 」(人間をして同胞が苦しむのを見ることを嫌わせる生得の感情)を「人間のあらゆる反省〔理性〕に先立つ」「もう一つの原理」としてあげています。「憐れみの情」はひろく「生きとし生けるもの」への共鳴です。レヴィ=ストロースはルソーの「憐れみの情」を、ユマニスム(人間中心主義)の欠陥をあばき、コギトを終焉させ、「人間本性の排他的尊厳という神話」を終わらせるものと評価しました。さらに「こうした教訓はすでに極東の偉大な諸宗教のなかには含まれていた」とまで述べました。人間の尊厳概念は東アジアの生命観・自然観とは必ずしも合致しません。
3 戦後日本の人間の尊厳ー日本の法律は「尊厳」が好き?
戦後日本は国際連合への加盟を契機に、ヨーロッパ的な「人間の尊厳」概念を受け入れました。日本国憲法を含む日本の法令のなかにも「尊厳」という語が多く使われています。
「個人の尊厳」」や、「高齢者の尊厳」、「児童等の尊厳」、「障害者の尊厳」など、尊厳という語が入った法令は 2021 年現在 43 本あります。近年では平均して年に 2 本ずつ「尊厳」を盛り込んだ法令が作られています。日本の伝統的な自然観とは異なる前提に立つ概念であるにもかかわらず、日本国民は「尊厳」が好きな国民と言えます。
4 「尊厳 」の意味内容を言説化
医療にかかわる法令や医療職の倫理綱領などでも、患者の「尊厳」を守ることの重要性が強調されています。そのため臨床の場で「患者の尊厳」について言及されることもあります。しかしそのような場合でも、「尊厳」がいったい何を意味しているのか必ずしも明確でないまま、なんとなく使っている場合もあります。現在使われている尊厳の意味内容を明らかにすることが必要です。
「尊厳」は現在の日本の辞書的意味では「尊く厳かなこと、またはそのさま」などとなっています。「尊厳」という言葉には重々しい響きがあるため、議論をストップさせる決まり文句のように用いられることも多いです。その意味内容を無自覚のまま用いていると、この言葉を空虚なものにしかねません、臨床や対人援助の場面でどのような思いを込めて「尊厳」という語を用いているのかを振り返り、その意味内容を言説化する努力が求められます。ディーター・ビルンバッハー「生命倫理における人間の尊厳」を参照して、「尊厳」のわかりやすいとらえ方を試みます。

【最近の業績】
著書:『安楽死と尊厳死の現在 最終段階の医療と自己決定』中公新書、3版 2021年
共著: 加藤泰史ほか編『東アジアの尊厳概念』法政大学出版局、2021年
共編著:『ケースで学ぶ 認知症ケアの倫理と法』南山堂,2017年
監訳:ドイツ連邦議会審議会答申『人間の尊厳と遺伝子情報――現代医療の法と倫理』、知泉書館, 2004など


【会場について】
会場の広さの関係から4~5名程度まで入場可能です。
会場や場所に関するお問い合わせは、下記事務局までお願いします。

「ふれあい貸し会議室 水道橋A」 10/9(土)15:00~17:30(14:30から入室可)
最寄駅はJR水道橋駅です。駅から徒歩5分程度です。

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2021年9月例会(第292回総合部会例会)

日時:9月 11日(日) 15時~17時30分 
会場:リモート開催
発表者:米田 祐介(まいた ゆうすけ)氏(東洋大学)
司会: 小館 貴幸 氏(立正大学)
演題:反出生主義とどう向き合うか(仮)

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【要旨】
スープにハエが落ちたという不幸は、スープの美味しさによっては相殺されない。コロナ禍の閉塞感と不安の只中にあるいま、反出生主義(Antinatalism)が静かにひろがりをみせている。2020年、反出生主義インターナショナル(Antinatalism International)が設立され、日本においても、2021年1月、無生殖協会(The Association of Anti – Procreationism in Japan)が設立された。反出生主義の思想史については、古代ギリシャ、古代インドから始まり、19世紀のショーペンハウアー、そして20世紀のシオラン等々と蓄積があるが、21世紀の今日、反出生主義への注目は2006年刊行のベネター著『生まれてこないほうが良かった』のインパクトであろう。
本書にて彼は、生まれてくることは常に害悪であるとし、悲観主義的にでもなく、厭世主義的にでもなく、<はじまり>そのものという規格外に特別な事象を冷徹に取り上げた。ベネターの反出生主義は「生まれること(誕生)」の否定と「産むこと(出産)」の否定の二つを包含するものであり、前者から後者の規範的主張が帰結される。だが、少なくとも日本では、とりわけ後者すなわち反出生主義における反生殖主義的側面のみが受容されてきた感があり、ベネターが主張するところのコアな部分が見えなくなっている。では、ベネター思想の白眉であるところの「快苦の非対称性」とはどのようなものであろうか

彼の主張は次のようなものである。ある人が生まれてこの世に存在する場合には、必ず何らかの苦痛と快楽が存在する。逆に、その人が生まれてこない場合には、その人自体が存在しないのだから、苦痛も快楽も存在し得ない。その二つの状況(存在と非存在)を比較したときに、前者の方が「悪い」と判断する。なぜなら、「苦痛が存在する」ことは確実に悪いことだが、「快楽が存在しない」ということは、悪いとはいえないからだ。その「快苦の非対称性」ゆえに、生まれてきて「苦痛も快楽も存在する」よりも、そもそも生まれてこずに「苦痛も快楽も存在しない」方がよいのである。したがって、苦痛を引き起こさないことの方が快楽を生みだすことよりも優越するのである。
 報告者は、このようなベネターの思想が十分に説得力のあるものだとは思えない。もとよりシオラン風にいえば、生まれないことで人が救済されるのならば、しかし、そもそも救済されているとき、その救済される当人は存在しないからである。統制的な規範(人生内部の価値観)によって構成的なもの(人生そのものを創出するもの)は問えないであろう。
しかし、これまで存在していたものがなくなる喪失としての非存在と、初めから存在しない想像上の非存在を明確に区別するというベネターのまなざしは、あらゆる問いの補助線になると考えている。圧倒的に経験しえない規格外の<生>そのものを問うベネターの思考形式は同時に、<死>そのものを問うことにもひらかれているのではなかろうか。このような問題意識から、日本におけるベネター受容の概念間の混同や整理を通じて、反出生主義について考察する。

【最近の業績】
・「フクシマとサガミハラが投げかけるもの――『生産性』の2010年代、事件後に
人間の尊厳について語るということ」立正大学哲学会編『立正大学哲学会紀要』第15号(2020年)、
・「〈核災〉と〈いのち〉の選別」金井淑子・竹内聖一編
『ケアの始まる場所――哲学・倫理学・社会学・教育学からの11章』(ナカニシヤ出版、2015年)、
・「フロムと歴史知――『愛するということ』におけるケア概念の構成を中心に」
杉山精一編『歴史知と近代の光景』(社会評論社、2014年)、等。

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2021年7月例会は中止となりました。

2021年6月例会(第291回総合部会例会)

日時:6月 13日(日) 13時~16時 6月月例会案内チラシ(PDF)
会場:リモート開催
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発表者:冲永 隆子氏 (帝京大学)
司会:江黒 忠彦氏 (元帝京大学教授)
演題:「人生会議」は「デスハラ」なのか?!生きる権利と死ぬ権利

【要旨】
いのちに関わる万が一の時、どんな医療やケアを受けたいかを自分の意思で決定できない状況に備えて、家族や医療者らと繰り返し話し合うことを「アドバンスケアプランニング、ACP」という。厚生労働省が「人生会議」の愛称をつけ普及を目指してきたが、2019年11月の「人生会議」啓発ポスターが物議を醸し永久撤収された。
 本発表では、5月15日に行った、第47回保健医療社会学会円卓会議(生きる権利ー医療に関するサービス・研究・教育に当事者・市民参画が必要な理由ー企画者:細田満和子)での演者による報告ならびに質疑応答を紹介する。1.「安楽死」を肯定する二人の患者、写真家・多発性骨髄腫患者の幡野広志氏と、韓国語通訳者で多系統萎縮症のNHK「彼女は安楽死を選んだ」に登場した小島ミナ氏の事例を4分割法で比較分析、2.帝京の学生の「安楽死」肯定意見、3.安楽死ディーベートの賛成・反対を考えるロジックから「人生会議」はデスハラなのか?生きる権利と死ぬ権利について、フロアー参加者の皆様と意見交換を行いたい。当日、「終末期の意思決定支援に向けての日本人の死生観」(冲永博論2019)、現在出版準備中の『終末期の意思決定―コロナ禍の人生会議に向けてー』内容も一部紹介する。
(晃洋書房『終末期の意思決定―コロナ禍の人生会議に向けてー』2021年冬頃出版予定)

【最近の業績】
・「学生と共に考える「コロナ時代の生命倫理」―リベラルアーツ教育に向けた実践報告」(帝京大学共通教育センター論集2021年 Vol.12 53-75頁)
・「終末期の意思決定支援に向けての日本人の意識」(京都大学博士学位論文2019)
・「ジェンダーについての教育はどうあるべきか?」「キリスト教的家庭観はどこまで生命倫理における性の倫理に適用可能か?」(盛永審一郎・松島哲久・小出泰士編『いまを生きるための倫理学』丸善出版2019年)
・「生命倫理理論」(塚田敬義・前田和彦編『改訂版 生命倫理・医事法』、医療科学社、2018年17-35頁)
・「人生の終焉をどう支えるか―患者と家族の終末期の希望を実現させるためのACP(事前ケア計画)意識調査から―」(『サイエンスとアートとして考える生と死のケア―第21回日本臨床死生学会大会の記録―』エム・シー・ミューズ、2017年85-100頁)

 

2021年5月例会(第290回総合部会例会)

日時:5月 8日(土) 15時~17時
会場:リモート開催
本学会員でない方で参加を希望される方は事務局までご連絡ください。
事務局 asakura@toyo.jp(@は全角にしてあります。半角@に入れかえて送信してください。
(学会員にはメールでミーティングID などをお知らせします。届いていない会員は事務局までご連絡ください。)

発表者:長島 隆氏 (東洋大学 名誉教授)
司会:林康弘氏(武蔵野大学)
演題:
「コロナ禍における情報学の役割ーーEU における接触追跡アプリの問題と医療の場における情報学の役割」

【要旨】
 世界的なコロナのパンデミックにおいて、日本においては情報学が果たす役割はほとんど見えない状況にある。COCOA の無残な失敗は、そもそも日本においてコロナ禍にたいして対応できず、医療崩壊どころ
か、日本政府が屈服して日本の崩壊を予想させるものである。
 それでももう一度日本社会を再興するために、何をなすべきかが問われなければならない。自分の経験からも、バブル以後の日本社会の改革そのものの挫折を克服しやり直することが必要になっているという印象を持っている。いくら嘆いてもどうしようのなく、私が応用倫理学の面では、情報倫理を基本として生命倫理へと展開し、現場主義に依拠していることから、この COCOA の失敗を検証することが必要であると考えている。今回の報告は、その前提として、プライバシー問題の進展を基準にして情報学がどのように貢献できるか、またそのためには何が必要かを明らかにすることが必要であることをいわゆる「接触追跡アプリ」の問題を焦点において、浮かび上がらせることである。
 まず、プライバシーをめぐる EU の議論を概観し、次に、現在動いている国際的なこの追跡アプリの性格を解明し(分散型と集中型)、その限界の解明から情報学の役割を解明する。

【最近の業績】
「後期シェリングとヘーゲル-自然哲学の展開可能性について」
(『ヘーゲル哲学研究』第 24号、2018 年 3 月、22‐32 頁)
「環境との媒介における生命-ヘーゲル自然哲学に即して」
(『国際哲学研究』別冊9、2018年 3 月、2017 年 3 月 79‐98 頁)
「フロリーディの『ソフトエシックス』と『一般データ保護規則』」
(『国際哲学研究』別冊 13号、89‐103 頁)

2021年3月例会

202年2月12日現在、2021年3月例会開催を目指して調整しています。

日時:3月 6日(土) 15時~17時
会場:リモート開催
本学会員でない方で参加を希望される方は事務局までご連絡ください。
事務局 asakura@toyo.jp(@は全角にしてあります。半角@に入れかえて送信してください。
(学会員にはすでにメールでミーティングID などをお知らせしてあります。届いていない会員は事務局までご連絡ください。)

発表者:関根 透氏 (鶴見大学 名誉教授)
司会:島田 道子氏(鶴見大学)
演題:「鎌倉時代の然阿良忠上人のターミナルケア」

要旨
 鎌倉時代は武士が貴族に代わって主導した時代で、外観や形式よりも質実剛健で現実的な考え方が行われた時代であった。宗教も鎌倉新仏教が登場し、護国信仰や高遠な理想を探究して難行苦行するよりも、平易な易行による個人の救済を唱える宗教で、日本人の体験と思索を通して生み出された日本的な宗教でもあった。
 医療においても質的な大転換が見られ、自分の体験や経験を重んじる医療が模索され、前代の『医疾令』は形骸化し、誰でも自由に医療ができるようになった。そのため職業使命感 もない「俄か開業医」が増え、報酬、功名、出世を求めて奔走したので、医師の身分が低下した。そうした背景の中で仏教の慈悲の精神を具現しようとして活躍したのが「ほうしくすし」と呼ばれる僧医たちであった。浄土宗の第三祖・然阿良忠や真言律宗の叡尊や忍性、梶原性全たちである。
 然阿良忠上人(1199-1287)は鎌倉光明寺の開祖で、「然阿弥陀仏」「悟真寺上人」「鎌倉上人」と呼ばれ、没後「記主禅師」の諡号を賜っている。今回、良忠上人の著作である『看病用心抄』(1巻)から鎌倉時代のターミナルケアの考え方を紹介しようと思う。今回、資料とした写本は、1240年頃に著された3つの写本(安土・浄厳院本、京都・常楽台寺本、横浜・金沢文庫本)から紹介する。
 この『看病用心抄』は人間に尊厳を持たせて臨終を迎えさせてやろうとする看取りの方法が具体的に示された臨終作法書である。これは中国の善導大師の『臨終正念訣』と源信の『臨終行儀』を基本に書かれている。その内容は「前書き」と「19か条の条文」と「後書き」の3部で構成されている。「前書き」の冒頭では「敬知識看病の人に申上候・・」と始まり、看病する僧侶と臨死者の関係を親子の関係をもって看病すべきことを教えている。慈悲の心は看病僧にとって重要な心情のひとつである。「第5条」では「療治灸治のことは命をのぶる事あらず。ただ病苦をのぞくばかりなり。されば苦痛を止めて・・」と述べ、治療は延命のためでなく、苦痛除去・苦痛緩和にあると説いている。他に「返々も用心怠るべからず」「捨てはつる事はゆめゆめあるまじく候」「「慈悲をもって教護し給ふべし」などと看取りの心遣いを説いている。最後の「後書き」では「病の初めよりかねてよくよくこのむねを御心得あるべき候。これを大概ねとして、この外のことハ時にのぞみ折にしたがひて、よきように御はからひ候べく候」と結んでいる。内容は詳しくスライドで説明する。良忠上人の根本は宗教的な「慈悲の心」や「極楽往生させること」にあるように考えられる。
 なお、然阿良忠上人の『看病用心抄』は、後に海住山寺の解脱貞慶に、更に江戸時代には可円の『臨終用心』へと受け継がれて、江戸時代の看取りの実用書として普及した。

【最近の業績】
『信頼される歯科医師Ⅱ』日本歯科医師会(監修)2020年
『生命倫理学の基本構図』第一巻(分担)丸善出版、2012年
『人間学入門』日本医学教育学会編・南山堂(分担)
『医療倫理の系譜』北樹出版(単著)2007年

2020年までの記事

総会・月例会に関して6月開催を目指していましたが現状にかんがみ6月開催は見送り、当面延期とすることになりました。

開催時期が決まり次第、早急にお知らせします

5月以降の総会・例会に関して

総会・月例会に関して5月開催を目指していたが現状にかんがみ5月開催は見送り、当面延期とすることになりました。

開催時期が決まり次第、早急にお知らせします。

4月総会・例会  総会は5月以降に延期となり、4月例会は中止となりました。

新型コロナウィルス(CIVID-19)の状況を鑑みての決定となりました。ご了承ください。

5月の開催日については決定次第お知らせします。

月例会(第290回総合部会例会)   3月例会は中止となりました。

日時:3月 7日(土) 15時より
会場:東洋大学白山校舎 6202教室(6号館2階)

発表者:
司会:
演題:

 4月以降の日程・会場について調整中

◆1月例会(第289回総合部会例会) 

日時:1月 11日(土) 15時より
会場:東洋大学白山校舎 6207教室(6号館2階)

発表者:半田 栄一氏 (東京医療学院大学非常勤講師、中央大学客員研究員)
司会:小館 貴幸氏(立正大学)
演題:「医療における『全人性』と『霊性』」

【要旨】
 現代の医学・医療の発展はめざましいものがあり、生命倫理や医療倫理も、この現代医療を中心に議論されてきた。特に近年の先端的医療の発展(延命の医療技術、臓器移植、再生医療、生殖補助医療、遺伝子に関する医療技術など)に関しての議論に集中してきた。高齢者に対する医療や延命医療、尊厳死において議論される倫理上の問題も、人工呼吸器や人工的栄養補給(経管栄養やIVH)等の現代の救命医療の飛躍的進歩によって生じた。
 こうした状況に置いて、今「人間」をどのようにとらえるのか、「生命」とは何であるか、という根本的な次元から、医学や医療のありかたも捉えなおす必要に迫られている。ここでは「人間と自然」の関わりにおいて、「風土」という観点から文化や文明の形成も捉え、固有の文化における生命や自然に対する態度において医療を考えることも求められよう。
 「自然環境」に関しては、近代以降において西欧的自然観において、「エコロジー」という思想や自然保護運動が現れ出たのであるが、今医療においては、西欧発祥の現代医学の中から、客観的に捉え対象化された「心・身」という捉え方から、「自・他」を超えた「生命」という発想が志向されつつある。現代医療が抱える諸矛盾が問題化する中、WHOが健康を定義に関するさらなる検討において「スピリチュアリティ」を含め、「生命」のダイナミズムについても触れていることは大きな意味を持っている。「リスボン宣言」における「宗教的支援に対する権利」とも関連する。
 「心身」の一体性に基づく「心身医学」や「霊性」を含む人間観と医療、人間と自然の関わりにおける健康が様々な形で問われている。機械論的、唯物論的人間観を超えた「全人的医療」が唱えられて久しいが、今「補完代替医療」から「ホリスティック医学」や「統合医療」が志向されつつある。
 ここでは、医学・医療における「霊性」や「宗教性」のもつ意味について述べ、同時に西洋医学とは異なるパラダイムに基づく、伝統医学(東洋医学、非西洋医学)や民間医療、心理療法が現代の医療において持っている意味や役割について考えてみたい。
 
【最近の業績】
論文:
・半田栄一「禅の自然観と生命・環境―道元に関して―」、『地球システム・倫理学会会報』第12号(地球システム・倫理学会)、2017年。
・半田栄一「現代の医療と宗教―ターミナルケアを中心として―」、『比較思想研究』第35号〔別冊〕(比較思想学会)、2009年。
・半田栄一「宗教と科学の進化・統合―東洋の宗教とユング心理学の持つ意味」、『比較思想研究』第30号(比較思想学会)、2004年。
 
【アクセス】
東京都文京区白山5-28-20
http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html
 

【正門・8号館・南門側からお越しの場合、メインエントランス「甫水の森」の階段を上った正面に見える建物が5号館(円了記念館)。その横の地下へ降りるエレベータが6号館への入り口です。エレベータを降りたらそのまま通路をまっすぐお進みください。左手の警備員室を過ぎた5段ほどの階段を上がると6号館に入ったことになります。】

詳しくは東洋大学HP交通アクセスの地図をご覧ください。http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
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1番出口から「正門・南門」徒歩5分

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JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

新年度から会場費の徴収は廃止されました。

次回以降の予定:
2月例会予定しておりません
3月例会調整中

◆12月例会(第288回総合部会例会) 

日時:12月 07日(土) 15時より
会場:東洋大学白山校舎 6207教室(6号館2階)

発表者:根本 輝氏 (法政大学大学院 博士後期課程2年)
司会:江黒 忠彦氏(元帝京平成大学教授)
演題:「ル・グランの準市場理論と日本の介護保険制度の諸問題」

【要旨】
 本発表は,準市場理論を体系的に示したジュリアン・ル・グランの理論形成における背
景と成立,ならびにその展開を検討するものである.そこから,準市場理論に照らした国
内における介護保険制度の諸問題を示すことを目的としている.
 先進諸国では少子高齢化,医療技術などの急速な発展を背景として,肥大化する公共サ
ービスの費用抑制が共通の課題となっている.こうした社会保障費の増大に対し,各国は
,準市場の手法を公共サービスで採用している.準市場(Quasi-Markets)とは「公共サ
ービスにおいて国家による資金提供を維持しながらも,民間部門を含むサービス提供者間
に契約をめぐって競争させる枠組み」を意味している.公的部門に市場原理を導入する目
的は,公的費用の肥大化を防ぐことであり,さらに,利用者の選択権を確保することによ
ってサービスの質と効率性の向上が目指されている.
 この準市場の考え方を理論的に示したのがル・グランの研究である.ル・グランによれ
ば,準市場の成功条件とは,市場構造の転換,情報の非対称性の緩和・防止,取引費用と
不確実性への対応,動機づけのあり方,クリームスキミングの防止の5つが必要であり,
これらの条件を整備することによって,4つの評価基準となる効率性,応答性,選択性,
公平性の向上が図られるとした.
 しかしながら,ル・グランの理論は準市場化が果たされた現在の公共サービス領域にお
いても,これらの諸条件が適応可能であろうか.そこで,本研究はル・グランの理論的な
背景から成立までを整理し,準市場理論を検討した.そこから,日本の介護保険制度にお
ける現代的な諸問題を先行研究から概観している.
 以上のような検討から,準市場理論から観た現在の介護保険制度は,主に応答性と選択
性に諸問題を抱えていることが示唆された.最後に,国内における応答性の確保について
,外国人技能実習生の受け入れの現状を報告する.尚,本発表は博士論文の中間的な発表
である.
【最近の業績】
論文:「高齢者の24時間ケアにおける随時対応の意義について―緊急ニーズから個別の生
活リズムの対応へ―」『社会福祉学』(2017)Vol58p41-53.
事例報告:「ワークライフバランスの現状と今後の展望 : 介護職員(私)の事例を通して」
『介護福祉』(2014)Vol94p83-91
 
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【正門・8号館・南門側からお越しの場合、メインエントランス「甫水の森」の階段を上った正面に見える建物が5号館(円了記念館)。その横の地下へ降りるエレベータが6号館への入り口です。エレベータを降りたらそのまま通路をまっすぐお進みください。左手の警備員室を過ぎた5段ほどの階段を上がると6号館に入ったことになります。】

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次回以降の予定:
2020年1月11日(土)15時~ 東洋大学白山校舎 6207教室(6号館2階)

◆10月例会(第287回総合部会例会) 

台風19号接近に伴い、日程が変更されました

日時:10月 19日(土) 15時より
会場:東洋大学白山校舎 1203教室(1号館3階)

発表者:小阪 康治氏 (元 郡山女子大学教授)
司会:尾崎 恭一氏(東京薬科大学)
演題:「東日本大震災と死生学」

【要旨】
 東日本大震災は、科学技術だけでなく、あらゆる学問領域に深刻な問題を提起し続け
ている。哲学、倫理学、宗教学という思想系の分野も例外ではない。私は事故発生3月
11日直後の、4月1日に福島県郡山市に着任して、7年間勤務し、現在も月1~2回
福島県に通っている。この状況で、哲学、倫理学を学ぶ者として、この大災害について
考えざるを得ない立場に置かれている、と感じている。
 すでに多くの哲学、倫理学、宗教学研究者も、この件について研究を発表しておられ
る。しかし問題の大きさからして、依然として「群盲(これ差別用語なんですかね。調
べた範囲ではそういう指摘はありませんでしたが。)象を撫ず」の感を免れない。それ
でも、ひとつひとつの問題を、福島県に住んだという立場から、これからも検討してい
く心算である。
 大震災時に「位牌だけ」持って逃げた、という話は多くの人を戸惑わせた。この種類
の宗教的な問題については、無論、仏教学や宗教学からの研究も可能である。だが、
現在の日本人の宗教意識の希薄さからして、宗教色なしの研究も有用ではないか。
津波や原発事故という限界状況に直面した人たちの行動の研究は、生命倫理学、
死生学におけるケアとも通底する所がある。この視点から1時間ほどの発表を行う。
残りの3分の1の時間を、低レベル放射線の中に住んでいる人の立場から、
問題を提起してみたい。
 
【最近の業績】
『倫理問題に回答する』単著 ナカニシヤ出版 
『応用倫理学の考え方』単著 ナカニシヤ出版 
『環境自治体ハンドブック』編著 NPO法人環境管理システム研究会 西日本新聞社
 
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【正門からお越しの場合、メインエントランス「甫水の森」の階段を上ったところにある円了像の左手の建物が1号館です。建物に沿って50メートルほど歩くとエレベーターホールのある入り口があります。

8号館からお越しの場合、正面扉を入ってすぐ左手奥にエレベーターがあります。4階まで上がり、エレベーターを背にして左手にUターンして連絡通路を10mほど歩くと1号館の3階に入ったことになります(白山校舎の敷地はなだらかな丘になっているため)。

南門から入った場合、正面の建物の下を通って右手に見える建物が1号館です。50メートルほど建物に沿って歩くと、エレベーターホールのある入り口があります。

西門正面の建物は6号館です。そのまま正面扉を入って連絡通路をまっすぐ進み、エスカレーターで上がると地上に出ます。正面に見える建物が1号館です。右斜め前の方向にエレベーターホールのある入り口があります。】

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南口から「正門・西門」徒歩20分
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新年度から会場費の徴収は廃止されました。

次回以降の予定:
11月 開催予定はありません。
12月7日(土)15時~    東洋大学白山校舎 6207教室(6号館2階)
2020年1月11日(土)15時~ 東洋大学白山校舎 6207教室(6号館2階)

日程・会場は決まり次第掲載します

◆9月例会(第286回総合部会例会) 

日時:9月14日(土) 15:00~18:00
会場:東洋大学 白山校舎 1311教室(1号館3階)

発表者:海野 まゆこ氏(放送大学学部生 看護師)
司会:島田 道子氏(鶴見大学)
演題:「共感の成立-自助グループにおける「共感」成立の特徴について」

【要旨】
 福祉型社会となった日本では、高齢者の増加や災害被害者への心のケアなど、ケアの場が日常生活に広がっています。2000年に「児童虐待の防止等に関する法律」、2001年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」、2004年には「犯罪被害者等基本法」が制定されたことで、心と体を傷つけられケアが必要な人たちの存在が、社会的にも明らかになりました。厚生労働省は被害者支援の方法を検討し、周囲の人々による支援や被害者同士が語り合う「自助グループ」のような、当事者団体を積極的に取り入れたケアの方針を提示しました。政府が支援方針を明示したことによって、ケアが必要な人たちが急増し、人々の「ケア」への関心は高まってきました。今では、相手に心を寄せる介護的ケアや共感的ケアは、誰にとっても身近なことと言えるでしょう。けれどもその一方で、「自助グループ」については聞いたことがある程度という人も多いのではないでしょうか。
 本発表では、私が関わってきた「ハラスメント被害者の自助グループ」でおこなわれてきた語り合いで、「共感が成立するプロセス」について分析した結果を報告します。「ハラスメント」については、「関わりたくないことだが、どのように判断したらよいのか分からない」と思っている人が多いのではないでしょうか。今回は、ハラスメントでも特に分かりにくい「精神的なハラスメント」を中心に、先行研究と自助グループでの語り合いを分析しながら、共感問題を考えていきます。精神的なハラスメントについては、「ハラスメント」や「共感」などのように抽象的な表現しかできなかったことが、問題の理解を困難にする要因ともなっていました。自助グループの語り合いに「オープンダイアローグ」の理論を導入することで、参加者たち自身にも分かりにくかった精神的なハラスメントが、自分たちの体験として理解、認識でき、共感しあえるプロセスに至ることも明らかになりました。こうした点の事実と意義について考察することを通じて、精神的なハラスメントが、どのように起こり被害を与えてしまうのかを明らかにし、その予防対策についても考えたいと思います。
 
【最近の業績】
・口頭発表
2015年 日本保健医療社会学会大会   「現代社会がハラスメントに及ぼす影響」
2017年 関東医学哲学・倫理学会 総合部会例会 
     「多死時代を迎える病院の役割 ― 一般病床における看護を中心として」
2017年 日本保健医療社会学会大会 
    「看護師業務からみる一般病床に起きる問題 - 看取り業務の実体を考察する」
2017年 日本医学哲学・倫理学会大会 
     看とりケアにより起こる公認されない悲嘆感情―看護の職場環境の一考察」
・論文
「多死時代を迎える病院の役割 ― 一般病床における看護を中心として」
『医学哲学と倫理 第13号』関東医学哲学・倫理学会 1-6ページ 2018年9月。
 
【アクセス】
東京都文京区白山5-28-20
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【正門からお越しの場合、メインエントランス「甫水の森」の階段を上って円了像の左手に見える建物が1号館です。建物に沿って50メートルほど歩くとエレベーターホールのある入り口があります。

8号館からお越しの場合、正面扉を入ってすぐ左手奥にエレベーターがあります。4階まで上がり、エレベーターを背にして左手にUターンして連絡通路を10mほど歩くと1号館の3階に入ったことになります(白山校舎の敷地はなだらかな丘になっているため)。

南門から入った場合、正面の建物の下を通って右手に見える建物が1号館です。50メートルほど建物に沿って歩くと、エレベーターホールのある入り口があります。

西門正面の建物は6号館です。そのまま正面扉を入って連絡通路をまっすぐ進み、エスカレーターで上がると地上に出ます。正面に見える建物が1号館です。右斜め前の方向にエレベーターホールのある入り口があります。】

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次回:
10月以降の日程・会場は決まり次第掲載します。

 

◆7月例会(第285回総合部会例会) 

日時:7月6日(土)15:00~18:00
会場:東洋大学 白山校舎 6316教室(6号館3階)

発表者:中澤 武氏(明海大学)
司会:伊野 連氏(早稲田大学)
演題:「人格の自律を尊重するとは、どういう意味か?」

【要旨】
 自律を尊重するとは、そもそも何をどうすることなのだろう。たとえばインフォームド・コンセントの手続きを取りさえすれば、それで患者や被験者の自律を尊重したことになるのだろうか。手続きを単なる形式に終わらせることなく、そこに実質を確保するためには、手続き本来の人格尊重という目的に注目して、再度自律の意味を問う必要がある。本発表は、人間を理性のある感性的存在と見なす哲学的人間観に立つ。人間は感性的存在としては傷つきやすく依存的である。だが同時に、理性的存在者としての人間には常にどのような人格となるかを自分で決定する自己規定の可能性が開かれている。こうした人間観に立脚するとき、自律とはまず「~からの自律」であり、その意味で関係概念である。次に自律は選択的であり、人格は一面では自律的でも他の面では自律的でないことがある。また、自律は度を有するのであって、人格は関係性を条件としてそれぞれの程度で自律的なのである。
 以上のように、人格の自律は、人格が他の人格に対して開かれ他の人格と結びつく関係性の構造に基づく概念である。このような見方を支えるものとしては、たとえばEUの「バルセロナ宣言」に代表される新たな倫理原則の枠組み構築やアクセル・ホネットの相互承認論などが考えられる。自律概念をこのような理論的条件のもとで考えることには積極的意義がある。なぜなら、そこでは自律が人格相互の承認関係の中で育まれ、具体的な倫理的関係性として現に成立する条件が示されるからである。
 自律を尊重するとは、人格の自律を育むことである。このとき尊重の意味は教育的である。ただし、教育といっても無知な者に外から知識を授けることではない。むしろ、それは教養形成の一環であり、人格を解放し自由にすることなのである。
 
【最近の業績】
-共著に『尊厳概念のダイナミズム』(加藤泰史 編、法政大学出版局2017年)など.
‐ 論文に「概念史研究:その意義と限界」(日本カント協会編『日本カント研究 カントと形而上学』理想社,第13巻2012年)など.
‐ 共訳書にマンフレッド・キューン著『カント伝』(春風社2017年)など.
‐ 監訳書にディーター・ビルンバッハー著『生命倫理学:自然と利害関心の間』(法政大学出版局2018年)など.

【アクセス】

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西門から入った建物が6号館です。

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南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

新年度から会場費の徴収は廃止されました。

次回:
8月の例会はありません。9月以降の日程・会場は決まり次第掲載します。

 

◆6月例会(第284回総合部会例会) 

日時:6月1日(土)15:00~18:00
会場:東洋大学 白山校舎 6316教室(6号館3階)
(前回と会場が異なります)

発表者:米田 祐介氏(東洋大学)
司会:小館 貴幸氏(立正大学)
演題:フクシマとサガミハラが問いかけるもの

【要旨】
 本報告では、フクシマ(2011年)とサガミハラ(2016年)の〈はざま〉で開始された「新型出生前診断」(2013年)をめぐる生‐権力/構造的暴力の磁場に光をあてる。近年高らかに掲げられている「共生」の理念とは裏腹に、二つの事件の負荷がはからずも炙り出したのは私たちの社会空間にある「内なる優生思想」であり、「新型」はこれを助長するものである。
 フクシマでは、放射能によって障害児が産まれることを危惧し人しれず中絶を選んだ、
いや選ばされた女/母たちがいた。サガミハラでもまた、障害者は「生きるに値しない」
というUの主張に賛同・同調する声があったのも周知の事実であり、この二つの事件の〈
重なり〉として「内なる優生思想」を指定しうる。いつの時代も力=権力(power)の働
きかけは重層・複合的だ。近代資本制システムが要請する効率と光の速度に私たちの自然
的身体は取り込まれ、いまや生の〈はじまり〉が、すなわち偶然(=自然)の舞台であっ
たはずの〈出産〉が、医学的分類による「選択」(=必然)の場となりつつある。もはや
、力(power)に抗して「選ばないことを選ぶ」ことは一層の困難を強いられ、「障害」
という一般的名辞の内圧/暴力によっていたるところに地図にない「線」が引かれること
になる時代を迎えるだろう。〈いのち〉の係留点としての女性身体は深く、深く、傷つけ
られようとしている。
 それでは如何にして、線引きの暴力に対し抗いは可能だろうか。そもそも、“誰”が線
を引いているのか。二つの事件の〈重なり〉が示すのは力=権力(power)と共犯関係にある〈わたし〉である。では、なぜ〈わたし〉は線を引かなければならないのか。もっといえば、線引きの“構え”による暴力(=広義の優生思想)を発動しなければ、なぜ〈わた
し〉は〈わたし〉を維持できないのであろうか。そこには、「障害」はもとより、非正規
的な生や労働、男女のジェンダー的な問題等、ひいては“生き難さ”(=自尊感情)をめ
ぐる問題が重層的に深く絡まりあっているはずである。本報告は、旧来人間存在の基礎単
位とされてきた――あるいはケアの単位――近代的な「個人individual」という単位の前提
に懐疑をむけることを通じてシステム(=権力)に取り込まれつつもそれを“内破”する
〈わたし〉の“構え”の再構成を模索せんとするものである。

【最近の業績】
・「〈ここ〉からはじまる――フクシマとサガミハラが『身体』に投げかけるもの」総合
人間学会編『総合人間学研究』VOL.12(2018年、所収)
・「〈核災〉と〈いのち〉の選別」金井淑子・竹内聖一編『ケアの始まる場所――哲学・
倫理学・社会学・教育学からの11章』(ナカニシヤ出版、2015年、所収)
・「フロムと歴史知――『愛するということ』におけるケア概念の構成を中心に」杉山精
一編『歴史知と近代の光景』(社会評論社、2014年、所収)

【アクセス】

東京都文京区白山5-28-20
http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

西門から入った建物が6号館です。

【正門・8号館・南門側からお越しの場合、メインエントランス「甫水の森」の階段を上った正面に見える建物が5号館(円了記念館)。その横の地下へ降りるエレベータが6号館への入り口です。エレベータを降りたらそのまま通路をまっすぐお進みください。左手の警備員室を過ぎた5段ほどの階段を上がると6号館に入ったことになります。】

詳しくは東洋大学HP交通アクセスの地図をご覧ください。http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

新年度から会場費の徴収は廃止されました。

次回:
7月6日(土)午後3時より 東洋大学 白山校舎 6316教室(6号館3階)

◆5月例会(第283回総合部会例会) 

日時:5月11日(土)15:30~18:00
会場:東洋大学 白山校舎 6212教室(6号館2階)
(通例より30分遅れとなります)

発表者:大林雅之氏(東洋英和女学院大学)
司会:黒須三惠氏(東京医科大学)
演題:日本における〈バイオエシックスの歴史〉への視点と課題

【要旨】
 本発表では、日本において〈バイオエシックスの歴史〉がいかに描けるか、という問題意識のもとに、主に1960年代以降の日本の医療をめぐる出来事を概観し、その歴史を見据える視点と課題を明らかにしたい。
 発表者は、本年3月に定年退職を迎え、その最終講義において、自らの研究活動を主にバイオエシックスとの関わりから回顧し、1970年代以降の日本における「バイオエシックス」の導入から始まる議論の変遷についての私見を述べた。そこにおいては「生命倫理(学)」と訳されて議論されてきたものの特徴が、欧米の議論のあり方とは著しく異なるのではないかと指摘した。すなわち、1970年代のバイオエシックスの導入における日本の医療のあり方への問題意識の希薄さ、1980年代における先端医療技術の受容における患者・市民レベルの視点の欠如、1990年代の「生命倫理」問題をめぐる議論における「専門職の倫理」の限界と法制化、ガイドライン化などである。このような日本における「生命倫理」をめぐる議論の展開を見ていくと、 日本における〈バイオエシックスの歴史〉が描かれることの可能性は極めて低いように思われた。
 その最終講義では十分に言及できなかった2000年代に入ってからの日本の医療における出来事も取り上げて、本発表では、日本における〈バイオエシックスの歴史〉を示すための視点を提示し、それを踏まえて、1960年代以降の医療をバイオエシックスの視点、特に「運動としてのバイオエシックス」の視点から考察し、日本におけるバイオエシックスの新たな課題を指摘してみたい。

【最近の業績】
大林雅之「小さな死生学序説−「小さな死」から「大きな死」へ−」、『東洋英和大学院紀要』、第15号、13-22頁、2019年。
大林雅之『小さな死生学入門−小さな死・性・ユマニチュード−』(東信堂、2018年)
大林雅之『生命の問い−生命倫理学と死生学の間で−』(東信堂、2017年)

【アクセス】

東京都文京区白山5-28-20
http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

西門から入った建物が6号館です。

【正門・8号館・南門側からお越しの場合、メインエントランス「甫水の森」の階段を上った正面に見える建物が5号館(円了記念館)。その横の地下へ降りるエレベータが6号館への入り口です。エレベータを降りたらそのまま通路をまっすぐお進みください。左手の警備員室を過ぎた5段ほどの階段を上がると6号館に入ったことになります。】

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都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

新年度から会場費の徴収は廃止されました。

次回:
6月1日(土)午後3時より 東洋大学 白山校舎 6316教室(6号館3階)
7月6日(土)午後3時より 東洋大学 白山校舎 6316教室(6号館3階)

◆年次総会および4月例会(第282回総合部会例会)

4月例会に先立ち年次総会が例会会場にて開催されます。万障お繰り合わせのうえご参集お願いします。

年次総会
日時:4月14日(日)15:30~16:30
会場:東洋大学白山校舎6204教室(6号館2階)

例会
日時:4月14日(土)16:45~18:00
会場:東洋大学 白山校舎 6204教室(6号館2階)

発表者:小館 貴幸氏(立正大学)
演題:年間テーマ「ケアの現在・過去・未来」
司会:調整中

要旨:今回の報告では、2019年度関東医学哲学・倫理学会(以下、学会と略記)の年間テーマを提示し、その趣旨説明を行うこととする。
 2018年度の年間テーマは「ヴァルネラブルな存在(弱い存在)としての人間」であった。これは、昨年11月に「地域医療」をテーマとして北海道大学で行われた第37回日本医学哲学・倫理学会の全国大会との連携を図り、高度に情報化され医療化された現代社会の中で、医療に翻弄される人々や取り残される人々、病やそれにまつわる様々なスティグマによって容易に傷つきうる人々を直視することによって現実を受け止め、最期まで病気や障がいや老化による衰えを抱えつつも自分らしく生きるための方途を探求するという意図に基づいたものである。そして同時に、私たちは生老病死を宿命づけられた有限な存在として他者のケアを必要としており、人間存在そのものがヴァルネラビリティに根ざしているということを浮彫にするというものでもあった。2019年度においても、昨年の年間テーマとの継続性を考慮し、充分に扱いきれなかった諸問題を再び取り上げられるような機会を一部設けていきたい。
 ところで、今年度から新元号となることは周知のことであるが、『平成30年版高齢社会白書』によれば、日本の高齢化率は27.7%であり、平均寿命は男性84.95歳/女性91.35歳、健康寿命は男性72.14歳/女性74.79歳となっている。これは自立した高齢者の姿を反映するものであるが、それでもやはり最後の10数年は何らかのケアを必要とすることを示している。高齢者のいる世帯は全世帯の約半数を占め、「夫婦のみ世帯」が約3割で最も多く、「単独世帯」と合わせると全体の過半数を占めている。
 このような現状下で、深刻化する人手不足を補うための新たな外国人材を受け入れるべく、入管法の改正によって今月から介護の分野でも新たな在留資格として「特定技能1号」が創設された。また、従来から注目を集めている2025年問題(団塊の世代が後期高齢者を迎えること)ももうすぐ手の届くところまで来ている。2025年に700万人(約5人に1人)と想定されている認知症者へのケアについても、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)にて示された7つの柱の中で、介護関連については、認知症の容態に応じた適切な医療・介護等の提供、認知症の人の介護者への支援、介護モデル等の研究開発が示されている。
 看護の分野では、日本看護協会による「2025年に向けた看護の挑戦 看護の将来ビジョン いのち・暮らし・尊厳をまもり支える看護」の策定によって、従来の病院完結型の体制から、医療・ケアと生活が一体化した地域完結型への体制への移行を掲げている。また、今後ますます増大するであろう在宅医療に備えて、「訪問看護アクションプラン2025」も策定され、訪問看護の規模と機能の拡大や地域包括ケアへの対応などが既に打ち出されている。
 以上を踏まえ、今年度の学会での年間テーマとして掲げたいのは、「ケアの現在、過去、未来」である。ケアは常に「ケアする者」と「ケアされる者」との顔の見える直接的交わりにおいて成立するゆえに、まずは様々な場面での「ケアの現在」を知ることを第一に挙げた。次いで、ケアのあり方を方向づけるケア概念の考察やケアの起源などの探求などを考慮し、「ケアの過去」を挙げた。そして、ケアは必然的に次のケアへと持続的に繋がっていくということに加え、今後の私たちの有るべき姿や来るべき2025年問題に向けての方策を検討する意味を込めて「ケアの未来」を挙げた。
 本発表では、ケアの具体的な側面として介護について取り上げる。まず最初に「介護」という言葉の誕生とその背景を考察する。次いで介護を成立させるケアの概念について検討してみたい。その際、ケア概念に有意義となりうる「汝の汝としての我」という森有正が提唱した概念を取り上げる予定である。

会場へのアクセス:東京都文京区白山5-28-20

http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

西門から入った建物は6号館です。そのまままっすぐ進んだエスカレータ左横の出入り口が5号館地下入り口になっています。階段またはエレベーターで1階に上がってください。
わかりにくい場合は、そのまま正面のエスカレータで地上へ上がっていただき、左手にある建物が5号館(円了記念館)です。

【正門・8号館・南門側からお越しの場合、メインエントランス「甫水の森」の階段を上った正面に見える5号館(円了記念館)の1階です。】

詳しくは東洋大学HP交通アクセスの地図をご覧ください。http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

都営地下鉄三田線「千石」駅
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1番出口から「正門・南門」徒歩5分

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都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

会費:300円

今後の日程(予定)
2019年5月11日(土)会場については調整中

◆3月例会(第281回総合部会例会) 

日時:3月2日(土)15:00~18:00
会場:東洋大学 白山校舎 5208教室(5号館2階)
(会場は変更の可能性があります。変更の際は速やかに掲示します。)

発表者:棚橋 實氏(元芝浦工業大教授)
演題:「医学哲学倫理学会を考える」
司会:中澤 武氏(明海大学)

要旨:

「すでに280回を数える月例会の区切りとして、これまでの学会の在り方とこれからの学会の方針を考えたい
  ① 学会の趣旨と現在の位置
  ② 生命倫理の分野の変動;急速な科学技術の進展
  ③ 置き去りの高齢社会;死はどこへ行ったか
  ④ 生命の更生要素の急激な変革;「胃瘻」の問題
  ⑤ これからの分野 」

東京都文京区白山5-28-20http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

西門から入った建物は6号館です。そのまままっすぐ進んだエスカレータ左横の出入り口が5号館地下入り口になっています。階段またはエレベーターで1階に上がってください。
わかりにくい場合は、そのまま正面のエスカレータで地上へ上がっていただき、左手にある建物が5号館(円了記念館)です。

【正門・8号館・南門側からお越しの場合、メインエントランス「甫水の森」の階段を上った正面に見える5号館(円了記念館)の1階です。】

詳しくは東洋大学HP交通アクセスの地図をご覧ください。http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
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A1出口から「正門・西門」徒歩7分

東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

会費:300円

今後の日程(予定)

2019年4月6日(土)あるいは7日(日)会場調整中

◆1月例会(第280回総合部会例会) 

日時:1月12日(土)15:00~18:00
会場:東洋大学 白山校舎 5208教室(5号館2階)
(会場は変更の可能性があります。変更の際は速やかに掲示します。)

発表者:佐藤 清利氏(日本ALS協会 東京都支部長)
演題:「お父さん頑張って!!」
司会:小館 貴幸氏(立正大学)

要旨:

難病であるALS(筋委縮性側索硬化症)を発症して23年が経ち、人工呼吸器を装着して16年目を迎えました。今回の発表では、「ALSと向き合いながらの療養生活を支えたもの」についてお話ししようと思います。そして、生活者として生きる上で重要な要素となる「ALS患者としての社会活動」や、人間として不可欠である「コミュニケーションの大切さ」についてお話させて頂きます。加えて、オーストラリアで開催されたALS国際会議に参加した時の体験等も合わせてお話致します。この発表を通じて、皆さんにALSという難病やALS患者が抱える様々な思い等を広く知ってもらえれば幸いです。
なお、佐藤さんのお話に先だって、司会者からALS(筋萎縮性側索硬化症)という病いについての説明や現状についての解説を行います。

【アクセス】
東京都文京区白山5-28-20http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

西門から入った建物は6号館です。そのまままっすぐ進んだエスカレータ左横の出入り口が5号館地下入り口になっています。階段またはエレベーターで1階に上がってください。
わかりにくい場合は、そのまま正面のエスカレータで地上へ上がっていただき、左手にある建物が5号館(円了記念館)です。

【正門・8号館・南門側からお越しの場合、メインエントランス「甫水の森」の階段を上った正面に見える5号館(円了記念館)の1階です。】

詳しくは東洋大学HP交通アクセスの地図をご覧ください。http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

会費:300円

今後の日程(予定)

2月例会はありません
2019年 3月 2日(土)15時より 会場調整中

◆12月例会(第279回総合部会例会)

日時:12月1日(土)15:00~18:00
会場:東洋大学 白山校舎 5208教室(5号館2階)
(前回までの会場と異なりますのでご注意ください)

発表者:田村 京子氏(帝京平成大学)
演題:「小児腎移植に関する倫理問題」
司会:羽金 和彦氏(栃木医療センター)

要旨:

本発表は、小児腎移植の現状を、生体臓器移植の倫理原則の一つ「レシピエントとドナーの利益・不利益の比較衡量」の観点から考察しようとするものである。
小児腎移植は、成人の末期腎不全患者の場合とは異なり、小児(20歳未満)の末期腎不全患者に積極的に勧められるべき治療法とされている。その最大の理由は、小児の慢性腎不全患者に特有な問題である成長障害を腎移植により防ぐことができる点にある。
日本移植学会・日本臨床腎移植学会登録委員会により登録・集計されたデータによれば、1964年~2014年末までに小児をレシピエントとする腎移植件数は2,876である。レシピエント年齢は、0~4歳が241、5~9歳が535,10~14歳が882、15~19歳が1,218例である。ドナー別にみると、生体腎移植2,582(89.8%)、献腎移植294(10.2%)であり、献腎移植のうち心停止後腎移植は265、脳死下腎移植は29となっている(脳死下献腎移植は2006年から実施)。
また、最近の傾向として挙げられるのは、腎移植の適応が拡大していること(ABO血液型不適合腎移植、後部尿道弁などの下部尿路障害を伴った症例に対する腎移植、知的障害児に対する腎移植、原発性過蓚酸尿症に対する肝・腎複合移植など)と、先行的腎移植が増加していることの2点である。先行的腎移植とは、透析を経ずに、腎移植を受けることである。透析が長くなると発症する合併症を避けることができるところにその利点があるとされる。
以上を言い換えるなら、小児腎移植では、レシピエントが受ける利益を最大限にしようとする一方で、生体ドナーに対して臓器摘出という侵襲行為を早める傾向にあると言えるだろう。すなわち、本来例外的補完的なものであるべき生体臓器提供をさらに拡大しようとするものであろう。一体小児腎移植においてレシピエントにとっての利益・不利益、ドナーにとっての利益・不利益はどう解釈されるべきなのだろうか。具体的な事例を参照しながら、小児腎移植における倫理原則を再考してみたいと思う。

最近の業績:

論文:加藤英一・田村京子「The Analysis of mental attitudes of Japanese medical safety managers」『北里大学一般教育紀要』第16号p.137-150、2011年

研究発表:田村京子
「生体臓器移植の倫理」関東医学哲学・倫理学会 2012年

報告:田村京子
「医療におけるエラーと専門職の責務」『医療と倫理』第9号、p.70-80、2013年

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西門から入った建物は6号館です。そのまままっすぐ進んだエスカレータ左横の出入り口が5号館地下入り口になっています。階段またはエレベーターで1階に上がってください。
わかりにくい場合は、そのまま正面のエスカレータで地上へ上がっていただき、左手にある建物が5号館(円了記念館)です。

【正門・8号館・南門側からお越しの場合、メインエントランス「甫水の森」の階段を上った正面に見える5号館(円了記念館)の1階です。】

詳しくは東洋大学HP交通アクセスの地図をご覧ください。http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

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A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

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A1出口から「正門・西門」徒歩7分

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1番出口から「正門・南門」徒歩5分

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会費:300円

今後の日程(予定)

2019年 1月12日(土)15時より 5208教室(5号館2階)
2月例会はありません
2019年 3月 2日(土)15時より 会場調整中

◆11月例会(第278回総合部会例会) 

日時:11月10日(土)15:00~18:00
会場:東洋大学 白山校舎 5101教室(5号館1階)
(前回までの会場と異なりますのでご注意ください)

発表者:船木 祝氏(札幌医科大学)
演題:「個人と共同体――独居高齢者と私たち」
司会:大西奈保子氏(帝京科学大学)

要旨:

総務省「自治体戦略2040構想研究会」中間報告によれば、2040年の高齢化率は現状の27.7%から、35.5%に増加する見通しである。一人暮らし高齢者に関しては、総務省統計局国勢調査(平成22年)によると、65歳以上人口のうち16.4%となっていたが、国立社会保障・人口問題研究所の推計(平成30年)によれば、2040年の独居率は、65歳以上の男性で2015年の14.0%から20.8%へ、65歳以上の女性で2015年の21.8%から24.5%へ上昇する見通しである。独居高齢者のさらなる増加が予測される中、こうした高齢者を地域共同体の成員としてどのように支えていけばいいかを検討することは喫緊の課題である。本発表は、研究グループが行った、独居高齢者のインタビュー調査[研究参加者は、札幌市、留萌市、釧路市及び黒松内町在住の65歳以上90歳未満の独居高齢者。調査期間は、平成28年9月〜平成29年6月]を踏まえ、独居高齢者と共同体のあり方を哲学・倫理学的に考察する。

最近の業績:

船木祝:共同体形成の困難な社会―高齢者との関連において―,『北海道生命倫理研究』Vol.6, 2018年, 1-12頁
船木祝:孤独圏と共同体,『人体科学』Vol.26,No.1, 2017年,13-23頁
船木祝、宮嶋俊一、山本武志、道信良子、粟屋剛:独居高齢者とともに生きる私たちの社会,『地域ケアリング』第19巻第9号,2017年, 52-53頁
船木祝:独居高齢者を支える社会について哲学・倫理学的に考える, 『地域ケアリング』第18巻第4号,2016年, 60-61頁
船木祝:弱い立場の人々を支える社会の倫理についての一考察―「強さの倫理」と「弱さの倫理」,『人体科学』Vol.25,No.1, 2016年,13-22頁

【アクセス】
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西門から入った建物は6号館です。そのまままっすぐ進んだエスカレータ左横の出入り口が5号館地下入り口になっています。階段またはエレベーターで1階に上がってください。
わかりにくい場合は、そのまま正面のエスカレータで地上へ上がっていただき、左手にある建物が5号館(円了記念館)です。

【正門・8号館・南門側からお越しの場合、メインエントランス「甫水の森」の階段を上った正面に見える5号館(円了記念館)の1階です。】

詳しくは東洋大学HP交通アクセスの地図をご覧ください。http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
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1番出口から「正門・南門」徒歩15分

JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

会費:300円

今後の日程(予定)

2018年12月 1日(土)会場調整中
2019年 1月12日(土)会場調整中
2月例会はありません
2019年 3月 2日(土)会場調整中

◆9月例会(第277回総合部会例会) 

9月例会開催日が確定しました。皆様にはご迷惑をおかけしました。ご連絡させていただきます。万障繰り合わせの上ご参加ください。

日時:9月 22日(土) 13:00~15:00
会場:東洋大学 白山校舎 5208教室(5号館2階)
(通常の例会日および会場と異なりますのでご注意ください)

発表者:林 康弘氏(武蔵野大学)
演題:「人工知能(AI)社会の情報倫理」
司会:岩倉 孝明氏(川崎市立看護短期大学)

要旨:
ビックデータ・IoTとそれらを分析・活用する人工知能(AI)技術が社会に浸透する中において、センシングにより取得・蓄積される個人に関わるデータ・情報の取り扱いがさまざまな産業・学術分野で議論されている。

グローバル化の進展に伴う国家を超える規模の企業の登場により、これらの情報が一企業に集積・管理されており、知的財産権、意思決定、個人による自分自身のデータへのアクセス権、位置情報、プライバシーの侵害、情報漏洩、死後の個人データの取り扱いなど、論点は多岐に渡る。

人工知能(AI)社会の情報倫理として、(1)データがどのように取得・分析・活用されるのかというAI技術面、(2)世界における情報戦争(ハッキング、フェイクニュース)の状況、GDPRなどの個人情報保護に関する法的整備の状況、(3)レガシー(法、教育、常識)が与える人間の創造性の破壊と、新しい時代を切り開くイノベーション創出、3つの視点を取り上げ、人類が歩むべき方向性について議論する。

最近の業績:
Yuka TOYOSHIMA, Yasuhiro HAYASHI, Yasushi KIYOKI “A Method of Composition-Based Image Retrieval for Environment Visualization by Images and Spatio-Temporal Information”, International Electronics Symposium on Knowledge Creation and Intelligent Computing (IES-KCIC) Oct 2018 (Accepted).
Haruki Honda, Shiori Sasaki, Yasuhiro Hayashi, Yasushi Kiyoki “A Regional-Diversity-Corresponding Real Estate Information Search & Evaluation System”, International Electronics Symposium on Knowledge Creation and Intelligent Computing (IES-KCIC) Oct 2018 (Accepted).

Matsumoto Kanako, Shiori Sasaki, Yasuhiro Hayashi, Yasushi Kiyoki “A Bouquet Creation System for Sending “Kansei” Messages with Language of Flowers”, International Electronics Symposium on Knowledge Creation and Intelligent Computing (IES-KCIC) Oct 2018 (Accepted).

林 康弘 “大学情報リテラシーのためのルーブリック評価表とその支援ツールの開発”, 教育システム情報学会 第43回全国大会予稿集, 9月 2018

Yasuhiro HAYASHI, Daisuke OYOKAWA, Yasushi KIYOKI, Tetsuya MITA “An Information Providing Method To Express Train Service Situation By Combining Multiple Sign-logo Images”, Proceedings of the 16th European-Japanese Conference on Information Modelling and Knowledge Bases (EJC 2018), June, 2018.

【アクセス】
東京都文京区白山5-28-20http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

西門から入った建物は6号館です。そのまままっすぐ進んだエスカレータ左横の出入り口が5号館地下2階の入り口です。
わかりにくい場合は、そのままエスカレータで地上へ上がっていただき、左手にある建物が5号館(円了記念館)です。

【正門・8号館・南門側からお越しの場合、メインエントランス「甫水の森」の階段を上った正面に見える5号館(円了記念館)の2階です。】

詳しくは東洋大学HP交通アクセスの地図をご覧ください。http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

会費:300円

今後の日程(予定)
2018年

10月例会はありません
11月以降 会場調整中

◆7月例会(第276回総合部会例会) 

日時:7月 7日(土) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6218教室(6号館2階)

6月までの会場と異なっています。ご注意ください。

万障繰り合わせの上ご参加ください。

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

総合部会発表:中澤 武氏(明海大学)
演題: 「関係の中の自律」
司会:黒須 三恵氏(東京医科大学)

【要旨】

自律を育むことは、できるだろうか。もしも、自律を自己決定に等しいものと見なし、自分だけの考慮による自己責任の行為と考えるならば、そのような問いはそもそも意味をなさない。なぜなら、自己以外のあらゆる要素を排して自己完結した場に、育み育まれる他者関係の成立する余地はないからである。これに対して、自律は本来、他者に開かれ他者と結びつく関係性の構造に基づくと見る考え方がある。現代では、たとえばアクセル・ホネットの相互承認論などがそうした理論の代表であろう。ケアの倫理をこのような相互承認の理論的枠組みに基づいて考えることには意義がある。そこでは行為のあり方も倫理的価値も、ケアする者とケアされる者との間の相互承認関係の中で育まれ、具体的な倫理的関係性として現成するのだからである。
さて、倫理的概念の脱脈略的抽象化と普遍主義に基づくいわゆる「正義の倫理」に対して、ケアの倫理は、個的主体が形成される根源的な場の構造を問い直し、そこから倫理原則に新たな具体的意味を与える試みとなる。EUの「バルセロナ宣言」(1998年)を経て、バルネラビリティ(vulnerability)に配慮した新たな倫理原則の枠組み構築が今や国際的なレベルで求められている背景には、そのような具体的倫理への志向があると考えられる。「バルセロナ宣言」の議論では、自律・尊厳・統合不可侵(integrity)およびバルネラビリティという4つの概念を相互に結び合わせた新たな倫理的枠組みが検討されている。自律を育む倫理的枠組みを構築するためには、特に自己の身体をめぐる内外の状況とバルネラビリティとの関連を考慮する必要がある。本発表は、人間を理性のある感性的存在と見なす哲学的人間観に立ち、ケアの倫理およびバルネラビリティとの関連で、自律の具体的あり方を考える。

最近の業績

共著『尊厳概念のダイナミズム』(加藤泰史 編、法政大学出版局2017年)など.
論文「概念史研究:その意義と限界」(日本カント協会編『日本カント研究 カントと形而上学』理想社,第13巻2012年)など.
共訳書 マンフレッド・キューン著『カント伝』(春風社2017年)など.
監訳書 ディーター・ビルンバッハー著『生命倫理学:自然と利害関心の間』(法政大学出版局2018年)など.

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程

8月の例会はありません。

9月以降 日程を含めて調整中

◆6月例会(第275回総合部会例会) 6月例会お知らせ案内チラシ

日時:6月16日(土) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6217教室(6号館2階)

万障繰り合わせの上ご参加ください。

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

総合部会発表:蔵田 伸雄氏(北海道大学)
演題: 「『人生の意味』というカテゴリーと生命倫理」
司会:江黒 忠彦氏(元帝京平成大学教授)

【要旨】

「人生の意味」というカテゴリーは理論的な生命倫理・医療倫理の中では、自律・患者の利益・QOL・人間の尊厳といった概念ほどには重視されてこなかった。しかし近年、哲学的倫理学の分野で「人生の意味」は洗練された哲学的・形而上学的議論の対象として扱われるようになってきた(このような傾向の哲学は「分析実存主義」と呼ばれることもある)。「人生の意味」というカテゴリーは「幸福」(happiness, welfare, well-being)や「正しさrightness」また「利益」、あるいは「道徳性」moralityとは異なるものであるとされ、生命倫理の領域でも使用可能だと考えられている。実際「意味のあるmeaningful生」というカテゴリーは、自殺幇助・安楽死・尊厳死、治療停止・不開始、障害新生児の治療停止、生殖医療・出産、臓器提供、あるいはトランスヒューマニズム・エンハンスメント、さらに末期がんの告知、宗教的な理由にもとづく治療拒否等に関する議論でも用いることができるであろう。
しかし「意味のある生」という概念は濫用される可能性がある。「この患者は今後「意味のある」生を送ることができない」と医療者が判断することによって、患者の安易な治療停止や不開始(さらには医師による自殺幇助や「尊厳死」)が生じかねない。また患者自身が、自分の生を「生きるに値しない」と考える場合もある。「人生の意味」を医療倫理の現場で用いる場合は〈本来主観的なものであり、患者本人の視点から考えるべき「人生の意味」が、他者によって判断され、安易な治療停止に結びつく危険性〉と、その一方で〈患者本人が自分の人生に生きる価値はないと安易に判断する危険性〉に陥らないよう注意する必要がある。
このような危険性を回避するためには「人生の意味」を患者及びその家族等と医療者との間での対話を通じて構成されるもの、そして患者自身のナラティヴを通じて構成されるものとして理解する必要がある。本発表では上記のような危険性に留意しつつ、「人生の意味」というカテゴリーの生命倫理・医療倫理問題の分析のための有効性について検討したい。
(本発表は科学研究費補助金(基盤研究(B)(一般))16H0333706による研究成果の一部である)

【最近の業績】

“Guardians of Responsibility:Human Embryo Research and the Question of Human Dignity”in Alexandra Perry and C.D.Herrera(eds),New Perspectives in Japanese Bioethics, Cambridge Scholars Publishing,2015, pp.43-51

「同じ山に異なる側から登る―パーフィットの定言命法理解をめぐって」
『日本カント研究』No.18(日本カント協会編)知泉書館 2017年 73~88頁

「カント倫理学と生命倫理 「人間の尊厳」という価値」
牧野英二編 『新・カント読本』  法政大学出版局 2018年 267~278頁

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程

7月 7日(土)15時~18時 会場調整中

◆5月例会(第274回総合部会例会) 5月月例会案内チラシ

日時:5月12日(土) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6217教室(6号館2階)

万障繰り合わせの上ご参加ください。

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

総合部会発表:山本 剛史氏(慶應義塾大学)
演題: 「カネミ油症と生命・環境倫理学」
司会:小阪 康治氏(元郡山女子大学教授)

【要旨】

カネミ油症とは、1968年頃から株式会社カネミ倉庫が製造したカネミライスオイルによる一連の中毒症状を指す。米ぬか油を製造する際の脱臭工程で使用されたPCBが加熱されたためにダイオキシンに変性し、しかもそれが米ぬか油に漏れて混入したことから発生した。過去の裁判では、カネカのPCB製造物責任や国の責任が認められず、カネミ倉庫の責任のみが認定された。しかしカネミ倉庫は社業が小さく余裕がないことを理由に賠償金の支払いに未だに応じていない。さらに、米ぬか油が自然環境を汚染せずに直接体内に入ったことから公害として認められず、2012年に「カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律」が成立したものの依然「認定患者」に対する公的救済が不充分であったり、油症患者から2世、3世の患者が生まれているにもかかわらず、直接食していない場合は「認定患者」に該当しないとされ公的な救済が受けられないなど、現在進行形の深刻な問題である。胎内を胎児の環境と考えた場合、特に2世、3世の問題はシーア・コルボーンらが『奪われし未来』で警告した内分泌かく乱物質の問題と関連している可能性がある。」(吉永明弘、福永真弓編『未来の環境倫理学』勁草書房、2018年、174-175頁。)
筆者はこのように当該書籍においてカネミ油症を「キーワード解説」に取り上げた。とはいえ、実のところカネミ油症にまつわる少なくとも50年に及ぶ経緯や問題は複雑さと深刻さを極め、このような短い文章では到底語りつくせないものがある。加えて、カネミ油症それ自体がすでに過去の問題として一般にはほぼ忘れられているという点において、患者及び関係者は非常に追い詰められた状況にある。本邦の生命倫理学はおおよそ1990年代から学問的体裁を整え、医学医療の向上に少なからず貢献してきたのであるが、一方でこうした社会悪については、澤田愛子先生をはじめとするごく一部の研究者を除き、沈黙を守ってきた。筆者もまた沈黙する一人であった。
生命倫理学においてカネミ油症を扱う場合、まずは基本的事項に関する啓蒙が必要と考えられる。そこで、筆者は以前「カネミ油症支援センター」で被害者の支援に取り組んでいる方から教えて頂いたことを交えて、日頃大学の講義で話しているのと大体同じスタイルでカネミ油症についてお話ししようと思う。これをきっかけに、生命倫理学の教科書や研究書にカネミ油症に関して必ず記載されるようになり、各先生方もまたご自分の講義等で取り上げることを通して、カネミ油症について一人でも多くの人間が関心を持ち、知識が普及するようになること、そして閉塞した事態を打開することにつながることを願っている。

【最近の業績】

<共著書>
海老原晴香、長町裕司、森裕子編『生命の倫理と宗教的霊性』ぷねうま舎、2018年(第2部序文、第6章「ハンス・ヨナスの倫理学における『乳飲み子』の意義」を担当)。
吉永明弘、福永真弓編『未来の環境倫理学』勁草書房、2018年(第1部イントロダクション、第2部イントロダクション、第6章「ハンス・ヨナスの自然哲学と未来倫理」を担当)。

<論文>
「自然哲学から倫理学へ ‐ ヨナス責任倫理学の形成と今後の環境倫理学の展望」『環境倫理』第1号、2017年、253~292頁。

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

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1番出口から「正門・南門」徒歩15分

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南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程

6月16日(土)15時~18時 会場調整中

7月 7日(土)15時~18時 会場調整中

◆4月例会(第273回総合部会例会)

日時:4月8日(日) 16:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6217教室(6号館2階)

当日は運営委員会が12時から開催されます。会員であればどなたでも参加できます。

また、15時から年次総会が開催されます。

会員の皆様、万障繰り合わせの上ご参加ください。

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

総合部会発表:小館 貴幸氏
演題: 「ヴァルネラブルな存在(弱い存在)としての人間」(年間テーマ案、予定)

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程

5月 調整中

◆3月例会(第272回総合部会例会)

日時:3月3日(土) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6217教室(6号館2階)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

発表:伊野 連氏(早稲田大学)
演題: 「加藤拓川の死生観」
司会:半田 栄一氏(鶴見大学短期大学部)

【要旨】

拓川(本名加藤恒忠、安政6(1859)~大正12(1923))は明治から大正にかけての外務官僚・政治家である。富国強兵期の日本外交を支えた偉人の一人であるが、今日では一般人にとって彼は「正岡子規の叔父」としての方がよく知られている。

私は子規の死生観について体系的に考察する途上で、当然のごとく拓川と出会った。彼は、貧苦のなか死病に喘ぐこの甥の、最大の恩人の一人であったからである。

拓川は伊予松山藩随一の名儒家大原観山を父とし、十代で亡父の遺命により上京、刻苦勉励して立身出世を遂げた。ベルギー大使ほかの外交官としての要職とともに、衆議院議員、勅撰貴族院議員、最晩年は病をおして故郷松山の市長を務め、凄絶ともいえる最期を遂げた。

彼は食道癌によって没するに先立ち、一切の固形食を受けつけぬ重症に陥った。数十日続く絶食の果て、1923年3月に覚悟の死を迎えた。

彼の主治医は我が国耳鼻咽喉科の創始者でもある賀古鶴所であった。そして文学愛好家には周知のように、賀古は文豪森鷗外の無二の親友であり、あの著名な遺書を代筆した人物である。

その鷗外は拓川に八ヶ月ほど早く1922年7月に没している。自らの死期を悟った鷗外は積極的な治療や投薬を一切拒み、いわゆる自然な死を受け容れて逝った。

拓川はそうした鷗外の死との対峙を、賀古を通じつぶさに聞かされていた。賀古が「医薬ヲ斥クル書」と呼んだ鷗外からの自らに宛てられた、決意表明ともいえる書簡を拓川に転送していた事実は、大いに注目すべきである。

賀古は親友鷗外が頑なに延命治療を拒否する姿勢に強く共感し、森一族をはじめとするあらゆる反対意見からひたすら鷗外を庇い続けた。そしてそれを共通の友である拓川が擁護してくれることを確信していたのである。

そして七ヶ月後には、今度は拓川が自らの死を悟ることとなる。拓川もまた、一切の延命を拒み、威厳ある最期を迎える。

二十一年前には心から愛おしんだ甥が脊椎カリエスの苦しみの果てに燃え尽きるように死んでいる。子規についても自身についても特別に語ることが無かった拓川の心中がいかなるものであったか、数少ない史料をもとに推察する試みがなされるべきである。

なお、今回は特に鷗外の死生観を概観することから、その賀古への影響、さらには拓川への影響へと敷衍させていく手法を採る。重要な先行研究を以下にいくつか示しておく。

・山崎一穎「鷗外――その終焉をめぐる考察」(『跡見学園女子大学国文学科報』25、1997年3月、pp. 76-95)

・成澤榮壽『伊藤博文を激怒させた硬骨の外交官加藤拓川 帝国主義の時代を生き抜いた外交官とその知友たちの物語』高文研、2012

【最近の業績】
『生命の倫理 入門篇』三恵社
『ドイツ近代哲学における藝術の形而上学』リベルタス出版
『哲学・倫理学の歴史』三恵社
『現代美学の射程』三恵社

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程

2月開催はありません。
3月3日(土)

◆1月例会(第271回総合部会例会)

日時:1月6日(土) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6217教室(6号館2階)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

発表:秋葉 峻介氏(一橋大学社会学研究科)
演題: 「尊厳死と死ぬ権利、自己決定権」
司会:小館 貴幸氏(立正大学)

【要旨】
2012年7月、「尊厳死法制化を考える議員連盟」によって「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)」 が提出されて以来、日本における尊厳死の法制化の動きは足踏み状態が続いている。法制化の動きそのものが停滞しているものの、一方では尊厳死、あるいはその法制化について関心が高まってきていると考えてよいだろう。そこで今回の報告では、こうした背景に配慮しつつ、尊厳死と死ぬ権利(あるいは死の自己決定権)との関係について焦点をあてて論点を整理し、批判的に考察していくこととしたい。
というのも、尊厳死法制化の動きや尊厳死をめぐる出来事と死ぬ権利や自己決定権という考え方とはしばしば並列して論じられる。しかし、死ぬ権利とはなにか、そして、そもそも死ぬ権利なるものは尊厳死を支えるものなのか、ここで一度再考してみる余地があるように思われる。たとえば、1967年のカレン事件においても当初カレンの養父から求められていたのはプライバシー権にもとづく執拗な治療の停止であって、死ぬ権利ではなくかったのであり、このケースにおける尊厳死の争点はあくまでもプライバシー権に関するものだったのである。にもかかわらず、どういうわけか日本においてもカレン事件は死ぬ権利が争点であったかのような理解も少なくない。この事件以降、尊厳死と死ぬ権利とは並列して論じられるようになったと言っても過言ではないだろう。とはいえ、この事件は死ぬ権利による尊厳死を求めたものでもないし、プライバシー権から死ぬ権利を引き出せると示したものでもない。ではなぜ尊厳死と死ぬ権利とは並行して論じられているのか。
以上のことを踏まえ、今回の報告では尊厳死と死ぬ権利、自己決定権との関係を考察してみたい。

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程

2月開催はありません。
3月3日(土)

◆11月の例会はありません

次回12月の例会は12月2日(土)東洋大学白山校舎にて開催を予定しています。

会場等決定次第お知らせします。

◆10月例会(第269回総合部会例会)

日時:10月7日(土) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6219教室

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

発表:森元美代治氏(NGO IDEAジャパン代表、多磨全生園 元入園者自治会長)

演題:「ハンセン病を生きて ~尊厳回復の願いと私のたたかい~」

司会: 尾崎恭一氏(東京薬科大学)

要旨:ハンセン病には三つの迷信があります。一つめは「不治であること」、二つめは「恐ろしい伝染病であること」、三つめは「遺伝病であること」です。これらの迷信に基づいて、日本らい学界・国が犯した非科学的、被人権的な終生隔離のハンセン病対策・無らい県運動に翻弄され、人生被害を被った患者や家族の痛みについて、思いのたけを述べたいと思います。偏見や差別の根強い社会に多くを期待することはできません。「われわれ自身が変わるから社会が変わる」と信じて、価値ある人生にしようと思って行ってきた諸活動についても紹介したいと思います。

プロフィール:
1952年 中学3年の時にハンセン病と診断され、国立奄美和光園に隔離入園
1959年 岡山県邑久高校新良田教室卒業
大学進学のため、東京都東村山の多磨全生園に転園
1962年 慶応大学法学部法律学科に入学
1966年 同大学を卒業、都内金融機関に就職
1970年 ハンセン病の再発により、多磨全生園に再入園
1999年 東京地裁ハンセン病訴訟原告団事務局長となる
2002年 多磨全生園を退園
2004年 特定非営利法人IDEAジャパン設立 理事長となる

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程
2017年
11月開催はありません。
12月2日(土)
2018年
1月6日(土)(予定)
2月開催はありません。
3月3日(土)

◆9月例会(第268回総合部会例会)

日時:9月2日(土) 15:00~18:00

(当日は13時より同会場にして運営委員会が開催されています。傍聴自由です。)

会場:東洋大学 白山校舎 6313教室

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

発表:足立大樹氏(ホームケアクリニック横浜港南)

演題:「在宅医療からの学びと問い」

司会:冲永隆子氏(帝京大学)

要旨

在宅医療とはどのようなものだろうか。多くの方々にとって在宅医療は、例えば先日亡くなった小林麻央さんの事例のように、終末期を自宅で過ごすための医療として想起されるかも知れない。終末期医療はもちろん在宅医療の役割の一つである。暮らしの場で最期の時を安寧に過ごすために、在宅緩和医療の技術は非常に重要である。しかし、私たち在宅医の担う役割は、終末期だけにとどまるものではない。

在宅医療の適応は「通院困難な患者」であり、それはすなわち身体的あるいは精神的に何らかの障害を有する人々が対象となるということである。そのような人々の自宅ベッドを、疾病治療を専らとする病院ベッドのように扱うことが在宅医療ではない。個人が障害を有しながらも平穏な日常生活を送ることが出来るように薬剤を処方し、必要な医療処置を行い、あるいは栄養や介護方法について助言を行うこと。医療の範疇での支えだけでは充分でない場合に、適切な支援窓口への連絡を図ること。生活支援に関わる多くの職種の方々と共に、様々な手段を用いて、障害を有する個人の暮らしの中に生じる課題を軽減しあるいは解消しようとすることが、在宅医療の主目標なのである。

ところで、熊谷晋一郎の言を借りて、障害とは少数者と社会の間にあるズレだとするならば、障害を有する個人に与えられる医療の選択肢が在宅医療しかない社会とは、誰もが生き易い社会とは言えないだろう。実際、高齢となり障害を有し、自宅や施設に半ば閉じ込められた方々の口から死を望む呟きが漏れ出ることは、決して珍しいことではない。超高齢社会・多死社会を背景として、国は盛んに在宅医療の推進を謳っている。しかし、あらゆる人が当事者となり得る障害という観点からすれば、それは本質的解決策とは言えない。むしろ、在宅医療を縮小出来る社会を構築しようとすることこそが、私たちの目指すべきところではないだろうか。

発表者プロフィール:
1997年3月、金沢大学医学部卒業。同年5月、関東逓信病院内科。1999年4月、東京大学医科学研究所附属病院血液・腫瘍内科。2003年3月、東京大学大学院医学系研究科修了。2004年4月、横浜市栄区に公田クリニック開設。2012年10月、診療所を横浜市港南区に移転、ホームケアクリニック横浜港南に名称変更。診療所開設以降、一貫して横浜市南部地域での在宅医療に従事している。【最近の業績】

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程

2017年

10月7日(土)会場調整中
11月調整中

◆7月例会(第267回総合部会例会)

日時:7月1日(土) 15:00~18:00

(当日は13時より同会場にして運営委員会が開催されています。傍聴自由です。)

会場:東洋大学 白山校舎 6217教室

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

発表:中澤 武氏(明海大学)

演題:「なぜヴルネラビリティは倫理原則たり得るのか?」

司会:調整中

要旨:人間は、理性を備えた感性的存在である。合理的な認識を構成し、自律した意志を発揮して理念を追い求める一方、変化に遭ってはしばしば受動的であり、傷つきやすく、依存的である。本発表は、このような哲学的人間観に立ち、ケアの倫理との関連でバルネラビリティ(傷つきやすさ、脆弱性)の倫理原則としての意義について考えたい。
ケアの倫理は、1980年代にキャロル・ギリガンが実践理性中心の形式的普遍主義に異議を唱えて以来、バルネラビリティを一つの軸として展開してきた(E.F.キティ、J.トロント等)。一方、バルネラビリティに配慮した倫理理論は、EUの「バルセロナ宣言」(1998年)やユネスコの「生命倫理と人権に関する世界宣言」(2005年)等を経て、今や国際的なレベルで関心の的となっている。
たとえば、ユネスコの「生命倫理と人権に関する世界宣言」(2005年)は、第8条で「科学知識、医療行為および関連する技術を適用し、推進するにあたり、人間のバルネラビリティが考慮されるべきである」と述べている。また、このユネスコ宣言の背景をなしているEUの「バルセロナ宣言」(1998年)では、生物医学とバイオテクノロジーの急激な進展という現実に直面して、今後、人間性の将来に何を望むかという問題意識のもと、従来のアメリカ流の生命倫理とはまた違う、新しい倫理原則が探究されている。
この場合、特に従来の自律重視の生命倫理に対して、自律・尊厳・統合不可侵(integrity)と並んで、バルネラビリティの概念が将来の人間性保護を意図した規範的枠組みの構成要素とされていることは特徴的である。「バルセロナ宣言」によれば、これらの四つの概念は決してばらばらに独立したものではなく、相互依存の関係にあるとされ、特にバルネラビリティを中心として、他者への配慮を重視したひとつの体系をなすと考えられる。バルネラビリティは、自律・尊厳および統合不可侵と分かちがたく結び合った倫理原則としての役割を期待されているのである。
バルネラビリティという語は、一般に打撃を受けて生じた傷害・苦痛・損失など、身体的・精神的なダメージを指すラテン語に由来する。転じて現代では、この語は身体・精神だけに留まらず、広く社会・環境との関わりの中で様々な具体的状況に用いられる。そうした状況では、一つの統合された組織が、物理的・心理的等の力の働きで変化を被り、脅威にさらされる。もしも、この脅威がある限度を越えて強まり、組織がその変化に対応しきれなければ、組織の統合は損なわれ、組織外部との境界領域には、たとえば痛みや傷のような可逆的・不可逆的な変異が生じるだろう。
このような意味でのバルネラビリティは決して一部の特別な人に限られた事柄ではない。むしろ、ここで問題になっているのは、人間が感性的存在として本来バルネラブルな存在であり、出遭われた脅威(たとえば病気・障碍・老化・死など)を受けとめきれない場合には容易く傷つくという普遍的脆弱性への洞察なのである。
とはいえ、そのような意味でのバルネラビリティに、他者への気遣い(ケア)を求める倫理原則としての規範的な意義が認められる根拠は何か。バルネラビリティは、気遣いの行為に対して倫理原則たり得るのだろうか。あるいは、単に、気遣いとは、たとえば眼前で苦しむ他者を看過できない恵まれた素質の表れに過ぎないのか。もしくは、適切な教育によって醇化された倫理的感受性の賜物というだけのものではないのだろうか。

【最近の業績】

「感性的認識の学としてのエステティカ――18世紀ドイツ啓蒙と美学の条件」加藤泰史(編)『大学と学問の再編成に向けて』(行路社2012年所収)他。

〔研究報告〕「ニューロエンハンスメントの倫理問題――ドイツ脳神経倫理学の視点――」(北海道生命倫理研究 vol. 4、2016年所収)他。

〔共訳書〕ミヒャエル・クヴァンテ『人間の尊厳と人格の自律 生命科学と民主主義的価値――生命科学と民主主義的価値――』(法政大学出版局2015年)他。

〔翻訳&改題〕ディーター・ビルンバッハー「「生命の尊厳」とは、どういう意味か」(思想 no. 1114、岩波書店2017年2月所収)他。

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程

2017年

8月はお休みです。
9月2日(土)15時からを予定しています。

◆6月例会(第266回総合部会例会)

日時:6月3日(土) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6217教室

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

発表:長島 隆氏

演題:「『忘れられる権利』と同意撤回権」

司会:江黒  忠彦氏(帝京平成大学)

要旨:2013年に情報倫理の基本を構成した二つのガイドライン、OECDガイドラインと95/EU指令が改正された。そのなかには、OECD個人情報保護に関する8原則が5原則に整理されるなど新しい展開がみられるとともに、最近の日本でも問題になったJRのスイカ情報の一方的な売買などで明るみに出たいわゆる「ビッグデータ」と「パーソナルデータ」の商業利用の問題が浮かび上がる中で、個人情報保護をどのように確保するかという問題が大きな課題となっている。

「忘れられる権利」は一度同意すれば、半永久的に使用可能な状態になっている現状にたいして、同意撤回権の問題を浮かび上がらせている。つまり、今回の解決はまさにオプト・アウト方式を医療倫理の場面に導入することによって、医療情報におけるビッグデータ、パーソナルデータの使用をいわば「自由」に行うことを認めると同時に、個人情報を、われわれは自ら守ることを要求されることになっていることを意味している。 私自身は、インフォームド・コンセントをいう場合に、同意撤回権を明確に指摘する方向を取ってきているが、今回の改正は、まさにこの同意撤回権こそが我々が個人情報を保護するカギになっていることを示している。
今回の報告では、二つのガイドラインの改正の基本問題を解明し、医療上の情報倫理の問題として、「忘れられる権利」と同意撤回権に問題を収れんさせて論じてみたいと思う。

業績:

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程

2017年
7月1日(土)15時から(運営委員会が13時より開催されています)

◆5月例会(第265回総合部会例会)

日時:5月13日(土) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6217教室

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

発表:黒須 三恵氏(東京医科大学)

演題:「臨床研究に関する規制の最近の動向」

司会:島田 道子氏(鶴見大学)

要旨:2015年9月に「個人情報の保護に関する法律」が改正された。この改正により2016年11月に個人情報の保護に関するガイドラインが、2017年2月に「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」と「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」が改正された。2017年3月に「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 ガイダンス」の改正と、この改正による研究責任者向けチェックリストなどが公表された。2017年5月末にこれら全てが施行されることになった。この間、臨床研究に関する法案が国会に提出されていたが、2017年4月に罰則を伴う「臨床研究法」として成立した。この法により製薬企業から資金提供を受けた臨床研究等(「特定臨床研究」)の実施計画書は、厚生労働大臣の認定を受けた認定臨床研究審査委員会での審査と厚生労働大臣への提出が義務付けられた。

業績:

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程

2017年
6月3日(土)15時から

7月1日(土)15時から(運営委員会が13時より開催されています)

◆4月例会(第264回総合部会例会)

日時:4月9日(日) 16:45~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6102教室

(当日は同会場にして13時より運営委員会、15時10分より年次総会が開かれます。こちらの出席もお願いします。)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

発表:小館 貴幸氏(立正大学)

演題:「いのちの尊厳と死」

要旨

今回の報告では、2017年度関東医学哲学・倫理学会(以下、本会と略記)の年間テーマを提示し、その趣旨説明を行うこととする。周知のとおり、第36回日本医学哲学・倫理学会全国大会が11月に帝京科学大学千住キャンパスで開催される。今年度は関東での開催ということで、本会もこれに連携することにより、本会の議論を全国へと発信する可能性も開け、本会のさらなる充実が図れるだけでなく、大会を盛り上げることにも貢献できるであろう。そこで、全国大会のテーマ「いのちと向き合うケア」、大会シンポジウムのテーマ「ケアの問題としての『尊厳死』―尊厳あるいのちをいかに支えるか?」を踏まえて、本会の2017年度の年間テーマを「いのちの尊厳と死」として提示することにする。
そもそも私たちが現在置かれている状況はいかなるものであろうか。2003年には死亡者が100万人を越え、2005年には死亡者が出生者を上回り、「大量死の時代」へと突入した。また、高齢化率は26.7%(2016年確定値)となり、既に超高齢社会となっている。団塊の世代が75歳となる2025年問題も決して遠い未来の話ではない。このような状況下では、死を迎えるための届出施設も病床数も圧倒的に不足しており、終の棲家を医療施設に求めるのは難しく、死にゆく者は「死に場所難民」・「看取り難民」とならざるを得ない。そこで必然的に在宅での死や介護施設での看取りが増加せざるを得ないのだが、介護の担い手は慢性的なマンパワー不足であり、「介護難民」となることが目に見えている。ここから孤独死の問題、安楽死や尊厳死の問題、さらにはケアの限界から死が強制される事態(死の義務化)が容易に想像しうる。私たちは世界内存在(さらに言うならば状況内存在)として生きるかぎりにおいて、これらの状況を無視して生きることはできない。
上記のハード面に対してソフト面では、疾病構造の変化による生活習慣病の増加により、感染症時代の「生か死か」という二者択一ではなく、「病を抱えつつどう生きるのか」という病との共存の時代となり、個々人の自己決定の重要性やそれを支えるケアのあり方が大きく問われている。誰もが死への存在であることは疑いないが、その一度限りの自らの死をどのように迎えるのか、愛する者の死をどう支えるのかは、各自にとっての一大事であろう。ここにいのちの尊厳が問われる。「死にゆくこと」は同時に「生ききる」ことでもありうる。2015年から公文章が「終末期医療」が「人生の最終段階」という言葉に変わったのは、「死にゆくこと」から「最期まで生きること」に軸足を移したためである。
「いのちの尊厳と死」というテーマは、一人称・二人称に限定されず、喫緊の課題から目を逸らすことなく、広く様々な問題を包括することができるゆえに、今後にむけての活発な議論の場となれば幸いである。

業績:

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程

2017年
5月13日(土)

◆3月例会(第263回総合部会例会)

日時:3月11日(土) 15:15~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6217教室

(当日は同会場にして13時より運営委員会が開かれています)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

発表:森 禎徳氏(東邦大学)

演題:「『オプジーボ問題』が投げかけるもの」

司会:岩倉 孝明氏(川崎市立看護短期大学)

要旨

従来、日本の公的医療保険制度はすべての国民に最適水準の医療を提供し、しかも高額療養費制度などによって自己負担の上限を抑えることで、経済的理由により医療を受けられない事態を防ぐ役割を果たしてきた。しかし「オプジーボ」に代表される高額な新薬や先端医療の導入により財政が圧迫され、医療費抑制が求められるに至った。この文脈において、「費用対効果分析」に基づく医療給付制限が論点となる。
無駄な治療や過剰な投薬、高齢者への一律優遇措置を是正し医療費を適正化することは重要だが、費用対効果分析に基づく医療給付制限は大きな倫理的困難を伴う。なぜなら、費用対効果の不良な患者に対して医療給付制限を行う場合、その対象となるのは高齢者や障害者、難病患者などの「弱者」であるが、これは彼らの生存権を脅かし現在の公的医療保険制度の理念を覆すことを意味するからである。
費用対効果を取り入れて「低負担・低給付」の医療保険へと転換を図るべきか、それとも負担増を受け入れて「高負担・高給付」の実現を目指すべきか、日本の公的医療保険制度が取るべき選択肢はどちらか、ロールズやドゥオーキン、あるいはセンたちが示した社会保障制度の存在意義やその本来の目的に照らして考えたい。

業績:

「医学的無益性と障害新生児」『生命倫理』通巻27号、日本生命倫理学会、2016年
「プラシーボ対照試験の倫理的正当性」『医療と倫理』第10号、関東医学哲学・倫理学会、2016年
「障害新生児に対する治療差し控えの倫理的正当性」『医学哲学・医学倫理』第33号、日本医学哲学・倫理学会、2015年
「プラシーボ反応と現代医療」『生命倫理』通巻25号、日本生命倫理学会、2014年
「保管代替医療に対する規制と受容――『患者中心の医療』という観点から」『医学哲学・医学倫理』第31号、日本医学哲学・倫理学会、2013年

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程

2017年
4月9日(日)
5月13日(土)

1月例会(第262回総合部会例会)

日時:1月7日(土) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 61037教室(6号館1階)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

発表:海野 まゆこ氏(看護師 放送大学学部生)

演題:「今考える、一般病床に起きている看護師業務の問題
- 多死時代を迎える病院の役割 - 」

司会:尾崎 恭一氏(東京薬科大学)

要旨

多死時代を迎えた近年の医療の現場と、マスコミが発信する終末期や看取りケアの情報によるイメージには乖離があるように感じています。今回、医療に関する統計と医療者と患者側の意識調査を基盤として、社会が医療に求める役割と現在の医療の状況を再考します。この考察を踏まえ、実際に一般病床で展開される「患者の看取り」という事柄の、看護師の日常的な実務としてのあり方を思惟します。そこには医療者や患者が気づいていない側面が含まれているのではないかと窺われるところがあります。医療のなかでの「看取り」という事柄に「正しく気づく」ため、皆様と一緒に考えてみたいと思います。

業績:

1.第34回 日本看護学会 看護総合 口頭発表(グループ) 2003年7月
「褥瘡リスク患者の傾向 -褥瘡発生報告書および治療計画書から見たリスク患者-」
2.第41回 日本保健医療社会学会大会 口頭発表 2015年5月
「現代社会がハラスメントに及ぼす影響」

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程

2017年
2月 開催しない
3月4日(土) 12時~18時 東洋大学 白山校舎 6102教室(13時より運営委員会)

◆12月例会(第261回総合部会例会)

日時:12月10日(土) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6217教室(6号館2階)

当日は12時15分より運営委員会が開催されています。

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

発表:瀬戸山 晃一氏(京都府立医科大学医学研究科)

演題:「医療と法と倫理~基本原理間の対立調整とパターナリズム論からの考察~」

司会:森 禎徳氏(東邦大学)

要旨

医療現場の倫理的なジレンマへ向き合うとき、法的な原理や思考方法、司法や法的規制は、どのような意義や役割を担い、また限界や問題を有しているのであろうか。本報告では、生命倫理の4原則と法規制の4原理間の対立と調整の観点からこのテーマにアプローチする。患者や家族などの当事者の決断や判断及び医療者が直面する倫理的なジレンマ(原理間の対立)に対して、広い意味での法はどのように関係すべきであるのか。この問いに対して、胃瘻などの具体的な臨床上の事例に言及しながら、報告者がこれまで主に研究してきたパターナリズム論や行動経済学の洞察から検討したい。いくつかの問題提起をさせていただき、出席いただいた研究者の方々と一緒に考えてみたい。

業績:

1.「現代法におけるパターナリズムの概念~その現代的変遷と法理論的含意~」大阪大学法学会『阪大法学』第47巻第2号(1997年).
2.「法的パターナリズムと人間の合理性~行動心理学的「法と経済学」の反-反パターナリズム論~(1)(2完),大阪大学法学会『阪大法学』第51巻第3号4号(2001年).
3.「Privacy of Genetic Information」52 Osaka University Law Review, pp. 75-105 (2005).
4.「遺伝子情報例外主義論争が提起する問題~遺伝情報の特殊性とその他の医療情報との区別可能性と倫理的問題性~」甲斐克則(編)『遺伝情報と法政策』成文堂(2007年)所収.
5.「新型出生前診断技術の利用をめぐる倫理的懸念の考察」法政学会『法政論叢』第50巻2号(2014年).

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。今回の会場は、右手階段またはほぼ正面に見えるエレベーターで上がった2階にあります。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程

2017年
1月7日(土) 15時~18時 東洋大学 白山校舎 6103教室
2月 調整中
3月4日(土) 12時~18時 東洋大学 白山校舎 6102教室(13時より運営委員会)

◆11月例会(第260回総合部会例会)

日時:11月12日(土) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6102教室(6号館1階)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

発表:伊野 連氏(早稲田大学)

演題:「正岡子規における死生観 」

司会:島田 道子氏(鶴見大学)

要旨

近代短歌・俳句のみならず、口語文の大成者としても評価される正岡子規(1967-1902)は、二十代初めに肺結核を発病し、数年後には菌が脊髄を侵す脊椎カリエス(結核性脊椎炎)のため、病臥を余儀無くされる晩年を送った。耐え難いほどの身体的・精神的苦痛にも拘らず、死のほんの僅か前まで執筆の日々を送り、創作し続けた。
いわゆる三大随筆『墨汁一滴』『仰臥漫録』『病牀六尺』をはじめ、彼の著作には随所に彼自身の死生観が綴られている。我々はそういったドキュメントから改めて生と死の意味を学ぶことができる。さらに在宅介護・疼痛ケア・安楽死等の生命医療倫理学の主要問題も数多く提起されている。
今回は特に子規が夏目漱石と清沢満之と結んだ交友に着目し、死生学的考察を試みたい。

業績:

『ドイツ近代哲学における藝術の形而上学』リベルタス出版、2012年
『現代美学の射程』三恵社、2015年
『哲学・倫理学の歴史』三恵社、2016年
『生命の倫理 入門篇』三恵社、2016年
『看護学生のために医療倫理』(盛永/長島編、共著)丸善出版、2012年

参加費:300円

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。今回の会場は、その階段を上がった左手通路側にあります。守 衛室の裏側にある感じです。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

今後の日程

12月10日(土) 15時~18時 東洋大学 白山校舎 6102教室 (13時より運営委員会)
2017年
1月7日(土) 15時~18時 東洋大学 白山校舎 6103教室
2月 調整中
3月4日(土) 12時~18時 東洋大学 白山校舎 6102教室(13時より運営委員会)

◆10月例会(第259回総合部会例会)

日時:10月1(土) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 教室は未定

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

6号館からおいでの場合:建物入口からまっすぐ進み、奥に見えるエスカレーターで登りきった正面に見える建物が1号館となります。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきって左手奥に1号館の入り口が見えます。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

発表:勝山 貴美子氏(横浜市立大学)

演題:「『気づき』からはじまる臨床倫-倫理研修における看護師の事例からの考察- 」

司会:冲永 隆子氏(帝京大学総合教育センター)

演題:倫理とは「社会の中で生きる人間が、自然、社会、他者に対してスムーズにかかわることができる共通の規範や原理(黒崎剛:生命倫理の教科書 ミネルヴァ書房 2014)」と定義される。看護の倫理は、看護専門職であれば当然このように行動する、という看護専門職として共通する規範である倫理綱領に基づき、内的な自律によって映し出される。その行動を看護倫理に基づく行動と定義することができる。看護師は医療が高度・複雑化し、患者の権利意識が高くなる中で様々な倫理的な問題に直面している。大学における看護基礎教育はもちろん、臨床においても新人看護師から看護部長まで倫理研修を行う機会は増加している。本例会では、看護師から提出される事例を検討し、その問題と課題について検討したい。

業績:

・勝山貴美子(2014):看護職のチーム医療における協働意識と自律性―歴史的背景と調査結果からの考察― 医学哲学・医学倫理、第32号pp33-42
・Santaro Kobayashi, Ken Kato, Nakako Fujiwara, Makoto Miyaji, Hiroshi、 Amano, Mitio Naito, Kimiko Katuyama, Kazunobu Yamauchi.(2013):Comparative study of ethical problems on national board exams in Japan for healthcare professions – specific examples of physicians, pharmacists, and speech therapists
International Journal of Medical Science and Public Health 2013 2(3) 376-381

・Kimiko Katsuyama,Yuichi Kouyama, Yasushi Hirano, Kenji Mase, Ken Kato, Satoshi Mizuno, Kazunobu Yamauchi(2010) : Computer Analysis System of the Physician-Patient Consultation Process, International Journal of Health Care Quality Assurance, Vol .23 Issue 4 pp378 – 399

◆9月例会(第258回総合部会例会)

日時:9月3(土) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 1403教室(1号館4階)

前回と教室が異なります。ご注意ください。

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物は6号館です。

6号館からおいでの場合:建物入口からまっすぐ進み、奥に見えるエスカレーターで登りきった正面に見える建物が1号館となります。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきって左手奥に1号館の入り口が見えます。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

発表:中澤 武氏(明海大学)

演題:「痛みの意味と当事者の言葉」

司会:小阪 康治氏 (郡山女子大学)

要旨:本発表では、慢性の痛み経験の主観的意味に注目しつつ、医療者-患者関係の非対称性に配慮した当事者理解の方法を考えたい。
病苦の中に在って痛みを経験している人にとっては、痛みは疑いを容れない現実である。一方、痛みを感じていない他人にとっては、苦痛を訴える人の経験は、どこまでも解釈を要する現象である。その際には、当事者の痛みの身体的・言語的表現を受けとめ、その意味の解釈をとおして病苦の経験に共感する開かれた姿勢が重要になる。
医療に求められる役割は、痛み現象の原因としての機能不全を特定し、これに介入して調整する生物医学の分野にとどまらない。むしろ、病者が痛み経験のただ中にあっても打ちひしがれてしまわないように、また当人が痛みの経験にみずから意味を与えて可能なかぎり平常の歩みを続け、生の統合態を持ちこたえられるように支援することが医療の本義である。そのために必要な当事者理解の方法論として、プロセス・コンサルティングによる対話モデルの応用を検討する。

主要業績:

① 「安全と納得とのあいだで:産科医療に関するインフォームド・コンセント再考の一視点」,『医療と倫理』第8号,p. 13~20,2009年.
②「概念史研究:その意義と限界」,『日本カント研究』第13号,p. 53~69,2012年.
③「感性的認識の学としてのエステティカ: 18世紀ドイツ啓蒙と美学の条件」,『大学と学問の再編成に向けて』(加藤泰史編,行路社刊),p. 247~271,2012年.
④「ニューロエンハンスメントの倫理問題:ドイツ脳神経倫理学の論点」,『北海道生命倫理研究』第4号,p. 33~40,2016年.

参加費:300円

◆7月例会(第257回総合部会例会)

日時:7月2(土) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6103教室(6号館1階)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物が6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。今回の会場は、その階段を上がった左手通路側にあります。守 衛室の裏側にある感じです。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

発表:宮坂 道夫氏(新潟大学 大学院 保健学研究科)

演題:日本の臨床現場の現実と、それに適した臨床倫理の方法論の検討

司会:村松 聡氏(早稲田大学 文学学術院)

要旨:

臨床倫理は「理論と実践」や「原則と政治力学」等のパースペクティブ間のギャップが顕わになる現場であり、その間を往還する方法が不可欠である。演者は、医療系学生や医療従事者に対する教育や研修を行いつつ、臨床倫理の方法論を研究し、それらの成果を教科書『医療倫理学の方法』により臨床倫理の現場に還元しようとしてきた。現在改版の準備を進めている第3版では、ジョンセンらの四分割表を日本の臨床現場向けに修正したものと、ナラティヴ・アプローチを実践的に用いる方法とを新たに提案する予定である。本講演では臨床倫理全般にわたる演者の問題意識と、方法論研究の成果、実践的試みについて論じる。

主要業績:

①(単著)宮坂道夫:医療倫理学の方法 原則, 手順, ナラティヴ, 医学書院,2005年 / 2011年.
②(単著)宮坂道夫:ハンセン病 重監房の記録』, 集英社,2006年.
③(共著)Alexander Medcalf, Monica Saavedra, Magali Romero Sá, Sanjoy Bhattacharya eds. Leprosy: A Short History, Orient Blackswan, 2016, (pp.52-62, Michio Miyasaka: Leprosy in the Western Pacific and Japan)
④(共著)Meg Jensen, Margaretta Jolly eds. We shall bear witness: Life narratives and human rights. Wiscoinsin University Press, 2014, (Michio Miyasaka: Justice of Listening: Japanese Leprosy Segregation)
⑤(共著)Deborah Oughton, Sven Ove Hansson eds. Social and Ethical Aspects of Radiation Risk Management, Elsevier Science, 2013, (pp.177-195, Lessons from the Fukushima Daiichi Nuclear Disaster)

参加費:300円

今後の予定

9月3日(土)東洋大学白山校舎1号館1403教室

◆6月例会(第256回総合部会例会)

日時:6月4(土) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6103教室(6号館1階)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物が6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。今回の会場は、その階段を上がった左手通路側にあります。守 衛室の裏側にある感じです。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

発表:冲永 隆子氏(帝京大学総合教育センター)

演題:人生の最期をどう支えるか~「気づき」から始まるアドバンスケアプランニン

要旨:

本発表では、医学哲学・倫理学会が来年1月に主催する公開講座「『気づき』から始まる臨床倫理―治療方針をめぐるよりよい意思決定支援のために」の開催に向けて、アドバンスケアプランニング(ACP:事前ケア計画)の倫理的課題について検討する。

1990年代に入ってはじめて米国において、終末期の意思決定支援の一つであるACPが注目されるようになると、日本においてもその必要性が求められ実現に向けて検討されるようになった。本発表では、日本のACP研究の展望について、発表者が現在かかわる京都大学こころの未来研究センターにおける、終末期の生き方に関する講演会に参加した20-80代の男女1053人の一般市民を対象にした「ACP意識調査研究」の報告をもとに考察を行う。

最近の業績:

①冲永隆子「いのちをめぐるバイオエシックス―痛みの隠蔽に抗うために(特集 生命倫理の問い)」『宗教哲学研究』第31号、昭和堂、2014年、31-47頁。

②冲永隆子「生命倫理理論」塚田敬義・前田和彦編『生命倫理・医事法』、医療科学社、2015年、15-33頁。

③冲永隆子「終末期の意思決定支援に向けてのバイオエシックス」『帝京大学総合教育センター論集』7号、2015年、39-55頁。

④Takako Okinaga, “Bioethics for Decision Support on End-of-Life Care in Japan”, Teikyo Journal of Center for Fundamental Education, Vol.7, 2016, 3.pp.27-37.

⑤冲永隆子「病む人の『生の終焉』に寄り添うために~患者と家族の終末期の希望を実現するための倫理支援・ACP開発研究から(仮題)」『サイエンスとアートとして考える生と死のケア―第21回日本臨床死生学会大会の記録―』(日本臨床死生学会誌増刊号)エム・シー・ミューズ出版、2016年8月31日出版予定。

参加費:300円

今後の予定

7月2日(土)6103

◆5月例会(第255回総合部会例会)

日時:5月7(日) 15:00~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6103教室(6号館1階)

(4月例会会場とは教室・開始時刻が変わっています。ご注意ください。)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物が6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。今回の会場は、その階段を上がった左手通路側にあります。守 衛室の裏側にある感じです。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

発表:小館貴幸氏(立正大学)

演題:死者の存在性について

司会:半田栄一氏(鶴見大学短期大学部)

要旨:

日本では2003年に年間死者が100万人を越え、2005年には年間の死者が出生者を上回るという「大量死の時代」に突入しており、もはや死をタブー視することはできない。昨今の終活ブームはその現れの一端といえよう。
かつてハイデガーは、現存在が「死への存在」であることを明らかにしたのであるが、私たちはそこに留まる存在ではなく、ここからさらに、死して「死者となりうる存在」でもあることを忘れてはならない。死者への気づきは、翻って「死すべき者」としての私たちの生のあり方にも少なからず影響を与えるのではなかろうか。そこで本発表では、「死者とはいかなる存在であるのか」ということについて、身体的意味の側面と人格的意味の側面から迫ってみたい。

研究業績:
①小館貴幸「「植物状態を生きる」ということ―カレン・アン・クィンランの「その後の物語を中心として―」、関東医学哲学・倫理学会『医療と倫理』第10号所収、2016年、44~53頁。
②小館貴幸「緩和ケアの意義」、『難病と在宅ケア』Vol.21 No.8所収、日本プランニングセンター、2015年、39~42頁。
③小館貴幸「死者とケア」、金井淑子・竹内聖一編『ケアの始まる場所 哲学・倫理学・社会学・教育学からの11章』所収、ナカニシヤ書店、2015年、146~168頁。
④小館貴幸「「生きる」を支える―難病介護という関わりの中から浮かび上がるもの―」、浅見昇吾編『死ぬ意味と生きる意味 ―難病の現場から見る終末期医療と命のあり方』所収、上智大学出版、2013年、135~170頁。
⑤関東医学哲学・倫理学会編『新版 医療倫理Q&A』、太陽出版、2013年。

参加費:300円

今後の予定

6月3日(土)6103
7月2日(土)6103

◆4月例会(第254回総合部会例会)

日時:4月10日(日) 16:45~18:00

会場:東洋大学 白山校舎 6102教室(6号館1階)

(3月例会会場とは教室・開始時刻が変わっています。ご注意ください。)

(当日は15時より、本学会の総会が同じ会場にて開催されます。

会員の方で欠席される方は事務局まで委任状(メールでも可)をお願します。)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物が6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。今回の会場は、その階段を上がった左手通路側にあります。守 衛室の裏側にある感じです。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

発表:森 禎徳 氏((総合部会長)

演題:2016年度の年間テーマ:生命・医療倫理における倫理的課題の「気づき」

司会:岩倉 孝明氏(川崎市立看護短期大学)

要旨:

2017年1月16日に医学哲学・倫理学会が主催する公開講座「『気づき』から始まる臨床倫理――治療方針をめぐるよりよい意思決定のために」が開催されます。この公開講座は、臨床現場において医師と患者・家族の間に生じる様々なジレンマや対立をどのように解決すべきか、という重要かつ喫緊の課題について、ジョンセンらの4分割法やナラティブなどさまざまな視点から考察を加える試みとなっています。

この公開講座の開催に向けて、先月の平山先生のご発表を皮切りに、今年度の総合部会ではパネリストによる発表が逐次行われる予定ですが、「倫理的課題の気づき」というテーマは臨床現場だけでなく、広く生命・医療倫理全般に適用しうる ものだと考えられます。そもそも哲学・倫理学の問いは、まず問題を発見すること、つまり私たちが生きている現実の社会において生起している事象のどこが問 題なのかに気づくことが出発点となるからであり、問題が存在していることに気づくことなく通り過ぎてしまえば、問題解決に向けた思考や取り組みは永遠に生まれえないからです。その意味で、生命・医療倫理の分野においても、どこに、どのような倫理的課題が生じているのかに「正しく気づく」ことが、課題の解決に向けて進むための不可欠の第一歩であると言えるでしょう。

そこで2016年度の総合部会は、「生命・医療倫理における倫理的課題の『気づき』」を年間テー
マとして掲げ、生命・医療倫理においてともすれば看過されたり、あるいはその重要性を過小評価されるなどしてきたさまざまな倫理的課題に改めて目を向けることで、より充実した議論の契機となるような場を設けていきたいと考えております。

参加費:300円

◆3月例会(第253回総合部会例会)

日時:3月13日(日) 15:00~17:30

会場:東洋大学 白山校舎 6307教室(6号館3階)

(前回の会場と異なり、東洋大学になっています。当日6号館1・2階は他の学会の会場となっています。注意してください。)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物が6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。今回の会場は、その階段を上がった左手通路側にあります。守 衛室の裏側にある感じです。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

発表:平山陽示氏(東京医科大学病院 総合診療科)

演題:「Jonsenの4分割を利用した臨床倫理カンファレンス」

司会:冲永隆子氏(帝京大学)

要旨:

本学にユネスコ生命倫理学講座国際ネットワーク日本支部が置かれたのを機に、倫理学教授の音頭の下、2012年に我々は臨床倫理研究会を発足させた。医師、看護師、倫理学者、ソーシャルワーカーをはじめとした多職種が集まり、ほぼ月に1回の定期的な臨床倫理カンファレンスを開催してきた。また年に2回は参加者をオープンにした臨床倫理ワークショップを開催してきた。その際、「何が問題なのか?」「どのように考えれば良いのか?」という点に参加者が気づきやすくするために利用したのがJonsenの4分割法である。それを利用した臨床倫理カンファレンスの実践を解説すると同時に、重要であると認識されているにもかかわらず、思うように参加者が増えない現状について報告する。

主要な業績:

Yoji Hirayama, Thomas E. Lohmeier, Robert L. Hester Hormonal and
circulatory responses to chronically controlled increments in right atrial
pressure Am. J.Physiol. 1990;258:H1491-H1497

Yoshifumi Takata, Yoji Hirayama, Sadamichi Kiypmi, et.al. The beneficial
effects of atrial natriuretic peptide on arrhythmias and myocardial
high-energy phosphates after reperfusion 1996;Cardiovasc Res:32:286-293

平山陽示 医療機関受診者を対象とした禁煙に関する意識調査報告 2010;Prog. Med. 30:219-227

Yoji Hirayama, Takashi Kawai, Junji Otaki, et. Al. Prevalence of
Helicobacter pyroli infection with healthy subjects in Japan J. 2014;
29(Suppl.4):16-19; Gastroenterol. Hepatol.

参加費:300円

◆2月例会(第252回総合部会例会)

日時:2月7日(日) 15:00~17:30

会場:東京医科大学病院  教育研究棟(自主自学館)3階 会議室B

(今回は東洋大学ではありません。また、JR新宿駅西口にある東京医科大学病院側に付属する建物が会場です。新宿3丁目駅(東口)側の東京医科大学ではありませんので注意してください。)

アクセス:http://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/access.html

教育研究棟(自主自学館)への詳しい地図はこちら

http://www.tokyo-med.ac.jp/%E6%95%99%E8%82%B2%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%A3%9F%28%E6%A1%88%E5%86%85%E5%9B%B3%29.pdf

東京都新宿区西新宿6-7-1
TEL:03-3342-6111(代表)
①JR、小田急線、京王線「新宿駅」西口
徒歩約10分
②西武新宿線「西武新宿駅」徒歩約10分
③都営大江戸線「都庁前駅」徒歩約7分
④東京メトロ丸ノ内線「西新宿駅」(東京医大病院前)徒歩約1分

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

発表:大井賢一氏(特定非営利活動法人 がんサポートコミュニティ)

演題:「終末期におけるQOD(Quality of Death) ―がん患者の心理社会的支援からの気づき」

司会:近藤弘美氏(清和大学)

要旨:

近年、がんの診断と治療は著しい進歩を遂げたにもかかわらず、がんと診断されたときに人は恐怖と不安に陥る。内閣府による世論調査(2014)で、がんに恐怖を覚る人は74.4%で、そのうち72.9%の人は「がんにより死のリスクが上乗せされる。だから怖い」と考えていた。社会保障制度改革推進法(2012)には「人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境を整備する」と規定され、社会保障制度改革国民会議報告書(2014)で「死すべき運命にある人間の尊厳ある死を視野に入れたQODを高める医療」とわが国において初めてQOD(Quality of Death)が言及された。
がん患者のQuality of Life(QOL)に関する研究は少なくない。死が遠い存在であるときQOLを問うことは可能であろう。しかし、死が間近に迫ったとき“生”に対する前向きな姿勢を問うQOLよりも、安らかな死を求めるQODがより重要になるのではないか。英誌The Economistによる調査によると、わが国のQODは2010年40ヵ国中23位、2015年80か国中14位との結果であった。
わが国では、これまでQODを考慮した終末期ケア(The End of Care)という捉え方が浸透していない。本発表ではQOD概念を明らかにし、これからの終末期ケアのあり方について議論したい。

主要な業績:

関東医学哲学・倫理学会編『新版医療倫理Q&A』編著,太陽出版,2013.担当:Q4-4インフォームド・コンセントを得なくてもいい場合はあるかpp.92-3/Q4-8患者のした決定には必ず従わなければならないかpp.100-1/Q5-9研究においてブラセボを使用することは許されるかpp.124-5/Q8-12患者の死後、遺族を援助しなくてもよいかpp.185-6

大井賢一・木阪昌知『歯科医療倫理Q&A』共著,太陽出版,2000

竹中文良・内富庸介(監訳)『がん患者・家族のためのウェルネスガイド―がんと診断されてもあなたらしく生きるために―』共訳,Parade Books,2013.(Kim Thiboldeaux and Mitch Golant, The Total Cancer Wellness Guide: Reclaiming Your Life After Diagnosis 1st Edition, BenBella Books, 2007).担当:第3章 アクティブな患者―がんサポートコミュニティーのアプローチpp.37-46/私たちは共にがんと闘いますpp.281-2/付録:米国国立がん研究所の2015年への挑戦pp.283-8

大井賢一:患者は医師に何を期待しているのか?―がん患者支援の視点から―,生存科学,Vol.23 B,pp.117-23,2013

大井賢一:地域コミュニティにおけるサポートグループの実践,厚生労働省科学研究助成金第三次対がん総合戦略事業、「厚生労働省戦略研究課題2;緩和ケアプログラムによる地域介入研究(OPTIM研究):緩和ケア普及のための地域プロジェクト報告書,pp.541-2,2013

◆1月例会(第251回総合部会例会)

日時:1月9日(土) 15:00~17:30

会場:東洋大学 白山校舎 6208教室(6号館2階)

(前回までの教室と異なっています。注意してください。)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物が6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。今回の会場は、その階段を上がった左手通路側にあります。守 衛室の裏側にある感じです。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

発表:水野 俊誠氏(津田沼クリニック副院長、慶應義塾大学講師)

演題:「続・死の法的基準としての脳死」

司会:山本 剛史氏(慶應義塾大学)

要旨:

哲学者の小松美彦は、脳死の人が生きているという自らの見解を支持する論拠として、(1)脳死と判定された時に意識があったという本人の証言があること、(2)脳死の人がラザロ徴候を示す場合があること、(3)脳死の人は、臓器を摘出される時に激しく動く場合があるので、麻酔や筋弛緩薬を投与せざるを得ないこと、(4)脳死の人は長期にわたって成長し、心臓が拍動し続ける場合があること等を挙げている。第四の論拠について、筆者は論文「死の法的基準としての脳死」(『医学哲学 医学倫理』第33号、2015年、21-29頁)で既に考察したので、本発表では、残りの三つの論拠を検討することにしたい。

主要な業績

水野俊誠『J.S.ミルの幸福論――快楽主義の可能性』梓出版、2014年
水野俊誠『医療・看護倫理の要点』東信堂、2014年
水野俊誠「死の法的基準としての脳死」『医学哲学 医学倫理』第33号、2015年、21-29頁
Mizuno, Toshinari, “Problems concerning the concept of mental illness and mental disease,” Journal of Philosophy and Ethics in Health Care and Medicine 4, 2010, pp.69-87
水野俊誠「通約不可能性についての一考察」『倫理学年報』第57集、2008年、261-274頁

参加費:300円

*今後の例会予定日
2016年

2月以降未定

◆12月例会(第250回総合部会例会)

日時:12月6日(日) 15:00~17:30

会場:東洋大学 白山校舎 6102教室(6号館1階)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物が6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。今回の会場は、その階段を上がった左手通路側にあります。守 衛室の裏側にある感じです。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

* 都営地下鉄三田線「白山」駅
A3出口から「正門・南門」徒歩5分
A1出口から「西門」徒歩5分

*都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

*東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

*東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

*JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

発表:石田安美氏(お茶の水女子大)

演題:「正常さ」は役に立つか:その倫理学的有効性について

司会:森 禎徳氏(東邦大学)

要旨:

本年度の医学哲学・倫理学会全国大会で、「正常さ(Normality)」についてのワークショップ(WS)を行った。本発表は、その報告を踏まえて、生命倫理における「正常さ」の重要さについて、さらに一歩踏み込んで議論できればと考えている。

「正常」とは「正常である状態」のことであるが、(体型や歯並びのように)医学的・生物学的な「正常さ」が、社会的・倫理的な規範として働くことがある。現代医療では、治療とエンハンスメントの境界として用いられることもある。そうした「正常さ」の重要性を踏まえ、WSでは、心理学、神経工学、先進医療の3点から3人の論者に発表してもらった。本発表の前半は、それを総括する。

後半では、WSでの議論を踏まえ、Eva Kittay氏の「the desire for normality」の概念などを引用しながら、「正常さ(normality)」と倫理的規範(norm)の関係について考える。

最近の業績

・「『自律性』を汚染するもの ――『倫理のパッケージ化』試論」(上智大学生命倫理研究所、『生命と倫理』)

・「ICにおける『緩やかなパターナリズム』の正当化の検討」(日本生命倫理学会、『生命倫理』Vol.24, No.1)
・“On the Possibility of Explanatory Pluralism in Neuroethics”(Journal of Philosophy and Ethics in Health care and Medicine、No.6)62

参加費:300円

*今後の例会予定日
2016年
1月9日(土)

◆11月例会(第249回総合部会例会)

日時:11月21日(土) 15:00~17:30

(今回はいつもと異なる日程になっています。ご注意ください。)

会場:東洋大学 白山校舎 6102教室(6号館1階)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物が6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メ インエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっ すぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。今回の会場は、その階段を上がった左手通路側にあります。守 衛室の裏側にある感じです。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

 都営地下鉄三田線「千石」駅

A1出口から「正門・西門」徒歩7分

東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

発表:尾崎恭一氏

演題:清水哲郎氏の医療倫理体系の検討

司会:江黒忠彦(帝京大学)

要旨:

1. 清水氏の医療への哲学的関心は、身内の治療というリアルな経験から始まり、その方法は医療者の現場の言葉を受けて対話し共に考えることにあった。

その点で、当時定義の定まらなかった臨床哲学はともかく、当時の応用哲学や生命倫理(学)の上から目線を拒否する「医療の哲学」であったのである。

2.その後の考察にも、この当初の視点が貫かれ、今や独自の医療「臨床倫理」体系をなすに至った。

それは、医療倫理諸原則の独自の関連づけ、それらの原則で裁断できない場合の決疑論の独自の解釈と提案、そして臨床の場で議論するための独自の義務書式の提言と普及活動、さらには医学会内部の終末期医療の倫理指針の責任作成にまで及んでいる。

3.こうした清水医療倫理について、以下の視点から理論的特徴を明確に理解できるようにしたい。

その特徴把握の視点とは、価値観と倫理観、道徳性と遵法性、義務論と帰結論、自律とケア責任などであり、こうした視点から清水氏の理論と提言を検討することにしたい。その上で、その評価に至ることができれば、と考えている。

4.主要参考文献

1997年『医療現場に臨む哲学』、2000年『医療現場に臨む哲学2』、2004年(編著・内2論文)『臨床死生学』No.3、2009

参加費:300円

*今後の例会予定日
12月6日(日)
2016年
1月9日(土)

◆10月例会(第248回総合部会例会)

日時:10月3日(土) 15:00~17:30

会場:東洋大学 白山校舎 6102教室(6号館1階)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物が6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メインエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっすぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。今回の会場は、その階段を上がった左手通路側にあります。守衛室の裏側にある感じです。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

 都営地下鉄三田線「千石」駅

A1出口から「正門・西門」徒歩7分

東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

発表:宮脇美保子(慶應義塾大学看護医療学部)

演題:「看護実践とケアの倫理」

司会:冲永隆子(帝京大学)

要旨:

1980年代、ギリガンに始まる人と人の関係性を重視した「ケアの倫理」は、誰もが潜在的脆弱者(高齢社会、繰り返される大災害など)であることを意識せざるを得ない現代社会においてますます重要となっている。特に、人間が人間に「関わる」ことを基盤におく看護学においては、それまで軽視されてきたケアの価値が問い直されるようになった。ワトソン、ボイキン、ベナーといった多くの看護理論家は「ケアリング」を看護の本質として位置づけている。こうした理論に共通しているのは、人への関心、気遣い、その人がもつ強みを大切にし、人としての尊厳を守ることへの責任を引き受けようとしていることである。発表では、具体的事例をもとに、臨床倫理においては、従来の倫理原則と補完し合う関係にあるケアの倫理の重要性と課題について検討したい。

業績
1. 身近な事例で学ぶ看護倫理(単著), 2nd.Ed.中央法規出版,2008
2. 看護実践のための倫理と責任(単著), 中央法規出版,2014
3. 看護師が辞めない職場環境づくり(単著), 中央法規出版,2012
4. シリーズ生命倫理学 14巻 看護倫理(編著),丸善出版、2012
5. ケアリングとしての看護 (共訳),ふくろう出版,2005.

参加費:300円

*今後の例会予定日
11月21日(土)
12月6日(日)
2016年
1月9日(土)

◆9月例会(第247回総合部会例会)

日時:9月5日(土) 15:00~17:30

会場:東洋大学 白山校舎 6102教室(6号館1階)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

西門正面の建物が6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合】

メインエントランス(正門)「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっすぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。今回の会場は、その階段を上がった左手通路側にあります。守衛室の裏側にある感じです。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

 都営地下鉄三田線「千石」駅

A1出口から「正門・西門」徒歩7分

東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

発表:羽金 和彦氏(栃木医療センター)

演題:「臨死体験と医療、文化、宗教との関わり」

司会:長島 隆氏(東洋大学)

要旨:

臨死体験とは、心停止等により意識消失となった後に蘇生した人が、意識消失中に起こったと記憶している体験のことです。幽体離脱、光の世界、霊的な存在との出会いなどの良く似た体験が報告されてきました。科学的な検討から、臨死体験は脳の生理学的反応と考えられ、人類の歴史上普遍的に存在した事象と考えられます。臨死体験後に人格が変化し、自己受容、反競争主義、神聖な目的意識、死の恐怖の克服、死後の世界の確信、魂の不滅、輪廻を信じる、のような変化が、臨死体験者に起こることが報告されています。宗教者の多くが臨死に近い状態で神の啓示を受けていることからも、臨死体験が死後の世界、魂の不滅等の概念を人類にもたらした可能性があると思います。

業績
1.ヒューリスティクスと医療安全 第17回日本医療マネジメント学会2015 6月
2.本邦におけるヘルニア圧迫固定療法 第52回日本小児外科学会 2015 5月
3.中絶倫理の歴史 第30回日本小児外科学会秋季シンポジウム 2014 10月
4.乳児の血尿 小児外科45(2) 2013

参加費:300円

*今後の例会予定日
10月3日(土)
11月14日(土)
12月5日(土)

◆7月例会(第246回総合部会例会)

日時:7月5日(日) 15:00~17:30

(今回は日曜日です。ご注意ください。)

会場:東洋大学 白山校舎 6102教室(6号館1階)  西門から入った建物が6号館です。

【正門・8号館側からお越しの場合、メインエントランス「甫水の森」の階段を上りきった正面に見える5号館(円了記念館)横のエスカレーターでいったん地下に降りてそのまま通路をまっすぐ歩き、守衛室を左手に見ながら4段ほどの階段を上がると6号館内に入ったことになります。今回の会場は、その階段を上がったところの左手通路側にあります。守衛室の裏側にある感じです。】

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

  都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

発表:中澤 武氏(所属:明海大学)

演題:「病気概念の主観性および医療実践における構成的意義について」

要旨:

本発表の課題は、病気概念の主観的構造に注目し、医療者の支援行為に対する病気概念の実践的意義を示すことにより、医療者-患者関係の非対称性を考慮した支援の在り方を検討することである。
人は、みずからを病気と見なし病気に対する態度を決定することができる。病者は、単に病苦を受動的に受けとめることもできれば、病苦からいわば距離をとって能動的に病気に対処することもできる。そこには、当人の生活状況や病気の程度、病歴等さまざまな要因が働いているだろう。とはいえ、病者の態度を左右するのは、必ずしも疾患の客観的所見だけではない。むしろ、病者自身が心身の状態をどのようなものとして感覚し、どのような医療支援を必要と見なすか、その解釈が決定的な意味を持つのである。
こうした病気概念の主観的側面は、理論的には、人間の「脱中心的定位」(H.プレスナー)という人間学的構想によって基礎づけられ得る。これに対して、実践的には、みずからの心身の状態を病気と見なし、自律性の毀損を認識しつつ本来の統合態の回復を望む患者の自己認識が、医療者の行為に対する実践的要請を基礎づけている。それゆえに、医療者に求められる支援は、経験的に記述可能な生命現象の機能不全を調整することだけにとどまらない。むしろ、統合態を喪失した患者を支え、損なわれた自律性を回復するためには、患者の有する病気概念の主観的解釈に働きかけ得るアプローチこそが、医療行為の構成的要素として認められなければならない。
そのようなアプローチを実効のあるものとするために、医療者-患者関係の非対称性を考慮しつつ、医療実践の場に応用し得る対話モデルの構造を考える。

明海大学歯学部、東京薬科大学、小諸看護専門学校(各非常勤講師).
早稲田大学文学研究科博士課程退学.トリーア大学(ドイツ)哲学博士(Dr. phil.).

主な研究テーマ:ドイツ18世紀啓蒙、生命倫理・医療人文学,ビジネス倫理.

業績

Kants Begriff der Sinnlichkeit(frommann-holzboog社,2009年),

「概念史研究:その意義と限界」(日本カント協会編『日本カント研究 カントと形而上学』理想社,第13巻,2012年),

「安全と納得とのあいだで:産科医療に関するインフォームド・コンセント再考の一視点」(『医療と倫理』日本医学哲学・倫理学会関東支部,第8号,2009年),

Whistleblowing und ethisches Handeln in der japanischen “Corporate Society”(Kritisches Jahrbuch der Philosophie, Königshausen & Neumann, Beiheft 9,2011年など.

司会:小館 貴幸氏(立正大学)

参加費:300円

*今後の例会予定日
9月5日(土)
10月3日(土)
11月14日(土)
12月5日(土)

◆6月例会(第245回総合部会例会)

日時:6月6日(土) 15:00~17:30

会場:東洋大学 白山校舎 6214教室(6号館2階)  西門から入った建物が6号館です。

〒112-8606  東京都文京区白山5-28-20

(前回の東京医科大学から会場が変更になっています。ご注意ください。)

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

  都営地下鉄三田線「千石」駅
A1出口から「正門・西門」徒歩7分

東京メトロ南北線「本駒込」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩5分

東京メトロ千代田線「千駄木」駅
1番出口から「正門・南門」徒歩15分

JR山手線「巣鴨」駅
南口から「正門・西門」徒歩20分
都営バス10分(「浅草寿町」行「東洋大学前」下車)

発表:大西奈保子氏(所属:帝京医科大学)(予定)

演題:「在宅でがん患者を看取った家族に関する研究~看取りの覚悟に焦点を当てて」

要旨:

家族が在宅で患者を看取れるように支援することは,がん患者の在宅ケアには不可欠である.そこで,がん患者を在宅で看取った家族の覚悟を支えた要因を明らかにすることを目的として,がん患者を在宅で看取った家族15名からなぜ在宅で看取ることができたのかという問いを立てて半構成的インタビューを試み,その内容を質的帰納的に分析した。
その結果,がん患者を在宅で看取った家族の覚悟を支えた中心的要因は,家族の人生観・死生観である≪在宅での看取りを受け入れる思い≫,家族を取り巻く人間関係である≪周囲の人々の協力≫,家族が患者・家族の置かれた現状を認識する≪在宅ケアを継続する勇気≫の3つであった.
家族が在宅で患者を看取る覚悟を支えるためには、家族の人生観・死生観と直結している≪在宅での看取りを受け入れる思い≫が土台となり、その上に≪周囲の人々の協力≫と≪在宅ケアを継続する勇気≫の柱を立ててはじめて家族の覚悟を支えることができると考える。家族の看取りの覚悟を医療者が支えるためには、この3つの要因に介入していくことであるが、≪周囲の人々の協力≫≪在宅ケアを継続する勇気≫は,制度を利用したり教育的に支援したりして比較的看護が介入しやすいが,≪在宅での看取りを受け入れる思い≫は,患者本人を含む家族の人生観や死生観の部分が強く表れており,特にがん患者の在宅ケアの場合,在宅ケア期間が短いということもあり,そこに看護が介入するのは難しいと言える.

業績
1)大西奈保子:介護老人福祉施設で看取りケアに携わる介護者の態度、東都医療大学紀要、3(1)、31-39、2013年.
2)大西奈保子「在宅医療におけるホスピスケア~実現に向けての教育とシステム構築 の提案」平山正実編著『死別の悲しみから立ち直るために(臨床死生学研究叢書2)』、2010年3月、聖学院大学出版会.
3)大西奈保子:ターミナルケアに携わる看護師の”肯定的な気づき”と態度変容過程、日本看護科学会誌、29(3)、34-42,2009年.

司会:青山彌紀氏(所属:ドイツ日本研究所)(予定)

参加費:300円

*今後の例会予定日
7月5日(日) 発表(中澤武氏)
9月5日(土)
10月3日(土)
11月14日(土)
12月5日(土)

◆5月例会(第244回総合部会例会)

日時:5月9日(土) 15:00~17:30

会場:東京医科大学 第二看護学科棟 2階 205講義室

(前回までの上智大学から会場が変更になっています。ご注意ください。)

アクセス:http://www.tokyo-med.ac.jp/access/

アクセスの際の注意: 当日は道案内の掲示などは出ていません。

                  正門をまっすぐ50mほど進んだ右手の建物の2階に会場があります。

演者:尾久 裕紀 (おぎゅう ひろき)氏
演題:Informed consentにおけるNudgingの意義と問題点

所属:大妻女子大学

要旨;
伝統的な医師-患者関係では、「専門家である医師は、何が患者のためになるかを知っているので任せておけばよい」 というものであったが、Informed consent(以下ICと略す)ではこれは医師のパターナリズムとして否定された。そして自分の身体にかかわることは自分で決めるという自己決定が尊重されることとなった。
一方、人間の意思決定は偏る傾向にあり、特に不健康のときには必ずしも合理的または論理的ではないということも指摘されている。そのような場合、患者の(本来であれば選択しない)「誤った判断」を修正することは医師のパターナリズムになるのか?
個人の選択の自由を制限することなく、その人の利益を最大にする決定を行うためのNudgingは、リバタリアンパターナリズムの特徴の1つである。倫理的に正当であるならば、Nudgingはパターナリズム的善行と自律の尊重の間の古典的なジレンマを克服する可能性と共に、ICについて重要な新しいパラダイムを提供することになる。
今回、日常臨床の場で行われているICにおけるNudgingの意義およびその問題点について若干の考察を試みたい。

参加費:300円

◆4月例会(第243回総合部会例会)

日時:4月5日(日) 15:00~17:30

会場:上智大学 2号館10階ドイツ語学科会議室(6Fから10Fに移動しました)

アクセス: http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/accessguide/access_yotsuya http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/map/map_yotsuya

アクセスの際の注意: 当 日は道案内の掲示などは出ていません。土曜・日曜日は駅に 一番近い門は閉ざされています。土手沿いの道を進み、正門からお入り下さい。正門 を入ってすぐ左にある大きな建物が、2号館です。エレベーターは6つありますが、 半分(片側サイド)は5階までしか行きません。ご注意ください。エレベーターを降 りましたら、そのまま右にまっすぐお進み下さい。突き当たりの右側がドイツ語学科 会議室になります。

演者:森 禎徳 氏                               演題:「障害新生児に対する治療差し控えの倫理的妥当性ーー「障害に配慮した生命倫理学」という視座」について

所属:東邦大学

要旨:1970年代初頭にアメリカで公表された「障害新生児に対する治療差し控え」という問題は、日本でも1986年のいわゆる「仁志田ガイドライン」以降、そ の妥当性や治療・不治療の境界線について議論が行われてきた。その一方で、「条件次第では、先天的に重い障害を持つ新生児に対して治療を差し控えることも 許されうる」という基本的な点については、疑問視されることがほとんどなかったとも言える。本発表では障害新生児に対する治療差し控えが、「自律の絶対的 欠如」という点において、通常の終末期における治療停止(尊厳死)とは本質的に異なっていることを指摘し、そのような行為を正当化するためにしばしば用い られる「最善利益」や「無益性」といった概念が、はたして自律の絶対的欠如を補填するに足るかを検証する。その上で、治療差し控えに反対する「障害学」の 立場や主張を紹介しつつ、A・ウーレットが提唱する「障害に配慮した生命倫理学」という新たな視座の意義を考えたい。

参加費:300円

2014年度の年間テーマ:
終末期における治療の中止・差し控えと、その倫理的問題

◆3月例会(第242回総合部会例会)

日時:3月8日(日) 15:00~17:30

会場:上智大学2号館13階法学部大会議室(2-1315)

アクセス:法学部大会議室(2-1315)ですが、いつも行われているドイツ語学科会議室と同じ上智 大学2号館内にあります。ただ6階ではなく13階にあり、エレベーターを13階で降りたら 右に進み、右側一番奥の扉が入り口となっている会議室です。

演者:棚橋 實 氏                               演題:「精神と実証主義(承前)」について

所属:芝浦工業大学

要旨:昨学の学会の大会で論旨は発表したが、さらに詳細に発表したいという趣旨である。精神疾患の急増について、これを時代の背景と歴史的転換をふまえて考察したが、単に医学的な見地からだけではなく、実証主義的な傾向の優勢な時代にあって、精神のあり方を根本から検討したいと考えている。精神については、西欧の二元論に基づいた見方があることに留意しなければならない。それはデカルトとパスカルとの論争による精神と物質の対立からくる二元論が鮮明になるにつれて。ようやく心と物の対立において哲学の対立が顕著になった。そしてその後、自然科学の発展と共に、実証主義が世界を席巻し、この対立は深刻さを増している。ここにおいて精神のとらえ方を一層深く、明確にしたいと考えている。

参加費:300円

◆1月例会(第241回総合部会例会)

日時:1月17日(土) 15:00~17:30

会場:上智大学2号館13階法学部大会議室(2-1315)

アクセス:法学部大会議室(2-1315)ですが、いつも行われているドイツ語学科会議室と同じ上智 大学2号館内にあります。ただ6階ではなく13階にあり、エレベーターを13階で降りたら 右に進み、右側一番奥の扉が入り口となっている会議室です。

演者:小館貴幸 氏                               演題:「ケアの物語としてのカレン・アン・クィンラン」について

所属:立正大学

要旨:尊厳死を考える上で決して欠かすことができないのがカレン・アン・クィンランの事例である。今から40年前、「死ぬ権利」の是非について、その裁判の行方は世界中で論争を巻き起こすこととなった。カレンの事例は、これまで法的観点や生命倫理学的観点では多く議論されてきたが、果たして生身の「人間の物語」として語られたことがあっただろうか。その判決の注目度に反比例し、人工呼吸器取外し後の9年間についてはほとんど語られることはなかった。しかし、彼女を想う人々と紡ぎ出されたこの9年間こそ、彼女の大事なもう一つの物語に他ならない。尊厳死法の提出も現実味を帯びている日本の現状を鑑みても、「尊厳死」という言葉のきっかけとなったカレンの物語を「完全な物語」として再び見直すことは決して無意味ではあるまい。本発表では、カレンへのケアに焦点を当て、特に人工呼吸器取外し後の9年間を浮かびあがらせることを意図するものである。

参加費:300円

◆11月例会(第239回総合部会例会)

日時:11月29日(土) 15:00~17:30

会場:上智大学 2号館10階ドイツ語学科会議室(6Fから10Fに移動しました)

アクセス: http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/accessguide/access_yotsuya http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/map/map_yotsuya

アクセスの際の注意: 当 日は道案内の掲示などは出ていません。土曜・日曜日は駅に 一番近い門は閉ざされています。土手沿いの道を進み、正門からお入り下さい。正門 を入ってすぐ左にある大きな建物が、2号館です。エレベーターは6つありますが、 半分(片側サイド)は5階までしか行きません。ご注意ください。エレベーターを降 りましたら、そのまま右にまっすぐお進み下さい。突き当たりの右側がドイツ語学科 会議室になります。

演者:山口育子 氏                               演題:「患者・家族からの電話相談を通して見えてくる終末期における治療の差し控えや中止の問題点」について

所属:NPO法人ささえあい医療人権センターCOML

要旨:日常の活動の柱である電話相談は、24年間で総数54000件を超えています。その中には、終末期の治療にまつわるさまざまな悩みや葛藤も寄せられています。その中から、治療の中止や差し控えに関係する具体的な内容をご紹介するとともに、患者の終末期と向き合う医療者に考えていただきたい内容をお伝えしたいと思っています。

参加費:300円

◆10月例会(第238回総合部会例会)

日時:10月18日(土) 15:00~17:30

会場:上智大学 2号館10階ドイツ語学科会議室(6Fから10Fに移動しました)

アクセス: http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/accessguide/access_yotsuya http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/map/map_yotsuya

アクセスの際の注意: 当 日は道案内の掲示などは出ていません。土曜・日曜日は駅に 一番近い門は閉ざされています。土手沿いの道を進み、正門からお入り下さい。正門 を入ってすぐ左にある大きな建物が、2号館です。エレベーターは6つありますが、 半分(片側サイド)は5階までしか行きません。ご注意ください。エレベーターを降 りましたら、そのまま右にまっすぐお進み下さい。突き当たりの右側がドイツ語学科 会議室になります。

演者:町野 朔 氏                               演題:「終末期医療のガバナンス」について

所属:上智大学

要旨:1. かつては、病気、加齢、死は本人とその家族、そして、彼らに近しい人たちの問題であり、基本的には私的な領域に属するものであった。しかし現在は、人々の終末に至るまでの人生に医療・福祉のプロフェッションが関わり、人々が病院で死ぬことが通常になっている。個人の死はもはや純粋に私的な問題ではなく、公的な政策決定(public policy)が要請される問題になっている。そして、終末期医療は医療の専権事項ではなく、医師と本人の「阿吽の呼吸」にのみ委ねられるものでもないのである。終末期医療においてもガバナンスが必要である。                         日本では、終末期の患者について行われた医療の中止(抜管など)に対して警察が介入する事件がいくつか起こり(道立羽幌病院事件〔2004年2月〕、射水市民病院事件〔2005年3月〕)、国民の間に日本の終末期医療に対する不信を生じさせた。他方、日本の医療関係者たちの間では、日本の法状況は不明確であり、自分たちの行動が警察の介入を招くことがないか、家族などの関係者にどのように対応すべきか分からない、などの不安があり、明確なルールを求める声が上がっている。                   2. 問題は2つある。第1はガバーンすべきルールの内容であり、第2はガバナンスの方法として何が適切かである。この2つは別の次元に属する問題であり、両者を混同すべきでも、融合すべきでもない。                            現在は、議論の重点は第2の問題に移っている。                  厚生労働省は「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」(2007年)を作った。その後、日本医師会、各医学会からも、各種のガイドラインの提言が出ている。これに対して、終末期医療のガバナンスのためには法律が必要であるという意見もある。「尊厳死法制化を考える議員連盟」は2種類の案からなる「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案」を公表している(2012年)。これは、きわめて限定された範囲でliving willに法的効力を認めようとするものである。               報告者は、日本の状況から見るなら、終末期医療のガバナンスの方法としては、立法は不適切だと思っている。

参加費:300円

◆9月例会(第237回総合部会例会)

日時:9月21日(日) 15:00~17:30

会場:東洋大学白山校舎8号館(大学院棟)中2階第2会議室

アクセス:こちらを参照ください

演者:船木 祝 氏                               演題:「高齢者の在宅における終末期医療の哲学的問題――地域の独居高齢者問題を手がかりにして」について

所属:札幌医科大学医療人育成センター

要旨:高齢化社会における重大な問題のひとつとして、一人暮らし高齢者の問題がある。孤独死、孤立化といった問題が社会において取り沙汰されているが、実際の高齢者一人一人がどのような思いで、どのような生活を送っているのか、その実情は十分に明確になっているとはいえない。そこで、本発表は、北海道の都市部札幌市と、全国的に見ても高齢化率が高い地域である留萌市に暮らす独居高齢者へのインタビュー調査を踏まえて、独居高齢者の現状を浮かび上がらせるとともに、そこにある哲学的問題について考察をすることを目的とする。独居高齢者は、さまざまな困難をかかえながらも、生活において工夫をしたり、バランスをとったり、周囲を観察したりしながら、当たり前の日常を送っている。そのような生活の根底にある考え方とはどのようなものか、という哲学的問題が浮かび上がる。そして、「今を大切に生きる」、「気楽な関係・場」、「人生・人間のモデル」、「現実の受容・後悔」、「他者に必要とされることの満足感」といったカテゴリーが考察対象になる。

参加費:300円

◆7月例会(第236回総合部会例会)

日時:7月6日(日) 15:00~17:30

会場:上智大学2号館法学部大会議室(2-1315)

アクセス:法学部大会議室(2-1315)ですが、いつも行われているドイツ語学科会議室と同じ上智 大学2号館内にあります。ただ6階ではなく13階にあり、エレベーターを13階で降りたら 右に進み、右側一番奥の扉が入り口となっている会議室です。

演者:三羽恵梨子 氏                               演題:「治療とエンハンスメントとの道徳的差異の検討:医療者に対する道徳的負荷を手がかりに」について

所属:東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻                  専門分野:医学哲学、医療倫理

要旨:本発表においては、エンハンスメント(増強的介入)を題材として、この概念の意味・射程を検討する。エンハンスメントの定義については必ずしも研究者の間で明確な一致点が見いだされているわけではないが、それが肉体的改良、知的改良、道徳的改良等の形をとることは一般的に受け入れられている。その上で、多くの議論においては、この「エンハンスメント」を「治療」と区別して、前者を許容しない立場が見られる。この議論においては、「エンハンスメント」は、身体への技術的介入という包括的な概念の中で「治療の補集合」として位置づけられる。しかし、この「エンハンスメント=治療ではない身体介入」という定義は、それ自体では何の示唆を与えるものではなく、この定義が機能するためには、「治療とは何か」という問いに答えることが必要となる。だが、この「治療の定義」自体も自明ではない。治療は、しばしば「健康を実現する/病気を除去する手段」として語られるが、その健康・病気の概念自体が文脈により揺らぎ、容易には捉え難いものだからである。本発表では、この問題関心の下で、まずは一般的な意味での健康・病気の定義に関する議論を概観した上で、医療の目的の側から治療/エンハンスメントの議論を特徴づける。これを通じて、エンハンスメントという概念を、「治療の補集合」として消極的に捉えらるとどまらず、我々が「治療」という営為に対して有している期待をあぶり出す手がかりとして積極的に用いうる可能性がないか検討することが、本発表の意図するところである。

参加費:300円

◆6月例会(第235回総合部会例会)

日時:6月7日(土) 15:00~17:30

会場:東洋大学白山校舎6号館4階6406教室

アクセス:http://www.toyo.ac.jp/site/campus/campus-hakusan.html

演者:荒川迪生 氏                               演題:「安楽死・尊厳死をめぐる終末期医療の昏迷」について

所属:荒川医院、岐阜リビング・ウイルのあり方を考える会

要旨:生存の基本権とともに、死の迎え方の選択権の多様性が求められている。終末期の生存自体における不条理な苦痛を除くために、生命を意図的に短縮する安楽死がある。自発的積極的安楽死、自発的消極的安楽死を合法視する社会がある。消極的安楽死では、未だに生存が可能な疾患末期において、治療そのものが不開始・中止される。一方、自然な死を迎える尊厳死、自然死がある。そこでは死期が切迫し、もはや生存が不可能な生命末期において、単に死に逝く過程を過剰に引き延ばすに過ぎない延命措置が不開始・中止される。これは生命の意図的短縮ではなく、自然終焉である。このように死期の切迫度と治療義務の限界を考慮した場合の死の選択は許容されるべきであろう。我が国においては、死を迎えつつあるとする時期の定義があいまいなうえに、本人としては直面してもいない病態を乱暴に推定して、生存の尊卑を誇大視する風潮がある。そして、近い将来には死を避けることができない終末期の疾患末期であっても、未だ安定した相当の生活ができるにも拘らず、生きるに値する生存か否かに偏重する危うい風潮がうかがわれる。あいまいな尊厳死の美名に追いやられ、早く死に逝くことの美化は危険である。終末期にある患者とその家族に対する社会支援が不十分なこと、医療現場においても生命倫理やチーム医療が未熟なこと、司法的判断も成熟途上とも考えられる現代にあっては、まず国民の成長を促すことが肝要であり、いたずらに、解釈変更が起こりうる結論を急ぐ社会であってはならない。

参考資料:①昏迷の終末期医療 届かぬ医師のこころ 疎外される患者、岐阜リビング・ウイルのあり方を考える会編著、岐阜新聞社発行、2013年(分担執筆)➁荒川迪生、神原健治郎:自殺未遂事件に学ぶー保険給付制限と昏迷医療と司法判断、月刊/保険診療 2014;69:68-71

参加費:300円

◆5月例会(第234回総合部会例会)

日時:5月17日(土) 15:00~17:30

会場:早稲田大学 戸山キャンパス33号館7階現代人間論系論系室

アクセス: 戸山キャンパスの行き方 戸山キャンパス1 戸山キャンパス2

演者:羽金和彦 氏                               演題:「終末期の現状と倫理的検討課題」について

所属:国立病院機構 栃木医療センター 統括診療部長               専門分野:小児外科

要旨:現在、日本人の8割が病院で亡くなっており、終末期に医療が関与することは当然と思われています。しかし、50年前には逆に8割が家庭で亡くなっていました。本報告では、最初にライフケアシステム(辻彼南雄代表理事)により発表された「理想の看取りと死に関する国際比較研究」を紹介します。本邦における終末期の現状と諸外国との比較が行われた研究です。次に終末期の病態を概観し、終末期に行われる医療的処置の効果と
意味について整理するために、三種類の死の軌道(trajectory):がん、心疾患、認知症に関するLynn&Adamsonの研究を紹介します。各々の死の軌跡を分けて考えることは終末期医療の倫理を考えるために必要な事と思います。さらに、医療施設で用いられている延命医療、蘇生拒否のインフォームドコンセントを提示し、各学会の終末期医療に関するガイドラインの現状を報告します。最後に死に携わる者から見た終末期医療における倫理的課題と現状を列挙したいと思います。

参加費:300円

◆4月例会(第233回総合部会例会)

日時:4月13日(日) 16:30~19:00

会場:上智大学 2号館6階ドイツ語学科会議室

アクセス: http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/accessguide/access_yotsuya http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/map/map_yotsuya

アクセスの際の注意: 当 日は道案内の掲示などは出ていません。土曜・日曜日は駅に 一番近い門は閉ざされています。土手沿いの道を進み、正門からお入り下さい。正門 を入ってすぐ左にある大きな建物が、2号館です。エレベーターは6つありますが、 半分(片側サイド)は5階までしか行きません。ご注意ください。エレベーターを降 りましたら、そのまま右にまっすぐお進み下さい。突き当たりの右側がドイツ語学科 会議室になります。

演者:奥田純一郎 氏                              演題:年間テーマ「終末期における治療の中止・差し控えと、その倫理的問題」について

所属:上智大学

要旨:今回の報告においては、2014年度関東医学哲学・倫理学会(以下、本会)総合部会の年 間テーマ「終末期における治療の中止・差し控えと、その倫理的問題」について趣旨説 明と、関連する論点の提示を行う。 年間テーマは、2015年1月27日に実施される予定の日本医学哲学・倫理学会(以下、全 国学会)公開講座と同じである。今年度の本会総合部会の活動は、この全国学会公開講 座に向けての準備と、終了後に同公開講座の成果を踏まえた議論を継続するための足掛 かりを作ることを中心に行う予定である。 同公開講座の企画によれば、終末期医療における実践では患者・家族・医療従事者らの 「話し合い」が重要であるとの認識は今日共有されているが、医療従事者と患者側の情 報格差から医療従事者側の裁量権による「死の管理化」がおこなわれうること・患者本 人の意思が不明な場合の代行決定権行使者として家族が適任であるのか不明であること ・「話し合い」の形式や程度に関する具体的な基準が不明であること等の疑問点が提示 されており、その考察のために公開講座では、医療従事者(医師・看護師)、患者・家 族のオブザーバーを務めてきたNPO法人関係者の声を聴き、また全国学会会員による 理論的視座の提示を踏まえ、一般市民がこの問題に関し考察を深める機会を与える、と している。 本会総合部会としては、今年度を通じ、同公開講座企画書で指摘された論点につき議論 を深めることを中心に活動する。また同時に、企画書では直接指摘されていない論点に ついても議論を重ね、それによって公開講座の成功に寄与することを期する。例えば ・事前の「話し合い」の副作用(終末期医療の差し控えを決めた患者には、本来なすべ き治療に関しても懈怠が生じうる・あるいはそのように誘導される危険性) ・実体的な許容範囲が明示されていない手続き的「話し合い」ガイドラインの哲学的含 意 ・終末期医療に関する実体的許容範囲を定める(あるいは定めない)立法・行政の責任 ・患者本人が無能力の場合でも決定をなす場合の「代行」という法的構成の適切性 ・本人以外の者が決定する場合の「誰が」(決定主体)「どの程度」(決定範囲)問題 と、その前提としての「何故」(決定理由)問題の連関と断絶 等が考えられるが、この他にも論ずべき問題はあると思われる。年度初頭の4月例会の 議論を通じて、論ずべきこと・その程度や範囲・適切な報告者についての情報交換を行 って頂ければ幸いである。

参加費:300円


これまでの総合部会の記録は、こちらをご覧下さい。

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総合部会-今後の予定・発表者募集ほか
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1)4、5、6月例会の発表に関する問い合わせ

※当日配布の原稿・資料は、事務局でお預かりしておりますので、ご希望の方は事務 局までお問い合わせください。

2)総合部会例会年間予定/発表者募集年間予定
(敬称省略.()内は司会者)
未定

3)総合部会月例会 発表者募集
※月例会は原則として毎月第1土曜日に開催されますが、月により変更になる場合があります。詳しくは、来月以降の案内でお知らせします。

発表者募集

○日本医学哲学・倫理学会関東支部総合部会は、今年度の年間テーマ に沿った発表者を募集しています。その他任意のテーマでの発表も歓迎 します。
発表ご希望の方は、事務局または各運営委員までお知らせください。

○発表時間は当日発表者の数により、30分から60分程度です。
これに質議応答と討論の時間が30分から90分程度加わります。

○発表された内容は、原則として、本支部発行の「医学哲学と倫理」に発表原稿が掲載されます。

○外来講師のご要望・ご提案がございましたら、お知らせください。

総合部会へは会員だけでなく,一般の方もご参加いただけます.

 

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